総括
GDP悪化やドル円下落でも健闘するペソ、需給がカギ
予想レンジ 4.5-5.0
(ポイント) (通貨11位、株価13位)
*2Q・GDPは過去最大の落ち込み
*中銀はGDPが今年8.5-10.5%減少すると見ている
*大統領は経済が4月と5月に「底を打った」と指摘
*昨日は原油価格が下落
*6月は史上最大の貿易黒字
*ジャンク債懸念が出始める
*景気悪化とインフレ上昇のジレンマ
*6月製造業PMIは改善
*他の指標はまだ弱い
*通信運輸大臣が辞任
*中国がワクチンで支援
*日本製鉄が自動車の鉄鋼生産で参入か
*経済回復の足取りは不確か=中銀議事要旨
*米墨首脳会談が開催された
*自動車生産は回復
*対米貿易依存度が頗る高い
*アエロメヒコ破たん
*買い要因は経済活動再開、原油価格上昇(昨日は下落)、米国在住メキシコ人からの本国への送金
*政府はペソ買い介入を示唆
*大統領支持率が急落
*2月21日の弊誌でメキシコペソ売りを6円台で推奨、現在4.7で買い戻し5.08で売却
(現在様子見)
*2019年のGDPは10年ぶりのマイナス成長
*2019年は20年ぶりの貿易黒字
(2Q・GDPは過去最大の落ち込み)
2Q・GDPは前期比17.3%減と、過去最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルスのパンデミックにより工場が閉まったほか、買い物客や観光客が減ったことや貿易が落ち込んだことが響いた。
落ち込み幅はリーマン・ショック後の2009年1Qの3倍超となった。マイナス成長は5四半期連続。前年同期比では18.9%減だった。3Qは、2Q比で4~5%程度のプラス成長になるとの見方が多い。
農業や水産業を含む第1次産業が2.5%減。製造業や鉱業、建設業などの第2次産業は23.6減。小売りやサービス部門を含む第3次産業は14.5%減だった。
(メキシコ中銀、GDPの見方)
中銀のエスキベル副総裁は、GDPについて「新型コロナの感染拡大前の水準には2022年より前には戻らない。GDPが今年8.5-10.5%減少する」との見通しを示した。メキシコはまだ新型コロナの感染拡大と格闘している上、米国の経済回復は勢いをなくしている。新興国の中で、最も大幅にピークからどん底へ急降下した国の一つだ。
(オブラドール大統領のGDPの見方)
ロペスオブラドール大統領は、経済が4月と5月に「底を打った」と指摘。今は回復の兆しが見られるとし、V字回復となるとの見方を示した。
経済動向について「7月からは良くなる兆候はある。最悪期は終わった」と指摘した。ただ工場や鉱山で新型コロナの感染者が大規模に判明する事例もあり、先行きには不安は残るとの見方も多い。
(史上最大の貿易黒字だが内容は)
6月の貿易収支は55.47億ドルと史上最大の黒字となった。5月は35.23億ドルの赤字。前年同月は25.41億ドルの黒字であった。ただ内容は必ずしも良くなく輸出が前年比12.8%減少したが輸入がさらに22.2%減少した結果であった。貿易の拡大はなかったが為替需給は大きく改善した。
(格下げの一因 ペメックス決算)
国営石油会社ペメックスがの2020年2Q決算は、最終損益が440億ペソの赤字となった。原油安に加え、世界的な経済活動の停滞で国内外のガソリンの販売が低調だった。
1Q(5620億ペソの赤字)からは赤字幅は縮小した。2Qの売上高は1810億ペソと、前年同期比52%減となった。輸出した原油の販売価格は1バレルあたり24ドルと、前年同期を36ドル下回った。
原油生産量は日量167万バレルと、前の四半期を4%下回った。4月の「石油輸出国機構(OPEC)プラス」での減産合意に伴って生産量を減らした。
(原油動向に注意、メキシコは産油国)
米経済2Qは大幅なマイナス成長に陥ったことに加え、トランプ大統領が11月の大統領選延期の可能性に言及したことで売りが出た。 昨日は、北海ブレント原油先物が0.81ドル(1.9%)安の1バレル=42.94ドル、米WTI原油先物が1.35ドル(3.3%)安の39.92ドル。一時は約5%下落した。 大統領選の日程が変更されれば、米国は政治的に深刻な先行き不透明性に直面する。
テクニカル分析
陽線が多いが雲の上に出られず反落。4.80の売り厚い
日足、7月24日の長いヒゲで22日-23日の下降ラインを上抜き上昇、ただ雲の上に出られず反落。24日-30日の上昇ラインがサポート。29日-30日の下降ラインが上値抵抗。ボリバンは4.70-4.82。4.80の売りはやや厚い。5日線上向き。
週足、6月15日週-7月6日週の下降ラインが上値抵抗。7月13日週-20日週の上昇ラインがサポート。ボリバン中位は越えている。
月足、3月-4月の下降ラインを上抜いて5月は5か月ぶり月足陽線。2月-3月の下降ラインも上抜く。ただ6月は5円にのってから急落で陰線、上ヒゲも長かった。ボリバン下位。7月は5月-6月の上昇を下抜くも陽線。
年足。16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。
VAMOS MEXICO
アエロメヒコ航空、8月の東京/成田〜メキシコシティ線を全便運休
アエロメヒコ航空は、東京/成田〜メキシコシティ線を8月中運休する。9月から運航再開を予定しており、決定次第発表する。
アエロメヒコ航空では、東京/成田〜メキシコシティ線を3月16日から隔日、4月19日以降は4日ごとの運航に減便し、東京/成田発5月6日をもって運休していた。その後7月1日から週2便で再開していたものの、日本政府による入国制限や検疫などの水際対策の強化措置が少なくとも7月末まで継続されることや、メキシコや各国での新型コロナウイルスによる需要動向を考慮した結果、7月7日以降運休していた。同路線は、全日本空輸(ANA)が減便運航を継続している。
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