“ドル買い&円売り介入が可能か?”

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先週のレポートでご紹介した塾長の情報ソースの一人であるアメリカの友人から今朝メールが来た。

“菅首相がドル・円を100円以下には行かせるな。と言ったらしいが本当か?”と少々慌てている。

そう言えば、日曜日の日経新聞にその様な記事が載っていた。

これが海外のFX.専門誌に翻訳されて載ったらしい。
中身は日経新聞の記事と同じだが、

Japanese Prime Minister Suga has painted a target on USD/JPY - don't let it fall under 100


菅首相がドル・円にターゲットを作り、100円以下には行かせるな。 

PM Suga has told officials at Japan's Ministry of Finance not to let USD/ yen drop under 100

菅首相が日本の財務省に対してドル・円を100円以下に行かせるなと述べた。

Japanese media, Nikkei with the info:

日経新聞によると

"Make sure the yen-dollar exchange rate does not cross the 100 yen mark"

ドル・円相場が100円の大台を切らない様にしろ。

confirmed by multiple sources

幾つかの関係者から確認済み。

came with an unspoken message: Be prepared to sell yen for dollars in case the Japanese currency breaches the key threshold.

消息筋によると、“日本円がカギとなるレベルを破ったらドルに対して円を売る準備をする様に。”と言ったらしい。

Suga's willingness to consider an intervention -- an option often seen as a last resort -- took many by surprise.

最後のオプションとされる介入に対しての菅首相の意思表明は驚きで迎えられた。

Suga's order came just after US election day. 
菅首相からの指図はアメリカ(大統領)選挙日直後に伝えられた。

ドル・円介入についての知識を持たない人はびっくりしたであろうが、塾長は
“これは日曜日の日経新聞の記事から来ているが、信じないほうが良いと思う。
そもそもドル・円介入は日本政府・日本の財務省の一存では決められないし、こんな記事見たらバイデンさんきっと怒ると思うよ?”答えておいた。

我が国の最後のドル・円介入は2011年の東日本大震災の折に投資家が“我が国の機関投資家が海外の債権を処分してレパトリ(円への回帰)をする。”と言う間違った思惑で82円台からドルを売り浴びせて76円台まで急落した時に行われたが、あの時は日米政府共に“急激なドル安&円高進行は未曽有の天災に遭った日本経済にとってマイナスである。”との共通認識が有ったが、今は違う。

ドルは年初から対ユーロ、他豪ドルで約9%下落しているのに対して対円では約5%しか下落していない。

市場はバイデン政権が財政支出拡大を行い、FRB.が金融緩和姿勢を続ければドルが下がるのは自然であると解釈しており、ドル・円相場の100円と言うレベルは何の意味も持たない。
市場は2011年~2012年、安倍政権がアベノミクスを掲げて金利安&株高を演出する前は80円前後で安定していたことを忘れている。

そして筆者は2013年にドル・円相場が95円を上切った時にアメリカの政策当局者の一人が“100円を超えることは許さない。”と言った事を覚えている。
その後2015年には125円を超えるドル高&円安となったが、市場には“日銀が超金融緩和政策を続けているんだから円安進行は仕方ない。”と言う雰囲気が有った。
そして余り為替相場のレベルに関しての話は聞かれなくなった。

さて、いみじくも米財務省は先週16日、貿易で有利になるよう意図的に通貨を切り下げているとして、対米貿易黒字を膨らませるベトナムとスイスを「為替操作国」に認定した。2011年以来為替介入を実施していない我が国は為替操作国としては認定されてはいないが、依然として「監視リスト」に指定されている。
この様な状況で我が国がドル買い&円売り介入を行うことが出来ると菅首相が考えているとしたら、強い違和感を感じる。

週末に行われた世論調査によると菅内閣の支持率が39%まで急落したらしい。
此処ら辺で外交面で一つくらい安打を打って貰いたいところだが、自分勝手な思い込みでアメリカを怒らせたら一巻の終わり。

選挙区を神奈川にお持ちの菅さん、神奈川県民として“頑張って下さい。”と申し上げます。


相場はクリスマス・年末を控えて閑散ムードである。
ドル・円相場は先週一瞬103円を切って直ぐに戻したが、オプション絡みで“どうしても103円ちょうどを割らせたい。”売り手と、“どうしても103円を守りたい。”買い手の鬩ぎあいとなり、どうやら手打ちとなった感が有る。

明日期限を迎える103円丁度ストライクのオプションが存在し、暫くは103円近辺で揉み合いそうである。

今年は年末に向けて12月31日(木)は東京市場が休場で、1月1日(金)は世界中の為替市場が休場となり、年末・年始特有の市場の流動性低下が見込まれる。
思い起こせば2019年の正月1月3日にトルコ・リラの急落に伴ってドル・円相場も108円台から104円台まで急落したことは記憶に新しい。

何かが起きて相場が急変しても対処出来る様なポジション維持に心掛けたい。


これが今年最後のレポートとなります。
本年もお読み頂き有り難う御座いました。
来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。

   酒匂。

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