総括
ペソ円下落はリスク回避や夏の円高によるもの。IMFは成長見通し引き上げ
(本日2Q・GDP発表、ペメックス格下げ)
予想レンジ 5.2-5.7
(ポイント)
*本日、2Q・GDP発表
*IMFは成長見通し引き上げ
*ペメックス格下げ
*コロナ感染者数は増加
*7月は株価堅調
*7月はペソ円が下落しているが、円高の部分が大きい
*7月は対ドルで堅調
*今年末時点のインフレ率予想は6%近辺
*2Q・GDPは前年比14%増の予想
*中銀は年内にあと3回の利上げを実施すると予想されている
*利上げにボルハ委員が「逆効果」と反対
*ペソは年初来高値を更新した後は伸び悩みから下落 今週は反発も20日線に阻まれる
*米中対立激化、FRBテーパリング示唆、コロナ感染拡大でのリスク回避
*経済は3Qまでに新型コロナウイルス禍前の水準に回復する見込み
*予想外の政策金利引き上げ(利上げ3人、現状維持2人)でペソ上昇
*外需は強いが内需は弱い
*対米貿易依存度が頗る高い
*海外のメキシコ人労働者からの国内送金は増加し続けている
*2021年春以降、米国からの旅行者が激増している
(リスク回避の円高でペソ安)
例年通り経済的ショックを伴う夏の円高、リスク回避が進んでいる。今年の経済ショックは中国だ。中国政府は、海外上場に関する規制のみならず、国内教育産業やフードデリバリー企業にも規制をかけ始めた。米中対立からの政策ということもあるが、改革開放の時代から統制の時代へと変わりつつある。海外上場の企業から情報が漏れることを防ぐというより富の集中を避ける意味合いが強いように思う。今や世界の中心となりつつある中国経済の流れが変わり中国株が暴落すれば、リスク回避となり円が買われる。メキシコペソ円はペソの要因ではなくアジアでのリスク回避での円買いで下落した。
(メキシコの状況は問題なし)
ペソは政策金利引き上げ、米国在住のメキシコ人労働者からの仕送り、米国人のメキシコへの旅行者の急増、また経常黒字で支えられていたが、この「ミニチャイナショック」とも呼べる中国の政策変更で、ペソ円は右肩上がりの上昇を止められた。中国の市場主義に反する規制強化がどこまで続くのか、何を狙っているのかを市場が理解できるまでこの不安定な動きは続く。ミニチャイナショックがよりペソを動かすだろう(チャイナショックをミニとしたのは、大きな経済ショックは1日で10%以上の株式下落を伴ったが、それに比べると下落率は半分以下)。
(2Q成長率は加速か)
メキシコ国内総生産(GDP)は、新型コロナウイルス関連規制の解除に伴う経済活動の再開や、主要貿易相手国である米国の堅調な経済からの波及効果により2Qに伸びが加速するとみられている。予想は前期比1.7%増。1QGDPは同0.8%増だった。予想通りとなれば、前期比で4四半期連続のプラス成長となる。前年比の予想は19.8%増。1Qは3.6%減だった。
2020年のメキシコ経済は新型コロナ感染抑制策の規制による影響で8.5%縮小し、1932年の大恐慌時以降で最大の落ち込みを記録した。新型コロナの感染拡大にもかかわらずメキシコ経済は、堅調な米市場のおかげで輸出品への需要が増加し、送金も活発になり回復が続いている。
(IMF成長見通し引き上げ)
2021年の成長率予想を4月の5.0%から6.3%へ引き上げた。米国経済の急回復の恩恵を受けるため。
(ペメックス格下げ)
7月28日にムーディーズは国営石油会社のペメックスの格付けをBa2 から Ba3へ格下げした、見通しはネガティブとした。原油価格上昇も、債務改善が進展していないためだ。メキシコ政府は支援の継続を表明した。
(株価は好調)
ボルサ指数はリスク回避の流れと7月も下旬から上昇に転じ7月は29日までで2.67%高。年初来は17.17%と好調だ
(7月のペソ円下落の構成)
7月29日付けで7月月間はペソ円は1.08%下落、ただペソは対ドルで0.38%上昇。
ペソ安はリスク回避や夏の円高の影響が大きい。
テクニカル分析
ボリバン3σ下限から反発するも中位で抵抗される
日足、ボリバン3σ下限から反発し20日線を一時越える。7月13日-29日の下降ラインが上値抵抗。7月20日-27日の上昇ラインがサポート。5日線が上向くか。20日線は下向き。雲の上。
週足、ボリバン2σ上限近くから下落し一時中位を割り込むが戻す。7月5週-12日週の下降ラインを上抜く、6月21日週-7月19日週の上昇ラインがサポート。
月足、雲下での推移が長い(2016年1月以来)。ボリバン中位は上に抜ける。20年2月-21年5月の下降ラインを上抜く。21年3月-6月の上昇ラインがサポート。
年足、陽転。15年-20年の下降ラインを上抜く。
VAMOS MEXICO
最近のコロナ感染者数は増加
グラフのように増加傾向にあり。
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