“円安トレンドに変化の兆し?”

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“円安トレンドに変化の兆し?”

先週、注目のFOMC. (米連邦公開市場委員会)と日銀政策決定会合が開催された。

FOMC.では金融政策は据え置かれ、経済見通しは2021年の実質GDP.成長率が6.5%へと上方修正されてコアPCE.デフレーターは2.2%と、2.0%を超える見通しが示された。
但しインフレの加速は一時的であり、翌年は2.0%に鈍化すると予想しており、政策金利見通し(ドットチャート)も、予想の中央値は2023年末までの据え置きが示された。
パウエル議長は記者会見で“今後も緩和的な政策が維持されることが重要である。”と発言し、これを受けて米長期金利は一時低下したがFRB.が昨年実施した「補完的レバレッジ比率(SLR)」の緩和措置を3月末で終了すると発表したことで再び上昇し、1.729%で週を終えた。
これは2020年1月以来の高値となる。

日銀金融政策決定会合では金融緩和策の点検の結果が公表されて、

-ETFの買い入れ方法の弾力化。

-長期金利について、“プラスマイナス0.25%程度”の変動を容認する。

-貸出促進付利制度を導入する。

などが示されたが、前日の日経新聞のスクープとほぼ同じ内容で、市場の反応は限られた。

結局先週は小動きながら米長期金利上昇を受けてドルは対円を除いて対主要通貨で小幅に上昇した。(主要通貨は下落した。)

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ドルは対円では下落し、クロス・ベースで週足の動きを見ると対主要通貨で円高が進んでいるのだが、週足チャートを見ると驚くべき現象がみられる。
全ての通貨が対円で久し振りに陰線(週の終値が始値を下回る。)を見せているのだ。

対ドルでは5週間ぶり、対ユーロでは6週間ぶり、対ポンドでは14週間ぶり、対豪ドルでは1週を除いて7週ぶり、そして対NZドルでは9週ぶりに陰線を示している。

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これは、主要通貨が対ドルで下落し、円がドルに対して上昇した為に掛け算であるクロス・ベースで円高が進んだとも言えるが、中々興味深い動きとは言えまいか?

今週は週末のトルコリラ・ショック(20日、トルコのエルドアン大統領が突如トルコ中銀のアーバル総裁の解任を発表した。)で多くの通貨が窓を開けて下げてオープン(金曜日の終値から大きくかけ離れてオープンする。)し、その後相場が持ち直した為に今週の週足は陽線となっているが、もし今週も陰線で引ければ暫く続いた円安トレンドに変化の兆しが表れていると見て良いのかも知れない。

そう言った中、先週のレポートでも挙げたシカゴ・IMM.のポジションに大きな変化が見られた。
ついに彼らが円の買い持ち(ドルの売り持ち)のポジションをドテンして円の売り持ち(ドルの買い持ち)に転じたのである

そしてドルを買い持ちにしていた勝ち組の我が国の個人投資家は殆どのポジションを利食ってスクェアーに近い。

シカゴ・IMM.は滅多な事ではポジションをひっくり返すことは無い。
彼らがついにタオルを投げて円の買い持ち(ドルの売り持ち)を解消したが、さらに円の売り持ち(ドルの買い持ち)を増やす様であればドル・円相場は底堅い。

逆に我が国個人投資家がドテンしてドルの売り持ちに転じる様であればドル・円相場の頭は重い。

今週はこれら両者の思惑がどうぶつかるかに興味がある。


先週のレポートで
“どうやら円安基調は続く感じがしており、ドル・円、豪ドル・円、カナダドル・円などの通貨ペアーでBuy on dips.=(下がったら買う。)の戦略で臨みたい。”と述べたが、上の週足チャートを見てBuy.=(買い。)は小休止。

クロス・ベースでの円高が進むようであればドル・円が大きく上昇するとは考え難い。
相場の買われ過ぎ、売られ過ぎを示すRSI.やストキャスティクスは円がらみの通貨は全て大きく買われ過ぎていると表している。

テクニカル分析に基づいて考えがころころ変わって恐縮であるが、この難しい相場展開に対して弾力的でありたい。

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