外為どっとコムが制作の協力をした「FX予備校」や、マネ育チャンネルで人気のひろぴーさん、ロンドン在住の松崎美子さんなど、FX著名人の書籍を手掛けているライターの高城泰さんに、FX業界の変遷、勝ち組トレーダーのこと、また偽トレーダーのことなどを伺いました。
前回(中編)の最後では「私、いま、2億円持っているんです。」とスマホ画面を見せてくれた高城さんでしたが・・・。
前編:
https://www.gaitame.com/media/entry/2020/03/27/170000
中編:
https://www.gaitame.com/media/entry/2021/02/04/180000
▼目次
・偽トレーダーの見分け方
・無政府状態のYouTube
・FX初心者にまず学んでほしいことは
・記録をつける意義
・経済指標・予定の確認
・マネてマナぶ
偽トレーダーの見分け方
高城:- これ、メタトレーダー4(システムトレードのFX口座)のデモ画面なんです。
PickUp編集部:- え、デモ口座なんですか?この画面、どこにも「デモ口座」って書いて無いですよね。
高城:- はい。MT4のデモ口座には、総資産額を自由に変更できるものがあるので、簡単に2億円とか20億円とか、数字を作れちゃうんですよ。 デモ口座なので、もちろんリアルタイムトレードができますから「ちょっと移動時間に1000万円の取引をしちゃったー」などこの画面を見せながら、サクッと話せちゃうんです。
PickUp編集部:- ショック~。
これ、何も知らない投資初心者の方だったら、疑問を持たずにすぐ信じちゃいますよね。・・・思い起こせばさっきの画面、Twitterで見たことがあるなあ・・・。ちなみに偽トレーダーって何のために嘘をつくんですかね。
高城:- 一部の方は虚栄心を満たすためですが、大半の方の目的はお金を稼ぐためですね。有料のオンラインサロンや、フェースブックなどの限定コミュニティで自身のトレードをリアル配信したりしています。 あとは、FXの売り買いのシグナルをLINEの通知やMT4インジゲーターとして配信しています。海外FX業者のピップスバック目当ての口座開設アフィリエイトもあります。
PickUp編集部:- あの、ピップスバックって何ですか?
高城:- 偽トレーダーがFX初心者へ海外FX業者を紹介し口座開設を促すんですが、口座開設者(FX初心者)が行う取引量に応じて、紹介者である偽トレーダーにお金が振り込まれることを言います。口座開設者(FX初心者)は、このピップスバックの分、トレード時のスプレッドが広くなり、取引コストが割高になります。
あとは無料の自動売買プログラムを配布して、海外FX業者での口座開設へ誘導し、口座ができたら紹介者がピップスバックを受け取るパターンや、FXの売買を他人に任せるコピートレードへ勧誘することもあります。
高額な電子書籍やPDFなどを販売するケースも多いです。大体は内容が薄いです。
PickUp編集部:- いろんな種類があるんですね・・・。
高城:- あと海外FX業者についてですが、ホームページに「キプロスに登録しています」などと書いてあるものの、いくら法人登記簿を探しても情報が出てこないケースや、確かに海外に法人登録はあるけれど金融商品取引業者としての登録がないケースなど様々です。
PickUp編集部:- なるほど、ホームページがしっかりしているから大丈夫そうなど、見た目だけでは判断できないんですね。
高城:- 海外FX業者の評判が分かる「Forex Peace Army」というWEBサイトがあります。 YouTuberが推奨するような海外FX業者は、Forex Peace Armyで「出金できなかった」など酷評されていることが多いです。 評価のコメントがついていない、そもそも批評するに足らない海外FX業者も多くあると思います。
まとめると、日本の個人投資家がわざわざ海外FX業者なんて使う意味がないし、そもそも偽トレーダーのリンクなんて押す必要はないということです。 現在はTwitterやインスタグラム、YouTubeなど様々なところにワナのリンクがありますので気を付けたいですね。
大学生の間で、バイナリーオプションの高額な情報商材が売られているのはよく知られています。ネットにもリアルにも、様々なところにトラップがありますので、そのあたりを頭に入れておいてほしいです。
PickUp編集部:- ちょっと不安になってきました。個人投資家がトラップにひっかからないためにはどうすればいいでしょうか・・・
高城:- まず、何かを売りつけようとする人には気を付けるということでしょうか。
あと、「どこかに連れて行こうとする人」には気を付けましょう。 Twitterで知り合ったのに、LINE@への登録を誘導する人とか、大学のキャンパスで知り合ったのに、先輩に会わせると言って喫茶店に連れて行こうとする人とか、「密室」への誘導が始まったら注意しましょう。海外FX業者の口座開設の勧誘や、高額の情報商材の売り込みが始まったりします。
PickUp編集部:- 「どこかに連れて行こうとする人」、すごくわかりやすいです(笑)。
高城:- あとは、SNSでのフォロアー数やいいね数は、本物のトレーダーか偽トレーダーかの判別には役立たないことも覚えておきましょう。フォロアー数が多いのに、有力FXトレーダーの方が誰もそのアカウントをフォローしていない場合は、気を付けましょう。
無政府状態のYouTube
高城:- Twitterって、比較的「目の肥えた方」が多いので、偽トレーダーが変なことをしていると、突っ込みを入れる「偽トレーダー警察」が飛んでくるのですが、今のところYouTubeはそこまでの方は少ないんですよね。
PickUp編集部:- と、いいますと?
高城:- FXの目の肥えた方は、そもそもYouTubeを見てないんだと思います。私自身もあまりYouTubeはチェックしていないですね。なのでYouTubeは「無政府状態」に見えるんです。
そのうえ、YouTubeってだまされやすい10代、20代の方々が見ているメディアですよね。危ういですね。 もちろんYouTubeで素晴らしい情報発信をしている方も多いですよ。蜂屋すばるさんなんかはしっかりした情報発信で、勉強になります。
PickUp編集部:- うーん。動画だとついつい話に引き込まれてしまうことが多いですが、気を付けるようにしたいと思います。
FX初心者にまず学んでほしいことは
PickUp編集部:- 長年FXの成功者・失敗者をみている高城さんがお考えになるFX初心者へにまず学んでほしいことを伺います。
高城:- これも、ちょっとまとめてみました。
1. デモ、バックテストで経験値を増やす
2. 「FXノート」でPDCAサイクルをまわす
3. 信頼できる「師匠」を見つけて、真似しながら考え方を学ぶ
※スマホアプリを活用する/取引アプリ以外で有用なアプリ
1のために――「Be a Trader」でFXに慣れたら「ChartBook」=バックテストツール。有料(120円)だが確実に値段以上の価値。こちらで手法を試す
2のために――「新・羊飼いのFX」=1日の予定確認と、急騰・急落アラート
2のために――「FXorder」=IMMやオーダー情報をアプリで素早く確認できる。
水平線を引く位置の確認に 外為情報ナビで個人の、FXorderでプロの状況を確認
PickUp編集部:- 本当にありがとうございます。
高城:- まずは、FXのデモ口座などで試してほしいです。 様々な注文を気軽に試せるので、操作方法をまず覚えるという意味でも有益です。 そして、バックテストと呼んでいますが、過去の値動きを確認して、有効そうなトレード手法を探します。 デモ口座では身が入らないという方へは、外為どっとコム(のFX口座外貨ネクストネオ)では、※1000通貨(=1Lot)から取引ができるので、数百円から数千円で取引が始められるので、小額でまずやってみるというのもよいですね。
※取引通貨ペア・取引保証金についてはこちら
PickUp編集部:- バックテストについてなんですが、過去の相場ではバッチリはまる手法でも、未来の値動きにはあてはまらない、カーブフィッティングのワナにはまる可能性もあるかと思いますが。
高城:- ここでいうバックテストというのは、それほどガチガチの分析というよりもですね・・・
この「ChartBook」というスマホアプリを見てほしいんですが。
※iOS版のみ公開中
高城:- 上と下でチャートがわかれていまして、マルチタイムフレームで連動しています。注文を出すとこのように印がついて、トレードの良し悪しを後から見られるんです。ぱっと見でわかりやすく、相場分析もしやすいですね。すごく素晴らしいアプリだと思います。
高城:- テクニカル分析もたくさんついていますし、アプリのアップデートで使えるテクニカルの種類も追加されているので、私がやりたい検証が大体できていますね。 水平線も引けば、2つのタイムゾーンで連動しますから見やすいです。
裁量トレード向けのバックテスターで、これ以上優れたものってあるだろうか、と思うくらいです。
PickUp編集部:- スマホアプリですから、片手で移動時間中に試せちゃいますね。素晴らしい。
高城:- レートはリアルタイム取得ではないので、ローソク足のデータ更新はすこし遅れます。 あと、このアプリは個人の方が作られていて、120円と有償ですけど、FX初心者であればこういうので練習をされるもの良いなんじゃないでしょうか。 外為どっとコムの「Be a Trader」 アプリも、デモトレードができてよいと思います。
記録をつける意義
高城:- FXトレードの記録をつけるノート、メモは大事だと思います。 上手なトレーダーの方々って、なんらか記録を付けているんですよね。 手書きの方もいますし、スマートフォンのメモ機能でもよいと思います。
SNSにつぶやく形で記録する方もいますね。フォロアーから突っ込みが入って、励みになりますし。 ブログを書く方もいます。メモや反省を多く書けますし、ブログ内の検索もできます。また、アフィリエイトの期待もできる。人それぞれでいいと思います。 逆に言えば、メモを取らないと、忘れちゃうんですよね。このトレンドラインを目安に取引しようと考えていても、仕事しているうちに忘れちゃうんです。 見返すことで自分の得意パターンを発見することができますから、とにかくメモを取り改善するのはおすすめです。
PickUp編集部:- ちゃんと記録をつける。耳が痛いです・・・。
経済指標・予定の確認
高城:- 経済指標や要人の講演などの予定は、どのような手段でもいいと思うんですが、「新・羊飼いのFX」アプリだと通知が来るので良いかなと思います。 急騰・急落を知らせるサービスを利用するのもよいですね。通知を受けたら、相場で何かあったかな、とチャートを確認することができ便利です。 私は開かない日がないくらい重宝しているのは「FXorder」アプリです。
高城:- DZH社が提供するマーケットのオーダー情報がさっと見れますし、IMMのポジションの偏りも手っ取り早く見れるのでよいです。 IMMデータについて、ちゃんと分析したいときは、外為どっとコムなどがまとめているIMMのデータをダウンロードしてきています。 FX初心者の方も、オーダーとIMM情報を見るだけでもだいぶ変わるんじゃないでしょうか。
マネてマナぶ
高城:- あとは、信頼できる「師匠」を見つけて、マネしながらトレードの考え方を学ぶ、というのも大事です。先ほども言いましたが、スキャルトレードも、リピート系も、トルコリラ投資も、経験豊富な先輩がいますので、その中で師匠を決めて、しっかり学ぶというものですね。 ある個人投資家から聞いた話で心に残っているのが「今はだれでも億トレーダーになれる時代だ」という発言です。 要は、トレードがうまい人がどんどん情報を出してくれるので、マネしているだけで億トレーダになれるんじゃないか、ということでした。 その方は有料メルマガの内容を、読んですぐにトレードに反映していました。
有料のものでなくても、先輩トレーダーがSNSなどで公開しているポジションを参照するのでもいいでしょうし、マネ育チャンネルにも様々なコンテンツが公開されているので、そんな中から自分のトレードの時間軸や取引スタイルにあう人、またレポートを見つけて、ひたすらマネして学んでいくというのが、FX投資成功の近道なんじゃないかなと思います。
私自身も、有料メルマガの内容をマネしてトレードするためのFX口座を複数持っています。 自分の判断でトレードする口座も持っていますので、「有料メルマガの筆者はなぜここで買い推奨したのだろう」など、自分でも考えたうえでマネすると学びが深くなりますね。 つまりポジションをマネると同時に、チャートなどを確認して、ここで買う・売る理由を想像しながら、先輩トレーダーの考え方を追体験すると、実力がついてくると思います。
PickUp編集部:- FX業界の変遷や、トレーダの傾向、偽トレーダーの見分け方、初心者に学んでほしいことなどいろいろお話伺ってきました。本日はありがとうございました。