投資と聞くと、「かなりの資金が必要になり、失敗すると大金を失う」というイメージを持っている人が少なくないと思います。
しかし、低額から始められる投資もあります。
そのひとつがFX(外国為替証拠金取引)です。
FXでは、資金の何倍もの取引が可能になる「レバレッジ」が利用できます。
このため、数万円という少ない資金からでも、投資効率の高い投資にチャレンジできます。
ハイリスク・ハイリターンと思われている人がいますが、レバレッジを抑えたり、損失額を少なく抑えたりする方法もあるので、「投資を始めたいけれど資金があまりない」「リスクをコントロールしながら投資がしたい」という人には、実はピッタリの金融商品なのです。
FXは低額から始めることができる
どんな投資でも、始める際に一定の資金が必要になります。
例えば、株式投資で日本株を購入するには、原則100株単位で購入しなければなりません。
業績が良く、評価の高い株式は、最低でも数十万円以上の資金が必要になります。
高額資金が必要になる投資の最たるものは不動産でしょう。
物件をひとつ買うのに、中古でも最低で数百万円、マンション1棟ともなれば、億円単位で資金が必要になります。
一方でFXは通貨ペア(ドル/円)を売買して差益を得る投資ですが、条件次第で、数千円程度から投資が始められます。
株式投資や不動産投資と必要になる資金を比べると、非常に低額であることがわかるはずです。
これはFX投資が人気を集めている大きな要因のひとつでしょう。
FXの最低通貨単位とレバレッジ
FXには、「通貨単位」というものがあります。
例えば米ドルの1通貨単位は1ドル、英ポンドの1通貨単位は1ポンドです。
日本では、「1万通貨」が基本的な最小単位ですが、FX会社によっては「1,000通貨」の取り扱いとなっています。
なお、この取引可能な最小単位は1 Lotと表されます。
米ドルなら1Lot=1万通貨=1万ドル(FX会社によっては1,000通貨、1,000ドルとなります。
つまり、1ドル=105円だとしたら、1Lotが1万通貨の場合は1Lot=1万ドル=105万円となり、ドル円の取引をするには最低105万円の資金が必要になります。
1,000通貨の場合は、10万5千円という計算になります。
しかし、FXには、「レバレッジ」というものがあります。
個人投資家であれば、FX会社の口座に入れた資金(保証金)の最大25倍の金額で取引ができる仕組みです。
つまり、25倍のレバレッジを適用すると、105万円÷25=4.2万円の資金(1Lot=1,000通貨の場合は4,200円)があれば、売買できるという計算になります。
リスクを抑えた投資の方法
このようにFXでは数千円から投資は可能になりますが、保証金に対して最大レバレッジの25倍で運用すると保証金が足りなくなってしまうことがあるので、レバレッジを数倍程度に抑えて運用することで、資金のない初心者でも、十分に投資がスタートできます。
なお、レバレッジの倍率によって、必要となる保証金と強制ロスカットされるまでの値幅に違いが出てきます。
例えば、1ドル=100円でドルを買った場合にどうなるかで示してみましょう。
レバレッジ5倍で1万通貨を購入すると、必要となる保証金は20万円です。
ロスカットポイントは4万円なので、1ドル=84円になると強制ロスカットされることになります。
相場が16円以上変動するまでは大丈夫ということになります。
これに対してレバレッジ25倍で1万通貨を購入すると、必要となる保証金は4万円ですが、ロスカットポイントも4万円なので、100円から1銭でも動くと、強制ロスカットされることになります。
しばしば、「投資は借金してまでやるものではなく、余剰資金でやるもの」といわれるのはこのためです。
高いリターンを求めれば、高いリスクを取ることになります。
だから、毎月の給料から無理なく用意できる金額から始めるようにしましょう。
数万円から始めてみよう
初めてFXにチャレンジする初心者は、数万円の資金から始めるようにしましょう。
通貨単位は1Lotからいいのではないでしょうか。
FX投資には、成行注文、指値注文、逆指値注文など、いろいろな注文方法があります。
また、相場動向を占う上でテクニカル分析という方法もあります。
世界の政治や経済情勢を判断材料にするファンダメンタルズ分析もあります。
こうした知識を学ぶには、何よりも“場数”を多く踏むことが重要です。
リスクを抑えながら、少しの資金投入で、小さな取引を積み重ね、習熟するまでの間に、資金を準備すればいいのです。
投資のリターンは本当にわずかかもしれませんが、焦る必要はまったくありません。
逆に、最初から資金に余裕があると、つい欲をかいて、実力以上のトレードをしてしまうものです。
そして、結果的に多大な損失を被ってしまう。
そうした失敗だけは避けたいものです。
明確な損切りルールを設けて長く続ける
このように、少ない資金でリスク抑えながら始められるのがFXのメリットですが、資金を失わずに、より長く運用を続けながら、コツコツと資金を増やしていくことが理想です。
そのためには、失う資金を最小限に抑える「損切り」というスキルが大切になります。
この損切りとは、トレード中に損失が発生したポジション(外貨の持ち高)を決済して損失を確定させる行為のことです。
為替相場が自分の予想に反して不利に動くことが少なからずあります。
そのとき、つい私たちは「もう少し待てば、戻ってくるはずだ」などと、根拠のない願望を持ち、損切りできずに、含み損を増やしてしまうのです。
すると、新規売買をすることができずに、利益を獲得する機会を失ってしまうことが少なくありません。
だから、自分が許容できる損失の範囲(損切りライン)を決めておき、そのラインを越えれば、自動的に損切りを行うルールを決めておくのです。
例えば、1ドル=100円のときにレバレッジ10倍で1万通貨を購入したとします。
必要となる保証金は10万円、ロスカットポイントは4万円なので、1ドル=94円で強制的に決済されることになります。
こういう場合、1ドル=103円になったら、ドル売りの指値注文を事前に入れておき、3万円の利益が得られるようにするのと同時に、1ドル=99円になったら、売却するストップ注文も入れておいて、1万円で「損切り」されるようにしておくのです。
こうすることで資金を守り、市場から退場することなくFXが続けられます。
このように、きちんとした損切りルールを決めて、少額投資で経験値を重ねることが、FXで成功するための一番の近道かもしれません。
PickUp編集部