総括
次の焦点は3Q・GDP、南アへの投資は順調
「通貨11位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド円 6.5-7.0」
(ポイント)
*11月は先週末では最強通貨
*10月CPIは3.3%に上昇
*4Q企業景況感指数は改善
*南アへの投資は順調
*ワクチン接種は来年半ばか
*12月8日に3Q・GDP発表
*予想通り格下げされる
*予想通り政策金利は据え置き
*南アの財政赤字は対GDP比62.2%
*南アはコロナ感染者数が75万人超とアフリカ最多
*すべての国との往来を解禁
*10月各PMIは改善
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結
*貿易黒字は5か月連続黒字(9月で)
*IMFは、南アの2020年の成長率予想をマイナス8%に据え置く
*このところの指標改善は3QのGDP拡大を示唆している
*中銀の20年インフレ見通しは3.4%
*コロナ感染者数は世界12位
*電力供給は不安定
*2Q・GDPは予想より悪化の51%減
(市況)
10月の消費者物価指数(CPI)は、前年比プラス3.3%と7カ月ぶりの大幅上昇で、予想を上回った。予想は3.1%上昇、9月は3.0%上昇だった。4Q企業景況感指数は40ポイントと、3Qの24ポイントから上昇した。ロックダウンが緩和されたことで経済活動がふたたび活気付いた。ただ市場は慎重だ。「企業景況感の上昇には勇気付けられるが、それは経済が集中治療が必要な状態から脱却したことを意味するにすぎず、経済はまだ高度な治療が必要な段階にある」とされている。
次の焦点は12月8日発表の3Q・GDP。
(政府が投資会議を開催、5年間の投資目標の6割強を達成)
政府は「南ア投資会議2020」を開催した。ラマポーザ大統領は、新型コロナウイルス感染拡大により国内経済はかつてないほどの打撃を受け、失業率も過去最悪を記録したことから、経済の立て直しが最優先事項だと強調した。2018年4月にラマポーザ大統領が宣言した5年間で1兆2,000億ランドの投資を呼び込む目標に対し、現在までに主要産業の鉱業分野を中心に、総額1,720億ランド規模のプロジェクトが実行に至ったと成果をアピールした。他方で、これまでにコミットされた投資プロジェクトの約10%に当たる21件が新型コロナウイルスの影響で遅延または保留となっているとし、影響の大きさに触れた。
会期中に50社超による総額1,096億ランドの投資が約束され、これにより投資目標の64%となる7,736億ランドの投資がコミットされたとしている。具体的には、米国飲料大手ペプシコによる生産施設向け拡張投資(55億ランド)、米通信大手グーグルによる光海底ケーブルの設置(22億ランド)、南ア通信大手テルコムによるインフラ拡張投資(80億ランド)など、既に進出している企業や国内企業による設備投資が報じられている。
(チャジバナ中銀副総裁、回復は遅い)
チャジバナ中銀副総裁は、新型コロナウイルス危機からの回復が「遅く、困難な」ものになるとの見通しを示した。フィッチとムーディーズが既にジャンク級にある南アのソブリン信用格付けをさらに引き下げたことについてチャジバナ氏は、市場の変動が高まる可能性を注視していくと発言。「ジャンク級の中でさらに格付けが下がれば、かなり異なる種類の投資家が入ってくるだろう。短期志向の投資家になるかもしれない」と説明した。
同氏はまた「いかなる措置についても扉は閉めていない」と述べ、金融緩和余地は残っているとの認識を示した。南ア中銀は今年大幅な利下げを行ったが、11月19日の政策決定会合では主要政策金利を3.5%に据え置いていた。
(ワクチン接種は来年半ばか、アストラゼネカが有力)
アフリカ疾病予防管理センターのケンガソン氏は、アフリカでは新型コロナウイルスの大々的なワクチン接種が来年半ばにずれ込むとの見通しを示した。
一部欧州諸国では、早ければ来年1月にも本格接種が始まると予想されているが、富裕諸国が医薬品会社と大量の供給契約を2国間で結んでいるため、アフリカに供給される順番は最後に近くなると懸念されている。
ケンガソン氏は「アフリカでは適切なタイミングでワクチンを入手できないことを強く懸念する。私見では、アフリカでワクチン接種が本格的に始まるのは来年半ばになりそうだ」と述べた。アフリカ大陸は暑く、慢性的に電力供給が不足していることも、ワクチンを適切な低温で輸送・保管する上で克服すべき問題だと指摘した。
ケンガソン氏は、最終的に大陸人口の60%にワクチンを接種するのがアフリカ疾病予防管理センターの目標だと説明。他社製に比べて保管温度の条件がさほど厳しくない英アストラゼネカのワクチンが、今のところは「アフリカで普及する可能性が最も高い」と述べた。
テクニカル分析(ランド/円)
11月9日の高値を上抜けず反落
日足。11月9日の高値を上抜けず反落。11月26日-27日の下降ラインが上値抵抗
11月20日-23日の上昇ラインがサポート。5日線上向き、雲の上。
週足。雲の上に出る。11月9日週-16日週の下降ラインを上抜く。ボリバン2σ上限。
11月9日週-23日週の上昇ラインがサポート。
月足。9月-10月の上昇ラインがサポート。7月-10月の下降ラインを上抜く。一時ボリバン中位に到達。雲の下。
年足、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
下院、来週にラマポーザ大統領の不信任案を採決へ
南ア国民議会(下院、400議席)は11月26日、少数野党が動議を提出したアフリカ民族会議(ANC)ラマポーザ大統領の不信任決議案を12月3日に公開で採決すると発表した。提出したアフリカ変革運動(ATM)は2議席しかなく、可決の見込みは低い。
最大野党の民主同盟(DA)は賛同しないことを表明した。
ラマポーザ氏は2018年2月に大統領に就任し、同国への投資家の信認回復に努めてきた。ただ、ANCの内紛や同国の財政悪化で苦闘が続いている。ズマ前大統領もたびたび不信任決議案を提出されたが、最終的には汚職疑惑でANCから追い落としにあった。
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