撮影:椋尾 詩
今なお世界中で猛威を振い続ける新型コロナウイルス。未だ収束の目処が立たないのは日本も同様で、企業や自治体はもとより、人々の日常までもがwithコロナ時代に向けた変革を余儀なくされている。「新しい生活様式」や「ニューノーマル」といった言葉をあらゆるシーンで目にするようになり、それらの概念を今後よりシビアに求められていくことも容易に想像できる。
そんな中、お金については変化があるのだろうか。そして、貯蓄やそのための節約、さらには資産運用から投資に至るまで、これからどのように向き合っていくべきなのだろうか。「ミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家」として幅広い世代にお金に関する仕組みや知識を広める活動をしている横川楓さんにお話を伺った。
以下の取材記事は、個人のご経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については、充分内容をご理解のうえご自身の判断にてお取り組みください。
▼目次
1.コロナ禍の影響はミレニアル世代にも…
2.消費のモチベーションとプロセスに変化あり
コロナ禍の影響はミレニアル世代にも…
編集部:- 新型コロナウイルスが発生してから、長らく時間が経過しました。現状、収束の見通しがなかなか立ちませんが、その間に世の中は大きく変わりました。そんな中、横川さんご自身のライフスタイルに変化はありましたか?
横川:- このコロナ禍のタイミングでオンラインにシフトしたお仕事が増えました。やはり対面で行う仕事はかなり限られてしまい、オンライン上でお金の相談に乗る機会も以前よりかなり増えましたし、一方で勉強会の代わりになるものという意味で、Youtubeをはじめるきっかけになりました。お金のことをメイクやダイエット動画のように気軽に学べるYoutubeを目指して頑張っています。
編集部:- やはり影響はあったんですね。この状況はしばらく続きそうですか?
横川:- やはり新型コロナの影響で収入に変化があり、経済支援策や何かしらの情報を求める方が増えた分、そういったことに関する相談も増え、これからもそういった機会はもちろん続くかと思います。
編集部:- 具体的に調べないといけないこととは、やはりコロナ関連のことですか?
横川:- コロナ関連の法改正や支援策などについては、日を追うごとに情報がアップデートされていくので、適切なタイミングで必要な人に情報を届けられるよう、チェックはかかせません。
編集部:- 横川さんの周りの同世代、つまりミレニアル世代の方々への影響はいかがでしょうか?
横川:- 会社員の方もリモートワークになり、家で仕事する環境を整えるための出費があったり、食事が外食ではなく自宅での食事メインとなったり、お金の使い方が今までと変わってきています。また、飲食店勤務や自営業の方の中には仕事がまったくなくなってしまったという人もいて、収入面でかなりの影響がでている人も多いように思います。
編集部:- お友達やクライアントからの相談というのは、実際にどんな内容が多いですか?
横川:- コロナ禍のタイミングでという意味では、経済支援策についてがほとんどです。最近は以前より官公庁のサイト自体がわかりやすくなっていたりもしますが、必要な書類や、仕組み、申請の方法など、初めて制度を利用する人にとっては少し難しかったりします。また、このコロナ禍できちんと収支を見直そうと思った人が多いようで、そういった相談も受けます。
編集部:- 相談者に対して横川さんから特別アドバイスしていることはありますか?
横川:- 使える制度や公的相談窓口への相談を積極的に利用するということです。特に生活に困窮して公共料金や通信費、クレジットカードなどの支払いを滞らせると延滞金などが発生しますし、場合によっては個人の信用に傷がつくこともあります。 今回のコロナ禍を機に、いろいろと活用できる制度があるということに気づかれた方が多かったように思います。
もし今困っているという方がいたら、一人で抱え込まずに公的窓口や支払先にまずは相談をしてみてほしいです。
消費のモチベーションとプロセスに変化あり
編集部:- 横川さんご自身の私生活への影響は出ていますか?
横川:- 私自身は、もともとアクティブな方ではないので……、プライベートでも大きくは変わらずといった感じです(笑)。
編集部:- では、横川さんの周りの方々はどうでしょう?
横川:- 周りを見回してみると、舞台やライブイベントなどが開催できない関係でゲームアプリやアニメのコンテンツにハマる人が増えたような気がします。ツイッターを見ていても、アプリに関するワードがトレンド入りしていることが多くなったと思います。
また、ニンテンドースイッチ用のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」の大ヒットも、コロナ禍の影響が考えられますよね。外出できず、なかなか会えない友達ともゲームの世界でお話ししたり、わいわい遊ぶことができるので、“あつ森”はそういう自粛期間中のストレスを緩和してくれるものになったんだと思います。実際に私の周りでも、始めた人が増えました。家にいる機会が増えた分、その中で完結できるものにハマる人が増えたんだと思いますね。
編集部:- コミュニケーションの変化がそのまま消費の流れの変化を促した形なのでしょうか。この流れは今後も顕著になっていくと思いますか?
横川:- 消費の流れの変化に関しては、コミュニケーションは要因の一つであって、単純に家にいる機会が増えたので、その時間を快適にするお金の使い方にシフトしているんだと思います。事実、ゲームやアプリだけでなく、家電やインテリアなどの売れ行きも伸びています。この流れはしばらく続くと思います。
編集部:- そんな中、特に横川さんが注目している「モノやコト」を教えてください。
横川:- これからの状況を考えると、やはりゲームアプリはさらに伸びていくと思います。私が個人的に注目しているのは、「ディズニー ツイステッドワンダーランド」です。「不思議の国のアリス」や「眠れる森の美女」など、ディズニーアニメの悪役から着想を得た男性キャラクターが魔法学校に通っているという設定のゲームです。最近、ツイッターのトレンドにもよく上がっています。
編集部:- もしかして横川さんもハマってるとか?
横川:- 実は私もハマってます(笑)。このアプリはウォルト・ディズニー社がアニプレックスと手を組んでいたり、キャラクターデザインを人気コミック「黒執事」の枢やなさんが手掛けていたりと、販売戦略も上手なんです。ゲームとしての質の高さだけでなく、ビジネス的な観点から見ても非常におもしろい作品です。
これからもっと人気が出ると思いますし、今後の新たな展開も期待できます。そして、もう一つは今日着ている洋服なんですが。
編集部:- アパレルというと、このコロナ禍で非常に厳しい状況に置かれているイメージですが…。
横川:- 実は元AKB48の小嶋陽菜さんが手掛けている「Her lip to」というブランドなんですが、販売の手法が非常にかっこいいんです。
編集部:- かっこよさを感じるのは、具体的にはどういうところですか?
横川:- 今注目を集めている“D2Cブランド”と呼ばれるもので、基本的にオンラインで購入するシステムなんですが、発売前に小嶋さんご本人が「こういうところがいいよ」ってSNS上で発信してくれたり、インスタグラムのストーリーで小嶋さんが消費者の質問に答えてくれたりするんです。それってEコマースで洋服を買う一番のメリットだと思うんです。 対面では、接客された人しか情報が得られないけど、SNSで質問に答えてくれれば、それこそ見ている人の数だけ情報がシェアされますよね。これは双方にとって大きなメリットです。
アパレルが非常に苦しんでいると言われていますが、インフルエンサーやファッションアイコンが洋服を作って、自らが商品のモデルとなり、さらにブランドのSNSアカウントも自分で運用してビジネスを展開していく形は、これからもっと伸びると思いますね。
編集部:- モノを買うプロセスや経由するものの変化が、このコロナ禍を機に加速しているんですね。
横川:- ミレニアル世代の多くは、もうネットでモノを買うことに抵抗はありません。実際に外出を極力控えないといけないとなると、オンラインで購入できるECサイトに頼るのは必然だと思います。
編集部:- こうしてお話を伺っていると、自分たちの半径数メートルの世界も確実に変化していることを改めて感じますね。
横川:- そうですね。私自身、昨年話題になった「老後資金2000万円問題」あたりから、世間のお金に関する関心の高まりを感じていて、そして今回のコロナ禍でそれが加速したと思います。
これを機に資産運用や投資について考えようと思っている方は、コロナの感染状況や感染対策などの情報をチェックするのと同時に、こうした世の中の変化や流れをしっかり見ておいた方が良いと思います。
横川楓氏
1990年東京都生まれ。明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として、“お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく”をモットーに活動している。幼稚園児向け雑誌でのマネー知育の監修や、若い層をターゲットにしたファッション系、オタク向けの記事や経済と恋愛を絡めたメディアまで、多方面で活躍。初の著書『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)が好評発売中。
1990年東京都生まれ。明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として、“お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく”をモットーに活動している。幼稚園児向け雑誌でのマネー知育の監修や、若い層をターゲットにしたファッション系、オタク向けの記事や経済と恋愛を絡めたメディアまで、多方面で活躍。初の著書『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)が好評発売中。