総括
シナリオ通り前進するか、米国が横やり
予想レンジ 人民元/円 14.7-15.7
(ポイント)
*経済指標の改善、感染抑制、全人代の開催示唆で中国の回復のシナリオを訴える
*米国は中国のコロナウィルスに関する情報隠ぺいを批判
*米ミズーリ州は中国に感染に関する賠償を求める
*全人代は5月開催か
*3月貿易収支は輸出入ともに予想の伸び率を上回った
*GDPはほぼ予想通り、小売売上は悪化、鉱工業生産は予想より改善
*4月8日、武漢は開放された
*IMFは中国の回復を示唆
*預金準備率を引き下げ
*コロナウィルスでの死者はイタリアとスペインが中国を上回った
*政府は2Qから経済が正常化するとしている
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*習国家主席は、2020年の経済成長目標を達成できるとした
*政府は新型ウィルス感染は2月がピーク、4月に収束とした
*経済打撃は6兆円超か
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
(シナリオ通り前進するか、米国が横やり)
コロナウィルス感染拡大を克服、世界中へコロナ関連衛生用品の輸出、景気のV字回復、全人代の開催、世界のリーダーシップをとるというのがシナリオなのだろう。人民元は落ち着いている。上海総合指数もまだマイナス圏だが、世界の他の株式市場と比べると相対的に強い。
3月製造業PMIはV字型回復で市場を脅かせた。3月貿易収支は輸出入減少だが、減少幅は予想から大きく改善した。1Q・GDPはほぼ予想通りの前年同期比6.8%減少。3月鉱工業生産は予想より改善、小売売上は悪化した。総じてまずまずの結果でシナリオ通りだろう。従って3月に予定されていた全人代は5月に開催される見込みとなった。全人代は首相がその年の経済成長率目標を示し、経済政策の運営について内外に説明する重要な政治日程のひとつ。同時期に中国の国政助言機関である全国政治協商会議(政協)も開くことから、合わせて「両会」とも呼ばれる。
一つの問題は、トランプ大統領が、中国から始まった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の経緯について「中国が故意に引き起こしたのなら報いを受けるべきだ」と警告していることだ。中国が初動対応で情報を隠蔽していた可能性を念頭にした発言とみられる。意図的と判断した場合、どのような措置を取るかは明らかにしていない。
(米国務長官とミズーリ州が中国を攻撃)
ポンペオ米国務長官は日、新型コロナウイルス流行について、中国共産党政権が世界保健機関(WHO)への迅速な報告を怠ったと確信しているとし、中国の新型コロナ対応を改めて批判した。
ポンペオ長官は「中国国内全省に感染が広がるまで1カ月にわたり」中国が人から人への感染を報告しなかったと非難。さらに、WHOへの報告後も「全情報を共有せず、新型コロナ感染症がいかに危険であるかを隠ぺいした」と主張した。
ポンペオ長官はまた、世界が新型コロナのパンデミックに注意を向けている間に「挑発的な行動」で香港の主権を脅かし、台湾に軍事圧力をかけ、南シナ海で支配を強化していると改めて主張し、米国が中国の「弱者いじめ」を強く反対すると強調した。
中国で医療物資を囲い込みをしているという最近の報道については、「中国がこれらリソースを提供していることが確認されており、朗報だ」とし、「中国が支援を提供し、物資を販売するという契約上の義務、国際的な義務を果たすと期待している」と述べた。
米中西部ミズーリ州の政府は、中国政府による隠蔽などの不正行為が原因で新型コロナウイルスの感染が拡大し、数十億ドル以上の損害を被ったとして、中国政府に賠償を求める訴えを起こした。
ミズーリ州では4月20日までに少なくとも5800人が感染、177人が死亡、経済的な損害は数十億ドル以上に上るとして、中国政府などに賠償を求めている。
(コロナウィルス、武漢研究所起源説に反発)
中国外務省の耿爽副報道局長は、トランプ米政権が新型コロナウイルスの起源は中国湖北省武漢市の研究所だった疑いがあるとして調査していることに対し「陰謀論を無責任にまき散らしている」と述べて反発した。疑惑は「証拠がない」として否定した。
欧米諸国などでは、ウイルスの起源が武漢市にある中国科学院武漢ウイルス研究所だと疑う声が相次いでいる。耿氏はこれに対し、起源は「科学の問題」と訴え、「政治問題化すべきではない」と強調。米側が「不十分な感染症対策の責任を押し付けようとしている」と主張した。
(香港金融管理局が売り介入)
香港ドルが取引バンドの上限に達したため、香港金融管理局(HKMA)は15億5000万香港ドル(2億1万米ドル)の香港ドル売り介入を実施した。香港ドルは1米ドル=7.75-7.85香港ドルの水準にペッグされている。ペッグ制の下でHKMAは7.75香港ドルか7.85香港ドルを付けた際に介入する義務を負っている。 香港ドルは4月21日午後序盤の取引で取引バンドの上限を付けた。この水準に達したのは2015年12月以来。
テクニカル分析(人民元/円)
横ばいから上昇するか
日足。横ばい。4月17日-20日の下降ラインを上抜く。3月9日-4月21日の上昇ラインがサポート。雲中。ボリバン下位。5日線下向き
週足。ボリバン下限下抜きからはバンド内へ戻す。3月30日週-4月6日週の上昇ラインを下抜く。3月23日週-4月13日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限近い。
月足、20年1月、2月は長い上ヒゲを残し12月-2月の上昇ラインを下抜く。一旦、ボリバン下限を下抜くが、バンド内へ戻す。20年1月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、11年-19年の上昇ラインを下抜くか。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
豚熱ウイルス
中国農業農村省は4月21日、四川省で輸送中の豚からアフリカ豚熱(ASF)ウイルスが検出されたと発表した。
それによると、同省南江県で豚の運送トラックを検査したところ、ウイルスを検出。トラックには100匹を超える豚が積み込まれており、このうち2匹が死亡していたという。
アフリカ豚熱ウイルスの検出例は3月以降で13例目。1例を除き全て国内で輸送中の豚から検出されている。アフリカ豚熱の流行は豚肉の生産量低下や価格の高騰を招いている。農業省は日、海外からの新型コロナウイルスの流入とアフリカ豚熱を背景に、今年の国内の農業生産の見通しは厳しいとの認識を示した。
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