先々週は驚きの4月の米国雇用統計(非農業部門雇用者数)の発表後に大きく揺れた金融市場であったが、先週も4月の米国消費者物価指数(CPI.)が市場予想を上回る+4.2%となり、インフレ懸念が台頭して株価が大きく下げ、債券が売られて金利は上昇しドルが買われる結果となった。
+4.2%とは凡そ12年半ぶりとなる大幅な上昇であったが、昨年コロナ・ウィルスの影響で物価が伸び悩んだ反動と思えば、そうビックリする様な数字でもあるまい。
案の定、急落したニューヨーク株式市場の3指数は急激に切り返して金曜日の終値ではCPI.発表前のレベルまで戻した。
前週の雇用統計の時もそうであったが、相場が指標発表後に大きく動いても数日経つと元に戻す傾向が高い気がする。
ドル・円に関して言えば、週初は前日の悪かった雇用統計の影響で安値で始まり(安値108.36)、CPI.発表後は長期金利上昇期待でドル高となって高値109.78を付けたが、インフレ期待=ドル安とも言える訳で、110円を上切れる程のモメンタムは生じなかったと言えようか?
2週続けてFRB.の金融政策に影響を与えかねないのではないかと思われる数値が発表されたが、(非農業部門雇用者数の少ない増加は緩和政策継続を思わせ、逆に高いCPI.は早期の緩和政策からの脱却を思わせた。)FRB.高官からは依然として”インフレ率上昇は一過性のものである。”とのハト派的な論調が相次ぐ。
もしかしてインフレに対してFRB.の楽観的なスタンスと、市場の慎重な見方のギャップが有るのかも知れない。
何れにせよ、長期金利の行方には留意したい。
新聞報道によると今日から全国各地で高齢者向けのコロナ・ウィルスに対するワクチン接種の予約が始まったらしい。
実は塾長の所にもようやく先週水曜日に横浜市から予約案内が来たが、まあその手続きの
面倒な事!
ネットでの予約と電話による予約の二つの方法が有るが、試しにネットで繋いでみると”ネットでの予約枠は終了致しました。5月17日(月)午前9時から再びお試し下さい。”とあった。
よっぽど容量の小さいコンピューターでも使っているのかな?
試しに電話をしてみると、何十回も試みたが”勿論”繋がらない。
上手く予約が出来てもワクチン接種は大体ひと月後である。
菅首相が大見得を切った様に7月中に高齢者の接種が終わるかどうかは、甚だ疑わしいのではなかろうか?
NHK.がOur World in Data.のデータから作った表を見ると、ワクチンを少なくとも1回接種した人(割合)はイギリスが53.5%、アメリカが46.7%、ドイツが36.3%、フランスが29.2%、そして日本は何と3.2%である。
バングラデシュよりも劣るのがお笑いだ。
今、世界は”アフター・コロナ(コロナ後)”の景気回復を期待して動いている。
アメリカの驚くべき株価上昇は多少”いいとこ取り”のきらいはあるが、理解出来る。
感染者数や死者数が激減したワクチン接種率が高いイギリスも然り。
で、我が国は?
ワクチン接種が一段落する夏くらいまでは、”アフター・コロナ”なんて言葉は禁句ではなかろうか?
以前にもご紹介したが、米ドルを基軸にしてワクチン接種率の高い国の通貨は相対的に通貨価値が高い傾向にある。
英ポンド然り、上のNHK.のデータには載っていないが豪ドル然り。
ユーロもキャッチアップしてきた。
そして残るは円。
このワクチン接種率の体たらくを見ると円が高くなるとはとても思えない。
夏くらいまでは円が売られ易い状況が続くのではあるまいか?
テクニカル分析の見立ては、暫く持ち合い。
上で述べた様に円を買いたくないのでドル・円は下がったら買うBuy on dips.の戦略で行きたいが、109円を下切ったら様子見。
より安いレベルで買い戻すことを心掛けたい。