以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
エモリファンドマネジメント株式会社の代表取締役、江守哲氏にインタビュー。前編では新入社員時に飛び込んだ非鉄金属取引のお話やコモディティ価格と為替の関係について伺いました。中編では、コモディティ市場にも造詣が深い江守様に、覇権国であるアメリカについての考え方や、マーケットへの向き合い方などについてお聞きしています。
▼目次
まだまだ「バブル」でない
編集部:- 現在の相場でを見て、「バブルが起きている」などと言っている方もいらっしゃいますね。
江守:- いや、今がバブルだなんて、もう全然そんなレベルでは無いです。 本当のバブルは、金曜日に接待してたら朝5時になってもタクシーが捕まらないんですよ。
編集部:- え!それはすごい。 景気が良いですから、お仕事も忙しいですよね。
江守:- そうなんです。終電前に帰れた日はなかったです。 仕事が終わらなくてみんな残ってやっていました。 あまりに忙しくて、接待の後、ベロベロになっているのに職場に戻って仕事をつづけた時もありました。
編集部:- うわあ。そんな状況では、手書きのノートで発注量を書き間違えも仕方ないですね(笑)。
江守:- そうなんですよ(笑)。反省してます。 話を戻すと、今はバブルというレベルじゃ全然ないですね。
編集部:- じゃあ日経平均株価も、まだまだ伸びると。
江守:- 日経平均は確かに割高かなと思いますけどバブル的に買われていたら、こんな値段じゃ済まないですよね。 バブルって、説明がつかない値動きですので。 いまは、まだ説明がつく範囲内じゃないですか。
編集部:- 同じく上昇しているものと言えば、ビットコインもありますよね。
江守:- ビットコインの本当の価値って、誰もわからないですよね。 極論すると、暗号資産って必要ないものだと思うんです。 世界中で、非鉄金属の銅や原油が必要ないという状況はありえないですけどね。 架空のものでしかないし、非常に難しいですよ。
編集部:- なるほど。
江守:- すごく上昇していますが、今の税制が変わるまでは売却できないようです。
編集部:- それはどういう理由でしょうか。
江守:- いま利食いをしたら、雑所得の累進課税が適用されますから、利益額が大きいと税率が高くなります。 ですので税制が、ほかの金融商品と同じようになると、かなりの売りが出てくる可能性はあります。
編集部:- 今後のポイントは税制の改定なんですね。
江守:- おそらくですけどね。 ビットコインを取引している方の抱えるリスクとして 法律が変わってしまい、今の価値が無くなるというのが一番の懸念だと思います。 例えば国が暗号資産を認めなくなるなどです。
編集部:
情報は必要最低限で良い
編集部:- 江守さんから見て、個人投資家の動向が今と昔で 変化したところはありますでしょうか。
江守:- 昔と比較する意味がないぐらいの差がありますね。 昔はそもそも個人は為替取引できなかったんですから。出来たとしても外貨預金だけ。 株式投資だって、リアルタイムで株価を見ることができなくて、全部電話で注文ですから。 インターネットの普及で、状況が変わっていきました。
編集部:- 制度や技術の変化とともに、投資環境が発展していったという事ですね。
江守:- 業者さんはだんだん手数料やスプレッド競争が激しくなってきましたね。 個人投資家にとっては非常にいいですよね。
編集部:- はい。
江守:- もう一つやはり情報ですね。 インターネットが普及したことによって情報を得る機会が格段に広がったじゃないですか。 昔は情報源と言えば新聞やテレビだけでしょ。リアルタイムでは情報を得ることが出来ない。
編集部:- むしろ、現在は情報が溢れすぎているくらいですからね。
江守:- その情報も、何が正しいのかもよくわからない。フェイクニュースもある。 だから、今のほうが難しいかもしれないですね。 昔は限られた情報を見て、想像しトレードしていましたから。
編集部:- まず、たくさんある情報の中で正しい情報を身につけるために、 まずは江守さんが配信していらっしゃるYouTubeチャンネル見るのがよいということでしょうか。
江守:- そうです(笑)。 私も最近Twitterで発信するようにしてるので、そちらも見てほしいですね。 ほかのTwitter利用者のツイートを見ますけど、皆さん、相場の事をよく知ってますよね。
編集部:- そうなんですか(笑)。
江守:- これが、普通の投資家では知らないだろうということ、知ってますよね。 どこで調べてきたか分からないぐらい、すごい知識持っていらっしゃるし。 まぁ、必要のない情報もつぶやいていたりするので、ある程度の情報で十分ですね。
編集部:- なるほど。
江守:- 定点観測するアカウントをちゃんと決めて、それをずっとフォローするくらいでちょうどよいです。 必要ない情報を見てもしょうがないので。
編集部:- すると、先ほどの話に戻りますが、 ある程度経歴などのバックボーンがある方の発信を見た方が無難でいいですかね。
江守:- はい。それにしても、「まあそういう考え方もあるんだなぁ」ですとか、 「トレードアイディアを、ちょっと取り入れてみるか」くらいがいいんじゃないですかね。
編集部:- 最後に為替トレーダーにコメントをお願いします。
江守:- FXトレーダーには、チャート分析とテクニカル分析のどちらの知識も必須だと思っています。 また、政治的な面とか金融政策の面で動くときはまあまあありますけど、 ほとんどマーケットはトレンドに沿って動いてますからね。 その流れに逆らわないことでしょうね。
編集部:- 為替は順張りで。
江守:- そうですね、為替の場合は逆張りすると得てして手痛い目にあいます。 だから、基本的にトレンドフォローです。 今の時代、こうやってねたくさん情報があったり 取引ツールもすごいじゃないですか。 20代のときにあったらなぁと思いますよね(笑)。 今の若い人達はチャンスってことですね。 逆に言う昔は35歳以上はディーラー無理っていう世界だったんですよ。 今はツールが充実していますから、いくつになってもチャンスはあると思います。 本当に良い時代ですね。
編集部:- 本日は長いお時間ありがとうございました。
【前編】
【中編】
【投資の真髄がここにある!伝説のディーラー列伝 インタビュー記事まとめ】
エモリファンドマネジメント株式会社 代表取締役
江守 哲(えもり・てつ)氏
1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事に入社し、非鉄金属取引に従事。英国住友商事(現欧州住友商事)に出向し、ロンドンに駐在。その後、当時世界最大の非鉄金属トレーダーだったMetallgesellschaft Ltd.(ロンドン本社、現JPモルガン)に移籍し、唯一の日本人として非鉄金属取引を極める。2000年に三井物産フューチャーズに移籍。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場の分析および投資戦略の立案を行う。2007年7月にアストマックス入社し、チーフファンドマネージャーに就任。2015年4月にエモリキャピタルマネジメントを設立。2020年12月よりエモリファンドマネジメント株式会社が業務を引き継いでいる。ヘッジファンド運用を行う一方、株式・為替・債券・コモディティ市場の情報提供や講演、テレビ出演を行っている。
江守 哲(えもり・てつ)氏
1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事に入社し、非鉄金属取引に従事。英国住友商事(現欧州住友商事)に出向し、ロンドンに駐在。その後、当時世界最大の非鉄金属トレーダーだったMetallgesellschaft Ltd.(ロンドン本社、現JPモルガン)に移籍し、唯一の日本人として非鉄金属取引を極める。2000年に三井物産フューチャーズに移籍。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場の分析および投資戦略の立案を行う。2007年7月にアストマックス入社し、チーフファンドマネージャーに就任。2015年4月にエモリキャピタルマネジメントを設立。2020年12月よりエモリファンドマネジメント株式会社が業務を引き継いでいる。ヘッジファンド運用を行う一方、株式・為替・債券・コモディティ市場の情報提供や講演、テレビ出演を行っている。