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動き出す国際金融都市構想と春節中も止まらない人民元高「日本人の知らない香港情勢」戸田裕大

日本人の知らない香港情勢

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、発表された報道や現地の声、公表された経済データなどをもとに、香港や中国本土の最新の情勢について迫っていきます。香港ドル・人民元などの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第34回は「動き出す国際金融都市構想と春節中も止まらない人民元高」でお届けいたします。

目次

1.香港の代わりは日本?動き出す日本の国際金融都市構想
2.米国が対中政策を見直しへ
3.香港ドルと人民元相場のアップデート

1.香港の代わりは日本?動き出す日本の国際金融都市構想

香港が混乱する今を好機と捉えて日本政府が打ち出した国際金融都市構想。東京・大阪・福岡の三都市が名乗りを上げていましたが、今年に入り少しずつ動きが出てきています。

12日、オルタナティブ投資を手掛ける香港の資産運用会社MCPホールディングスが福岡市に新拠点を設けると発表しました。日本における本拠地は別に定めるようですが、まずは福岡に拠点を構え、日本市場の調査を進めるようです。

福岡はアジアとのアクセスが良く、フライトで、上海まで2時間以内、香港まで3時間半以内という好立地が魅力です。またオフィス賃料や生活費などのコストも東京と比べて安価であることから、まず福岡に拠点を設置することは合理的と思います。

それから15日には東京都の組織である東京国際金融機構が海外金融機関に向けて国際金融都市計画の取り組みを説明するオンライン・ウェビナーが行われ、小池都知事や元日銀副総裁の中曽宏プロジェクト代表が参加し、私も一聴講者として参加しました。主催者側は、日本には十分な投資環境が整っていること、各国の金融都市と協調・コラボレーション出来ること、それから今後SDGs(持続可能な開発目標)関連の債券発行などに力を入れることを強調しました。折しも日経平均株価が30,000円をヒットした日であり、且つ中国と香港は春節休暇とあって、タイミングは完璧だったと思います。

米中対立が激化する中で、海外投資家の目が日本に向いているのは事実。今回のように海外との英語でのコミュニケーションが活発になれば、様々な案件が出てきても不思議ではないと思います。個人的には、日本はFX会社や個人投資家の活発な投資活動によりFX市場が発展しているので、FXにも大きな機会があるのかもしれないと、一起業家として考えているところです。

日本のFXが世界へ。東京がロンドンのように、外為市場で異彩を放つ都市になれるよう、私も微力ながら尽力したいと思います。

2.米国が対中政策を見直しへ

バイデン米大統領は10日、国防総省に中国政策を立案するタスクフォースを立ち上げると明らかにしました。4カ月以内にオースティン国防長官やヒックス国防副長官に提言を提出するそうです。

現在の米国の対中国、国家安全保障戦略は「United States Strategic Approach to the People’s Republic of China」に定められています。この戦略は2020年の5月に制定され、冒頭で、中国の改革開放以来、米国は中国が国際社会に参画することで、より民主的な価値観が芽生えることを期待してきたが、それは思い違いであり、今後は米国の自由で民主主義的な価値観をまもるためにより厳しく中国と戦うと規定されています。

またバイデン大統領の選挙公約においては「中国と競争していく上で、価値観を共にする民主主義国家及び、同盟国と団結する」ということが大々的に打ち出されています。ですから対中政策を緩めると言うことではなく、トランプ政権時代に推し進めた関税の掛け合いなどについて別のやり方を考えると言う事で、より有効に中国と向き合う方法をこの4カ月で探るのだと思います。

米国にとって対中国が最大の関心ごとなのですが、付随する事項として、一時的に離脱しているTPPやRCEPなどの経済連携協定、NATOなどの防衛条約、それから近日中に武漢研究所に関する報告が行われるWHOなど第二次世界大戦後に設置された世界協力機関とどのように向き合っていくのかも議論に含まれるはずです。中国の力がアジアだけにとどまらず、世界的にますます影響力が高まる中、米国がどのように中国と向き合うか、そこを今一度、改めて見直すべきと考えたのでしょう。

昨年の為替市場は一言で纏めれば、米ドル安相場でした。これは米金利の低下や米国の大規模な金融緩和が背景にあるわけですが、米国の国際的な影響力、つまり基軸通貨としての米ドルの価値が疑われた年でもありました。今年も昨年と同様に米ドルの価値、米国の威信が低下し続けるのかどうか、丁寧に見定めていきたいと思います。

3.香港ドルと人民元相場のアップデート

さて為替相場のアップデートをしていきたいと思います。先週のドル円相場は、上値重く推移し、やや水準を切り下げる展開となりました。一方で104円台中盤では底堅く推移し、買い意欲が旺盛であることも確認されました。またS&P500などの米株指数が過去最高値の更新を続ける中、米10年債金利が上昇し1.2%台を上抜けています。つまり債券売り、株買いの典型的なリスクオン相場が続いています

このような中で、香港や中国の動きはどうなっているのか、まずは香港ドルから見ていきましょう。

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香港ドル/日本円(HKD/JPY)は一旦調整が入り一時13.40台まで押し戻されました。ただし今週に入って再び13.50台へと復活し、すぐに13.60台を窺う展開になっています。ドル円に連れての動きが想定されますが、まだまだ底堅い動きが続くことを想定しています。

米ドル/香港ドル(USD/HKD)は依然としてもみ合いが継続。米香の金利差もほぼない状況ですので、こちらは引き続き膠着を予想します。

次に人民元を見ていきます。

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中国は11日から春節入りとなりましたが、春節期間中も人民元高が継続しています。

人民元/日本円(CNH/JPY)はさらに一段と上昇、先週はしっかり16.30台が定着し、今週に入って一時16.45まで上昇しており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。ドル円の上昇を狙っても良いのですが、実際に人民元/日本円の方がより一層価格が上昇していること、キャリー(スワップ・ポイント)が多くもらえること、人民元金利も小幅に上昇していることから、私は、為替は、人民元/日本円の買い持ちで相場と対峙することを基本戦略にしたいと考えています。

米ドル/人民元(USD/CNH)についても、先週は人民元高が進み、今週に入って6.40割れ目前の水準までドル安、人民元高が続いています。春節期間中の人民元高の勢いはこの辺りで落ち着くことを想定していますが、春節明けに再度、ドル安人民元高方向にじりじりと推移する可能性は十分にあると思います。

最後に対円のパフォーマンスを比較したチャートを改めて載せておきます。

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※2020年の年初のレートを100として通貨ペアの強弱をあらわしたチャート

毎週毎週、くどいようですが、赤いラインの人民元/日本円のパフォーマンスが圧倒的なことが良くわかると思います。

今の地合いで活発になるのがキャリー・トレードです。キャリー・トレードとは円などの低金利通貨を売り、人民元などの高金利通貨を買い金利差(スワップポイント)を獲得するトレード手法ですが、特にドル円が上昇基調にある時には為替差益も狙えることから非常に有効な投資手段となります。

なにごともやってみないと分からないと思いますので、まずは試しに人民元を少額で買い持ちしてみることをおススメします。売りではなく買いからです。


それでは本日はここまでとなります。

引き続き注目度・影響度の高い、香港及び中国本土の情報について皆様にご報告させて頂きたく思っております。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

戸田裕大

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【インタビュー記事】

<参考文献・ご留意事項>

各種為替データ
https://Investing.com

日本経済新聞:香港資産運用のMCP、福岡に拠点 国際金融都市構想第1弾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC125DW0S1A210C2000000/

日本経済新聞:米国防総省、中国政策チームを新設 4カ月以内に提言
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN110BZ0R10C21A2000000/

ジョー・バイデン大統領のマニフェスト
https://joebiden.com/joes-vision/

米国防総省:United States Strategic Approach to the People’s Republic of China
https://china.usembassy-china.org.cn/united-states-strategic-approach-to-the-peoples-republic-of-china/

一般社団法人東京国際金融機構:ウェビナー「Tokyo—Asia’s new financial hub?」の開催について
https://fincity.tokyo/wp-content/uploads/2021/02/1612340566-9563aeca05272a2a1619401680621bc1.pdf

【過去の「日本人の知らない香港情勢」はこちら】

株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大 (とだ・ゆうだい)氏
代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。