“中国包囲網。”

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相変わらずドル・円相場に動意が見られない。
前週の高値110.33、安値109.33の値幅1円に続き、先週は高値109.84、安値109.19とレンジを下げて値幅は65銭に留まった。

しかも先週“10年債利回りとドル・円相場との相関。”を述べた舌の根も乾かない内に、その相関を無視した動きが何日か続き、はっきり言ってお手上げだ。

先週の米国10年債利回りとドル・円相場の動きを振り返ってみると、
6月7日の米国10年債利回りは1.568%で前日比+0.012%にも拘わらず、ドル・円相場は109.25で前日比27銭安で金利高&ドル安・円高。

6月8日の米国10年債利回りは1.538%で前日比-0.030%にも拘わらず、ドル・円相場は109.48で前日比23銭高で金利安&ドル高・円安。

6月9日の米国10年債利回りは1.492%で前日比-0.046%にも拘わらず、ドル・円相場は109.62で前日比14銭高で2日連続で金利安&ドル高・円安となった。
(何れもニューヨーク市場の終値ベース。)

結局8日から9日に掛けて利回りは0.076%下落したのにドル・円相場は37銭ドル高&円安となった。

週を通しては利回りは1.568%から1.453%へと0.115%下落したにも拘わらずドル・円相場は109.25から109.68へと43銭上昇したのである。

先週発表になった5月の米国消費者物価指数は+5%と市場予想の+4.7%を上回る上昇となったが、長期金利は下落した。
その理由が今一つ理解出来なかったのだが、どうやら投機筋が悪い数字を予想して先物でショート(債券を売るので金利は上昇する。)に傾いていて、その買戻し(債券を買い戻すので金利は下落する。)が起きたらしい。

Buy on rumor, sell on fact.=(噂で買って事実で売る。)の逆のSell on rumor, buy on fact.=(噂で売って、事実で買う。)と言う取引が横行したらしい。

基本的には事が起きる前にポジションを作り、事が起きれば利食いの行動に出ると言う、市場ではしょっちゅう起きる現象である。

今日の週明けの東京市場でも午後3時半現在で高値109.83、安値109.67の値幅16銭の中間の109.75辺りで取引されており、全く活況が無い。

週央のFOMC.を控えてもう暫く動意の無い状況が続くのだろうか?


イギリスのコーン・ウォールで開催されたG7.サミットが終了した。
集合写真を撮る時や会議中も参加者の全員がマスクをしていないのが印象的であった。

コロナ・ワクチン接種後の罹患状況に強い自信を持っているのであろう。
ワクチンの第二回目の接種を終えた塾長は一安心だ。

G7.サミット後に発表された合意内容で特に注目されたのは中国に対するG7.の強硬な態度である。
声明で中国に対し、新彊ウイグル自治区における人権と基本的な自由の尊重を求め、また香港に関しては英中共同声明に盛り込まれた権利、自由、高度の自治を尊重するよう求めた。
東・南シナ海情勢は引き続き深刻な懸念とし、中国による現状変更と緊張を高める一方的な措置には強く反対するとし、またG7.では初めて台湾海峡の平和と安定についても強調し、問題の平和的解決を促した。

この様な声明が出ることを察知していた中国はG7.を前にして“一部少数のグループ”が世界のすう勢を決定するのは“過去の遺物”とのコメントを出してけん制していたが、はっきり言って甚だ面白くない内容であったことは想像に難くない。

今のところ表立ってはG7.声明に対して反論はしていないが、来月の中国共産党創立100周年を前にして、習近平政権が黙っているとも思えない。

G7.のみならずオーストラリアやインドからも東・南シナ海での軍事的活動に対して制限を掛けられる行動が起きる可能性も有り、中国としては黙ってはいられまい。

一部の中国からの経済援助に頼る国々を除いて“世界中から嫌われている。”中国が自由主義連合の象徴であるG7.から専制主義と罵られて窮鼠にならなければ良いなと願っている。

2019~2020年の米中二国間の通商摩擦から自由主義連合対専制主義国家との対立となれば事は深刻である。
どでかい地政学的リスクのマグマが膨らみつつあるのかも知れない。
リスク・オフに備えておくべきであろう。

地政学的リスクと言えるかどうかは分からないが、もう一つ懸念材料が有る。

それはビット・コインを主とする仮想通貨の行方だ。
アメリカ司法省が、アメリカ最大の石油パイプラインを管理する企業のColonial Pipelineを標的にしたランサムウェア攻撃の身代金として支払われたビット・コインのうち、殆どの回収にFBI.が成功したと発表したが、これにより仮想通貨が売り物としていた暗号資産の安全性、秘匿性の神話が崩れた。
更に米中の金融当局が仮想通貨による資金洗浄や脱税に一層目を光らせ始めており、ビット・コインの価格が大きく下落したことは記憶に新しい。

当局の規制は益々厳しくなるものと予想されており、仮想通貨のSell on fact.=(事実で売る。)が始まれば金融市場の混乱は避け難い。
こちらも潜在的なリスク・オフ要因である。

リスク・オフが起きればドルと円が買われる傾向が強い。
留意しておきたい。


相場が良く分からない時はテクニカル分析が大きな助けとなるが、これもまちまちの判断をしている。
依然としてレンジを意識して、109.35を下切ったら108.80も有り、逆に110.35を上切ったら110.80も有りと言うスタンスで臨みたい。

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