“感染者数1千万人、死者50万人超え。”

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ついに全世界の新型コロナ・ウィルスの感染者数が1千万人を超え、また死者も50万人を超えたと言う報告を聞いた。
これ等の数字は減るどころか、益々増えているではないか?

アメリカにおける感染者数は全世界のそれの四分の一を占める250万人と言われているが、相変わらず市場では経済再開に向けての楽観と、二次感染拡大懸念の悲観とが交差する。

これは以前にも指摘した点であるが、
楽観を裏付けるニュースが出るとリスク・オンとなって株が買われ債券が売られる。(金利は上昇する。)
逆に悲観を裏付けるニュースが出るとリスク・オフとなって株が売られ債券が買われる。(金利は低下する。)

本邦機関投資家の立場から考えると、以前はリスク・オンになると“積極的にリスクを取って新規投資に走る。”のだから咄嗟に円売りの発想となり実際にドル高&円安に成る傾向が強かった。
リスク・オフはその逆で“既存の債権を売却するか新規投資を控える。”のだから咄嗟に円買いの発想となり実際にドル安&円高に成る傾向が強かった。

ところが最近は昔の傾向通りには動かなくなった。
“リスク・オンはリスクを取るのだから、基軸通貨で安全なドルは不要だから売る。
逆にリスク・オフはリスクを取らないのだから、基軸通貨で安全なドルが必要で買う。”
と言うロジックらしい。

どう言う訳か我らが円もこれだけ低金利や財政に問題が有るにも拘わらず流動性の高さを評価されて“何も無い。”=リスク・オンになると円売りとなり、ドル売り&円売りなのだからドル・円は動かない。
逆に“何かの折。”=リスク・オフになると円買いとなり、ドル買い&円買いなのだからドル・円は動かない。

個人的に上のロジックは解せないのだがその理由は、現在は超金融緩和政策と財政出動のお陰で余った資金が株式市場に流入してIMF.も指摘する通り、“日米の株価上昇は実態経済と乖離しており、割高感が有る。”と思うのだが、市場が頭を冷やして割高な株価の訂正=(株売り)を行えば、余った資金=ドルも売られて然るべきなのではないのだろうか?


ところで先週面白い動きが有った。
通商担当のナバロ米大統領補佐官が“中国との交渉は終わった。”と述べてドル・円が106.08まで売り込まれる場面が有ったが、トランプ大統領が即座に“中国との貿易合意は全く損なわれていない。中国が合意に応えるのを望む。”とツイートして直ぐに107円台を回復したが、トランプ政権内でこの様な議論が為されたことに疑いは有るまい。
只、現在トランプ大統領の頭の中にある事は“秋の大統領選で再選を果たす。”ことだけであり、態度を硬化しつつある中国に対して今ここで切り札を切ることは得策ではなく、米国民を納得させるのに一番効果的であるタイミングを計っているのではなかろうか?

さてそのアメリカであるがコロナ騒動に加えて白人警官による黒人暴行死の余波が広がりつつあり、下手をすると“アメリカ分断の危機”に陥りつつあるのかも知れない。
共和党から民主党への鞍替えに留まらず、既存のアメリカのエスタブリッシュメント(強い権力を持った勢力が作り上げた社会秩序・体制)が崩れつつあるのではなかろうか?
人種差別反対を盾にしてあからさまに(そう長くもない)アメリカの歴史の否定をする運動が流行りつつある。
かつて偉人と呼ばれた人の銅像を倒そうとする運動も起き出した。
殺人罪に問われた警官への待遇を不服として職を辞する警官の数が増えつつあると言う。
警察解体を求める動きも有るらしい。
白人警官による黒人暴行死事件直後の略奪の場面を見て再び“アメリカの恥部”を見た気がしたが、警察権力の衰退は間違い無くアメリカ治安悪化を意味する。

治安悪化を懸念して軍隊出動を仄めかして総スカンを食らって取り敢えず引き下がったトランプ大統領だが依然として“再選を果たす為には何をしでかすか分からない。”不気味さは漂う。

やはりドルを積極的に買おうと言う気はしない。
個人的に依然として秋に向かっての大幅なドル安&円高の動きに対する備えをしておく積りである。

再び話が逸れるが巷ではソフトバンク・グループが売却した米携帯電話サービス大手のT-モバイルUS.株の資金の行方を気にしている。
凡そ2兆円余り相当の外貨(ドルかユーロか定かではない。)が円転されると言う事だが、市場では“既に円転された。”、“いや、これから円転が行われる。”と疑心暗鬼である。
ドルに換算すると約190億ドルに相当し、市場に与えるインパクトは相当なものであることは間違い無い。
市場では6月第2週のドル・円の109円台から106円台、ユーロ・円の124円台から120円台への急落時に円転が起きたとの噂がしきりであるが、正直言って良く分からない。

個人的には既に全ての円転が行われたとは思えない。
そもそも正式な売却は6月23日に決定されており、その2週間も前に為替を手当てするとは思えない。
最近は顧客情報の守秘義務が厳しくて市場関係者から情報を入手することは出来ないが、少なくともソフトバンク・グループのメインバンクである邦銀からはその様な雰囲気は“全く感じる事は無かった。”と思う。

当面は106円台のLow.に来れば本邦機関投資家のドル買い意欲、107円台のHigh.に来れば“もしかしたら” ソフトバンク・グループ絡みの円買い(ドルかユーロ売り)意欲を意識してレンジ取引を行い、秋に向けてのドル安&円高に備えたい。

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