総括
米大型景気対策の恩恵期待でペソ上昇
予想レンジ 5.2-5.7
(ポイント）
＊米景気対策の恩恵期待でペソと株が上昇
＊財務省は2021年成長見通しを上方修正
＊2月貿易収支再び黒字へ
＊対米貿易依存度が頗る高い
＊政策金利は予想通り据え置き、全会一致
＊2月CPI上昇 3月前半CPIも上昇
＊トルコの金融混乱の影響は小さい
＊長期金利は7％台へ上昇 株も強いが金利上昇、ペソ高が懸念
＊コロナワクチン接種が遅れている
＊国営電力業者保護法案が民間業者や米加の不満を生む
＊大麻を解禁へ 世界最大の市場に
＊海外のメキシコ人労働者からの国内送金は増加し続けている
＊ハリス米副大統領が不法移民担当に
＊外部要因が強い（貿易、被仕向送金、原油高など）が国内は脆弱
＊経常収支は3Qに史上最大黒字に
（年初来高値更新）
ペソは対円で昨日5.453をつけ年初来高値を更新している。トルコの金融ショックでも5円を割ることなく反発した。大きな要因は米国の超大型景気対策だ。2兆ドルのインフラ投資計画のメキシコ経済への波及を期待してペソが買われた。バイデン政権は3月にも新型コロナウイルスに対応するための1兆9000億ドル規模の追加経済対策を成立させている。
米国の大規模な財政出動は、メキシコ経済に恩恵をもたらす。輸出の増加や観光の振興などが見込まれるためだ。
さらに良いことはメキシコは米国と違って米景気対策の財源の負担をすることがないことだ。増税もない。
(来年初めまでにGDPがコロナ禍前水準を回復）
財務省は予算書で、経済が今年速いペースで成長し、国内総生産（GDP）は来年初めまでに、コロナ禍前の水準に「完全に戻る」との予測を示した。
財務省は今年の成長率見通しを従来のプラス4.6％から5.3％に上方修正し、来年の成長率は3.6％になると予想。ワクチン接種と併せ、「パンデミックの影響を和らげるための世界中の政府、中央銀行による持続的な努力」により、今年の成長率が従来予想より高まる見通しになったと説明した。
また米国がワクチン接種キャンペーンと大型の追加経済対策により景気回復を加速させる見込みで、メキシコの農業や農業関連産業、製造業など幅広い輸出関連セクターにさらに追い風が吹くとの期待を示した。
メキシコは2019年段階で既に小幅な景気後退に突入しており、コロナ禍が襲った昨年の成長率はマイナス8.5％と、1930年代の世界大恐慌以来の大幅なマイナスとなっていた。しかし昨年4Qには景気が予想以上のペースで回復した。
（2月貿易収支再び黒字へ）
1月は8か月ぶりに貿易収支は赤字となったが2月は再び 26.81億ドルの黒字となり需給でもペソを支えた。
米国の大型景気対策でメキシコ経済も潤う観測が強いが、メキシコ貿易のうち輸出の約80％が米国向け。輸入は約47％が米国からだ。
＊グラフは最近の貿易収支
（株価も好調）
メキシコ株価指数も米景気対策の好影響で上昇している。年初来7.21％
懸念は金利上昇、ペソ高、原油が50ドルを割った時か。
テクニカル分析
再びボリバン2σ上限へ向かう強さ
日足、ボリバン2σ上限近い。3月31日-4月1日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。
週足、雲の上に出てボリバン3σ上限へ。3月8日週-22日週の上昇ラインがサポート。ボリバン3σ上限は5.46。
月足、雲下での推移が長い（2016年1月以来）。ボリバン中位は上に抜ける。21年1月-2月の下降ラインを上抜ける。20年11月-21年3月の上昇ラインがサポート。
年足、陽転。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。
VAMOS MEXICO
コロナによる死者は報告数より6割多い可能性
メキシコ政府が公表した、平年に比べて死者数がどれだけ増えたかを示す「超過死亡」の統計によると、新型コロナウイルスによる死者数は報告数を60％以上、上回っている可能性が高い。コロナ流行発生から今年の第6週までに「新型コロナ感染症関連」で死亡証明書が発行された死者数は29万4287人に上った。これは、比較対象として記載されている報告済みの死者数（18万2301人）より61.4％多い。
この報告済みの死者数がいつ時点のものかは特定できないが、2月中旬以降に2万5000人以上が死亡しており、27日時点の累計の死者数は20万1429人だった。
メキシコ政府はかねてより、新型コロナによる実際の死者数は報告数を大幅に上回っている可能性が高いとしていた。新型コロナ流行発生から2021年第6週までの期間の超過死亡は41万7002人だった。
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