意外にもトレード環境はノートパソコンにスマホで、特に詳細なチャート分析はせず、ニュースなどで得られた情報だけで取引を実施していることを話してくれたYさん。後編では具体的な取引スタイル、投資目標などを伺い、後輩へのアドバイスをいただきました。
以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものであり、また、お客様の収支については、「取材依頼時点」のものとなり、その内容については、当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
(この記事は2020年12月10日に掲載した記事名『私立学校教員 Yさん「月10万円の利益で十分。短期でトレードを回転させて着実に」トップトレーダーに聞く!(後編)』を一部修正したものです)
Yさん プロフィール
年齢性別 :40代男性
職業 :私立学校教員
収支 :単月約360万円超 (2020年10月収支)
通貨 :米ドル、豪ドル、NZドル
趣味 :海外旅行
▼目次
1.短期で何度も繰り返すスタイル
2.目標は月10万円と堅実に
3.上がりそうな豪ドル、NZドルにも挑戦
4.逆張りが裏目に出ないよう負けたら離れる
5.為替相場が動く要因だけは理解しよう
6.心のダメージを織り込んで資金額を決めよう
短期で何度も繰り返すスタイル
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編集部: - Yさんのトレードスタイルを教えてください。
Yさん:- 基本的にデイトレードですね。長くても2〜3日での短期売買です。ちょっとずつ、何度も繰り返すスタイルです。1日のうちに、何度も「買って」「売って」を繰り返しています。もちろん、“持ちっぱなし”にしておくといい場合があることも、頭では分かっています。でも、私は目先の残高が増えることに流されてしまうみたいで(笑)、赤字の状態でポジションを持ち続けるよりも、利益があるときに、確実に「利確」して、小さな利益をコツコツと積み重ねていくほうが、精神的にいいと思っています。
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編集部: - つまり、日をまたがずに、ポジションはクローズするデイトレードスタイルということですね?
Yさん:- 予想通りに進んでいるときは、そのまま放置することがあります。ただ、後から振り返って、平たくなるような相場もありますから、ほんのちょっとでも利益が取れたらうれしいので、できるだけ利確しますね。
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編集部: - もし、トレンドに対して確信が持てたときは、ある程度の期間、ポジションは保持するということでしょうか?
Yさん:- ある程度の期間、「こう動くだろう」みたいに思っているときは、多少チャートが“デコボコ”していても、ポジションを持ち続けることが多いですね。そう思えないときは、確実に「売って」「買って」という感じです。
目標は月10万円と堅実に
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編集部: - 月単位や年単位で目標金額を定めていますか?
Yさん:- 最初は月10万円でいいと思っていました。
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編集部: - 目標金額を月200%のような“ちょっと無理な”目標を立てて、実際にはうまくいかないケースの方もいっらしゃいますが。
Yさん:- そうですね。私は我慢しながらコツコツとやるのが、いい結果につながると思っています。FXは自分の読み通りにいかないことが多いので。
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編集部: - 投資はFXだけですか?
Yさん:- 株式も持っていますが、運用益を狙うというよりも、“応援”目的です。長年住んでいた沖縄県の企業の株を買っています。だから株は持ちっぱなしで、「ちょっとだけでも、利益が増えていればいいかな」っていうレベルの投資です。
上がりそうな豪ドル、NZドルにも挑戦
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編集部: - 米ドル以外にどんな通貨を持っていますか?
Yさん:- NZドルに手を出して、大失敗している最中です(笑)。ほかにはユーロと豪ドルですね。
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編集部: - 米ドルから他通貨にチャレンジしようというのは、米ドルよりもボラティリティがあるからですか?
Yさん:- それもありますが、必要保証金が少なくて、たくさんロットが持てるからです。ちょっとハイリスクなものにも、チャレンジしてみたかったので(笑)。
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編集部: - 米ドル/円相場の情報はたくさん入手できますね。しかし、他通貨は情報量が少ないですよね?
Yさん:- そうですね。私が投資している4通貨はまだしも、これら以外の通貨になると、時間をかなり割いて調べたり、考えたりしないといけないので、トレードはかなり難しいかなと思います。豪ドルやNZドルに手を出したのは、コロナ禍からの立ち直りが早そうだとか、これまで安定成長してきたので、長期的にも上向きで、上昇が期待できるとか、そういう判断からです。
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編集部: - 起床後にまず4通貨のチャート確認ですか?動きがありそうだと思ったら、その通貨に絞って売買するのですか?
Yさん:- そうですね。毎朝選ぶというよりも、NZドルが動きそうだったら、「しばらくそれでいってみよう」って感じですね。トレンドがわかりやすいほうが、トレードするにはいいですからね。
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編集部: - なるほど、トレンドに合わせて「売り」も「買い」も、相場が動いている方向でやっていくという感じですか?
Yさん:- そうですね。自分の中で、もうこれ以上の円安はないだろうと思う水準になったら売ります。自分の判断の上限まで上がりきったな、下限まで下がったなと思ったら、そこで手仕舞いです。
失敗したときのメンタル修正はどのようにしていますか?
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編集部: - 失敗したときのメンタル修正はどのようにしていますか?
Yさん:- しばらく相場から離れて、パソコンは触らないようにするしかないですね(笑)。逆張りしたときは、結局それが裏目に出て、どんどん深みにはまることもあります。いったん現実を受け入れて、インターバルを取るようにしています。
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編集部: - FXの喜びや苦しみを、誰かと共有していますか?
Yさん:- ないですね。妻にも内緒ですから(笑)。だから、うまくいったときでも、家庭内では喜びを感情に出せません(笑)。ただ、生活を成り立たせる部分は、私と妻とでちゃんとできていますし、子育ても含めて問題なく回っています。それ以上のところを、私の妻は気にしたり、聞いてきたりしてこないので、そこは幸いかな(笑)。妻はネットバンキングも嫌いなので、もし、パソコンでトレードするFXの話を聞いたら、かなり嫌がると思います(笑)。
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編集部: - YouTubeで動画配信をしているトレーダーのコンテンツを見ることもないですか?
Yさん:- ないですね。あれはパフォーマンス的なものではないでしょうか。個人的には、正直、取引の原則とリスクを理解してやっている方が配信しているか怪しいと思っています。FXはフェアというか、資産が減るも増えるも自分の判断次第でリスクをどこまで取るかっていうところが大事だと思っています。
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編集部: - じゃあ、もう本当に一人でされているんですね。孤独ですね。
Yさん:- そうですね。やっぱり大きく損失を出してしまった後は特に孤独感があります(笑)。
為替相場が動く要因だけは理解しよう
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編集部: - 書籍などを読んで、FXの勉強はされましたか?
Yさん:- いやFXのために専門書などを読んだことはないです。ただ、為替相場の動く要因がどういうものなのかという勉強はしました。貿易の影響や金融政策の影響を受けると、相場がどうなるかが分かっていれば十分なのかなと思います。貿易量や貿易額などの実際の変化と比較すると、そうした経済状況の影響を受ける為替相場に投資したお金の増減は大きいものだと自分は捉えるようにしています。正直、テクニカル分析のようなFX“特有”のことを覚えるよりも、根底にある経済の基礎知識を覚えることが、最初にやるべきことだと思っています。
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編集部: - なるほど、初心者には参考になるご意見ですね。ところでYさんにとって、FXの楽しさは何でしょうか?
Yさん:- やっぱり、短期間でお金が増えることじゃないですか(笑)。
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編集部: - 逆に苦しさは?
Yさん:- ハイリスク・ハイリターンということを承知していながら、それでもあえてFXをやることは、なかなか苦しいですよね(笑)。自分は“冒険心”という言葉に置き換えて、FXに取り組んでいます(笑)。
心のダメージを織り込んで資金額を決めよう
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編集部: - 最後に何か後輩トレーダーに、これだけは言っておきたいというアドバイスをお願いします。
Yさん:- リスクの大きさを理解していてほしいということ。それと最初のうちは少しずつやってくださいっていうことですね。FXに使っていい余裕資金の金額を決めるときに、心のダメージを勘案して、金額を決めていただきたいと思います。金額以上に気持ちの面がおさまるかが大切です。
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編集部: - もし知り合いから「FXを始めようかな」と相談されたらどうしますか?
Yさん:- 質問攻めにします。やりたい理由とか、お金どれくらい持っているかとか、包み隠さず、即答できるのなら、「ちょっとやってみたら」っていうと思いますし、お茶を濁したような返事をするようでは、リスクも分からずに、適当なことをやってしまいそうなので勧めません。それと年配の人には勧めないかな。もし資金を減らしてしまったとき、それを取り戻すために費やす人生の時間のことを考えたら、やっぱり大変ですから。もし両親が相談してきたら、私は止めるようにいうと思います。
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編集部: - 確かに人生の時間は有限ですからね。若ければリスタートが可能だという意見はよくわかります。結局、リスク管理をしっかり行うことが大切で、時間がたくさん残されている若い人ほど、リスクを多く取れる可能性が高いということなのですね。
Yさん:- おっしゃる通りですね。
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編集部: - 今日はどうもありがとうございました。
Yさん:- こちらこそありがとうございました。
(後編にここまで)
Yさんが好成績を収めている裏には、FXはあくまでも余裕資金で行うこと。口座に入れた資金がなくなったら、潔く撤退すること。収益目標は、月10万円という大きすぎない手が届きそうなものにすること。テクニカル分析などの技術に走るのではなく、学校で習うような政治や経済の基礎知識を大切にしていること。いずれも初心者でも心掛けられそうなものばかりです。リスクを抑えた堅実なトレードこそが成功の近道なのかもしれません。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】