(この記事は2020年6月2日に掲載した「FX初心者がブレイクアウトのダマシを回避するコツ」を加筆修正したものです)
価格が大きく伸びるブレイクアウトポイントを狙う「ブレイクアウト手法」は、世界中のFXトレーダーから高い関心を集める投資手法です。 しかし、実際の相場はその手法のセオリー通りになるほど単純ではありません。
FXでは狙っていたラインを超えた瞬間に、「ブレイクした!」と思って飛びついたら、価格が逆行して大きな損を抱えることも少なくありません。ブレイクアウト手法で利益を獲得するには、ブレイクアウト後に発生する「ダマシ」をできる限り回避する必要があります。
今回は、ブレイクアウト後に発生しがちなダマシのパターンや、ダマシを回避するコツについて考えてみます。
目次
FX初心者がブレイクアウトの「ダマシ」を回避するコツ
FXでブレイクアウトの「ダマシ」はなぜ起きるのか
ブレイクアウトの「ダマシ」とは、一方向に価格が①ブレイクアウトしかけた後、②反対方向に価格が動くことです。これは2022年4月7日のドル/円チャートですが、レジスタンスラインをいったん上抜けして、すぐにレンジ内に戻りました。
(スマホアプリ「外貨ネクストGFX」のチャートから作成)
このようなダマシ発生の要因のひとつは、機関投資家など資金力のある大口トレーダーが市場に大量投入した資金です。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
①「ブレイクアウトしそうだ」という”誘い”に乗った一般トレーダーたちは通貨を買います。大口トレーダーたちも同様に、大量の資金で同じ通貨を買うので、相場はいったんブレイクアウトします。
②大口トレーダーたちはラインを上抜けしたところで、今度は一気に「売り」を仕掛けます。当然、価格は反転・急落して「ダマシ」が発生します。
③この急落で慌てた一般トレーダーたちが、一気に「損切り」を始めます。さらに売り圧力は高まり、相場は下落します。
④結局、売りを仕掛けた大口トレーダーたちが、利益をさらに伸ばすというわけです。
注意すべき「ダマシ」のパターン
ブレイクアウトでみられる「ダマシ」のパターンは、大きく分けてふたつです。
ダマシのパターン(1)
こちらは2022年4月7日のドル/円のチャートです。
①機関投資家などの大口トレーダーによる大量の「買い」により、何度も跳ね返されてきたレジスタンス付近で一気にブレイクアウト。
②その直後からの大口トレーダーの売り浴びせで、価格は再びレンジ内に戻る。
③一般トレーダーたちはその動きを、「レンジ相場はまだ継続している」と判断し、そのまま価格は下がると予想して「売り」ポジションを持つ。
④大口トレーダーたちは、価格が大きく下がったところで、すぐに大量に買い戻すので、価格が反転
⑤売りポジションを持つ一般トレーダーたちの大量の損切りが発生し、価格は上昇。
⑥相場の動きを静観していたトレーダーたちの新規の「買い」が入って、価格はさらに上昇。
ダマシのパターン(2)
①レジスタンスライン付近にある価格が大口トレーダーたちの「買い」でまずブレイクアウト。
②これを見た一般トレーダーたちによる「買い」が発生。
③これを確認した大口トレーダーたちが大量の売りを出して価格が急落。
④「買い」を入れた一般トレーダーたちによる損切りが発生。
⑤サポートライン付近に設定されていた「損切り」を巻き込んで価格がさらに下落。
⑥大口トレーダーたちの利益はさらに増加。
ブレイクアウトの「ダマシ」を回避するコツ
このような「ダマシ」を回避するためのコツは、次のようなものになります。
1)「押し目」や「戻り目」まで待つ
ブレイクアウト直後には飛び乗らず、落ち着いて「押し目」や「戻り目」を待ってから、エントリーすることです。
しかし、ブレイクアウトでは、それまでのレンジ相場でエネルギーが非常にたまっていた場合、押し目や戻り目がないまま、一気に抜けてしまうケースもあります。
そんなときは、時間足より下位足にしてみましょう。60分足を基本にトレードしているのなら、5分足や1分足に切り替えてみると、押し目や戻り目のタイミングが見える可能性があります。
こちらは日本時間4月4日午後から4月6日正午過ぎまでのドル/円相場を、60分足で表示させたものです。
左側の黄色いだ円で囲まれたエリアは同じレンジで数時間動いた後に上に大きくブレイクしています。これを1分足で表示してみると、レンジで動いた数時間の間に、数回「押し目」が発生していることがわかります。
同様に60分足ではわからなかった戻り目も1分足まで時間軸を短くすると見えてきます。右上の黄色いだ円では、ブレイク後にレンジ相場になったように見えますが、そこでも戻り目が発生しています。
もしあなたがFX初心者で、ブレイクアウトに乗り遅れたときは、無理について行こうとせずに、見送るぐらいの割り切りがいいでしょう。
2)長期トレンドと同じ方向の場合に限定
ブレイクアウトのダマシを回避するもうひとつのコツは、長期トレンドと同じ方向にブレイクアウトしたときだけ、エントリーするという方法です。
長期トレンドが上方向なら、短期の時間足でも同じ上方向にブレイクしやすいという特性を生かしたトレードになります。
60分足で見ると相場は上昇トレンドにあります。60足チャートでおおきくブレイクした後にレンジで数時間変動しているだ円で囲んだ部分を1分足チャートにしてみましょう。相場はもう一度上にブレイクしていきます。
FX初心者は、長期トレンドが上方向なのに、もし下方向にブレイクした場合は、エントリーそのものを見送るという判断もあります。
長期トレンドの逆方向へのブレイクアウトでエントリーしても、利益は出せますが、その場合の値幅は、同方向へのブレイクよりも小さくなることが少なくありません。
そこまでのリスクは取らず、上位足のトレンドと下位足のブレイク方向が一致する場合にだけエントリーするように限定すれば、ブレイクアウトの「ダマシ」を回避する可能性は、格段に高まるでしょう。
まとめ
相場の流れに乗って利益を獲得することがFXでは重要になります。機関投資家のような大口トレーダーの動きを予想しながら、焦らず、無理をせず、ポジションを持つようにして、「ダマシ」には引っかからないように心掛けると、大きな損を出してしまうリスクはかなり低くなるはずです。
まずは自分が取引している通貨ペアのチャートでこのようなダマシが発生していないか探してみましょう。そして、取引中に同じような場面が起きたら、注意深く対応しましょう。
マネ育PickUp編集部
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