“ゲーム・チェンジとなるか?”

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バイデン新大統領誕生後、ニューヨーク株式市場では祝賀ムードに包まれているかの様に株価が堅調に推移し、連日3指数が史上最高値を更新している中、1月最終週に入って突如大混乱が起きた。

その発端は“ゲーム・ストップ”と言う名も知れないビデオゲーム小売りチェーンや映画館運営会社のAMC.エンターテインメント・ホールディングスなどの銘柄の高騰である。
“ゲーム・ストップ”の株価はヘッジ・ファンドの空売り攻勢に遭って永らく19~20ドル近辺で低迷していた。
そこへ個人投資家がSNS.(交流サイト)のチャット・サイト上で団結して、“ゲーム・ストップ株のコール・オプション(株を買う権利。)を買おう。”と呼び掛けた。
現物株の買いと違ってコール・オプションの買いはプレミアムを支払うだけで比較的個人投資家も安く買うことが出来る為に買いが殺到し、コール・オプションを売却した証券会社などのヘッジの現物買いが入り、週明けの26日には株価が148ドルまで高騰した。
その勢いは止まらず、翌27日には高値347ドルまで高騰して空売りをしていたヘッジ・ファンドが巨額の損失を被り、損失補填の為に仕方なく手元の利が乗った他の株を売る必要に迫られて3指数共に2%を超える下げを誘う事となった。

個人投資家集団がプロのヘッジ・ファンド集団を打ち負かしたのである。

この“ゲーム・ストップ”の株価の急騰と3指数の急落に驚いた個人投資家集団にオンライン取引プラットフォームを提供するスマートフォン専業証券“ロビンフッド”といった、インターネット証券大手が相次いで“ゲーム・ストップ”などの乱高下した銘柄の株式などの購入停止措置の導入や取引証拠金の引き上げなどを行った為に28日には一時高値483ドルを付けた“ゲーム・ストップ”の株価は155ドルまで急落し、3指数は前日の下げの半分の凡そ1%を戻すこととなった。

ところがである。
この措置に対して個人投資家集団のみならず政治サイドからも異論が出て29日にインターネット証券が一転して購入停止措置を緩和したところ、“ゲーム・ストップ”の株価は328ドルまで急反発し、3指数は揃って凡そ2%以上の下げで週を終えることとなった。

3指数は27日に2%下落、28日に1%戻し、29日には再び2%下落して3日間で3%下落して、まるでドタバタ劇である。

1月6日のジョージア州での補欠選挙で民主党が共和党から2議席奪取して、大統領、そして上下院とも民主党と言うトリプル・ブルーとなり、大規模財政支出期待と金融緩和政策継続で堅調な株価の動きが続くと思われた株式市場に突然横槍が入った感が有る。

“ゲーム・ストップ”のなどの名も無い銘柄の株価高騰が引き金となった株式市場の変調が“ゲーム・チェンジ”=(今迄の堅調な地合いがベア・トレンドに変化する。)の引き金となるのか?(詰まらない駄洒落である..)

ドル・円相場はこのドタバタ劇が始まるまでは103円台で静かに推移していたが、株価の下げと共にリスク・オフとなってドル高の展開となり、上値抵抗線と見られていた90日移動平均線の104.35辺りを上切ると損切りを含めたドル買いが先行して高値104.94を示現した。


金曜日、ニューヨーク株式市場での大幅な下げを見た後の週明け東京株式市場の動向が注目されたが午後12時30分現在で前日比+320円で取引されて落ち着いた動きとなり、ドル・円相場も104.70近辺で小動きである。

ところで今回の“ゲーム・ストップ”株の上げを演出した個人投資家達(株式売買にロビンフッドを使用するのでロビンフッダーと呼ばれる。)はSNS.上で“ゲーム・ストップ株が1000ドルになるまで持ち続けよう!”と煽っている。

今回のドタバタ劇が一過性のものなのか、或いは高値警戒感が漂っていた株式市場が“ゲーム・チェンジ”となって更なる調整を見せるのか?

個人的には株高を牽引してきた大規模財政支出期待と金融緩和政策継続の二つの柱には変化は無く、短期的な調整後、株価は再びブル・トレンド(上昇トレンド)に戻るものと思っている。
言い換えれば株価下落によるリスク・オフのドル高は長続きせずレンジが多少上にずれたものと考える。

暫くはニューヨーク株式市場の動きから目が離せない。

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