“アフター・コロナの政策見直し。”

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我が国の新型コロナ・ウイルスの新規感染者数が、首都圏のみならず全国的にもその拡大が止まらず、ついに今日から埼玉、千葉、神奈川、そして大阪の4府県にも緊急事態宣言が発せられることとなった。
日本列島は連日オリンピックでの日本人選手の活躍に大騒ぎをしているが、実のところそんな場合ではないのかも知れない。

どうやらこれは新型コロナ・ウイルスのデルタ変異株のせいだと言われているが、一時は劇的に新規感染者数が減っていた英国、米国、そしてイスラエルにおいてさえ再び増加傾向にあるのが大変気になる。

先日、2回のワクチン接種を終えてほっとしていた塾長に衝撃的なニュースが入ってきた。

米マサチューセッツ州で新型コロナのクラスターが発生し、何と感染者の74%が既にワクチン接種済みだったと言う。
これは、ワクチン接種が完了しても感染は防げていない可能性を示すと共に、デルタ型に感染したワクチン接種者は他者に感染させる可能性があるという事を表しているらしい。

これはなるべく多くの国民に2回のワクチン接種を行って、願わくば集団免疫を作って新型コロナ・ウイルス撲滅を目論んでいた世界各国の政策当局者に多大なショックを与えたことであろう。

こうなるとアフター・コロナと称して新型コロナ・ウイルスの猛威が収まった後に考えていた経済運営の舵取りの修正を迫られることになるかも知れない。

先週開催されたFOMC.では政策金利は据え置きとなったが、テーパリング(金融緩和策の一つであるFRB.による債券購入の減額措置。)については初めて深く掘り下げた議論が行われたものの、具体的な時期については触れられず、またパウエルFRB.議長が“利上げについてはずっと先であることは明白だ。”と述べ、6月のFOMC.で早期利上げ期待に前のめりになった市場の雰囲気は多少冷めたものとなった。

一時1.12%近くまで急落した後、一旦は1.3%台へと回復した米国10年債利回りが再び低下傾向となり、先週末は1.225%で引けた。

長期金利低下の理由として、
-長期金利上昇を見越して投機筋が債券の先物市場で売り持ちにしており、Buy on fact.(事実で買う。)で買い戻した。(債券価格上昇=利回り低下。)
-債券市場はFRB.同様に将来のインフレに対する懸念を抱いていなく、長期金利上昇に懐疑的である。
-FRB.が依然として月間800億ドルの債券を購入しており、市場は需給の観点から債券価格の下落(金利上昇)を見込んでいない。
-世界の機関投資家(中央銀行を含む。)は1.5%前後の米国10年物債券利回りを当面は魅力的と感じており、ネットで買い越しとなっている。(債券買い=債券価格上昇=利回り低下。)
などが挙げられるが、それに世界経済の成長を阻害しかねない新型コロナ・ウイルスのデルタ変異株の感染拡大を巡る懸念を背景にリスク・オフ(投資家が既存のリスク資産の圧縮を図り、新たなリスクを取る事を躊躇する。)の動きが進んでおり、安全資産とされる債券に買いが入り易い(債券高=金利安。)状況と言えるのかも知れない。

先週ドル・円相場は110.50近辺に在ったレジスタンス・レベル(上値抵抗線)をきちんと上切れば再び111円台へのトライも有るかと思われたが、週初高値110.58をワンタッチした後はじりじりと値を下げて金曜日には安値109.37を示現した。

米国金利動向に最も敏感なドル・円相場は長期金利が低下傾向にある限り、上値を追うのは難しい。

時間の問題であるFRB.の金融緩和政策からの脱却を考えると長期金利上昇は自然と思われるが、デルタ変異株により新規感染者数が益々増加する様であれば話は違う。

上述した長期金利下落の理由をもう一度検証してみると、もしかして10年債利回りがまさかの1%台割れくらいまで下落する可能性についても 覚悟しておいた方が良いのかも知れない。

今週のテクニカル分析の見立ては先週の逆で、今まさに取引している90日移動平均線が在る109.70をはっきりと下切ると108.80近辺までの下落も考えておいた方が良さそうである。

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