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「民主党はバイデン候補へ一本化 カギは若者層の指示」ジャーナリスト 中岡望 米大統領選2020

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米大統領予備選挙=民主党はバイデン候補へ一本化 カギは若者層の指示

民主党の大統領予備選挙は新型コロナウイルスの感染拡大で、すっかり影が薄くなっている。予備選挙に向けた集会も開催されず、ジョー・バイデン候補とバニー・サンダース候補も選挙運動を中断し、新型コロナウイルス感染対策に力を注いでいた。予備選挙の大勢は、バイデン候補指名がほぼ確実になっている中でも、サンダース候補は全国大会まで選挙運動続け、決選投票にまで持ち込む意向を明らかにしていた。こうした中で、民主党全国委員会は7月中旬に予定されていた大統領候補を正式に指名する民主党全国大会の開催を8月中旬にまで延期する方針を決定している。
 だが、4月中旬になると状況が大きく変わった。選挙運動を継続すると主張していたサンダース候補が突如、選挙運動を中止し、バイデン候補を支持する意向を明らかにしたからだ。これによって全国大会での決戦投票という事態はなくなった。もうひとつの変化は、エリザベス・ウォーレン候補の動向である。同候補は3月中旬に選挙から撤退する意向を明らかにしていた。同候補の主張は“民主社会主義者”を標榜するサンダース候補と近く、ウォーレン候補はサンダース候補を支持するのではないかと予想されていたが、同候補はバイデン候補とサンダース候補のいずれを支持するか明確な意思表示をしていなかった。サンダース候補がバイデン候補を支持する意向を明らかにしたのを受けて、ウォーレン候補もバイデン候補支持を明らかにした。さらに今まで誰を支持するか明らかにしてこなかったバラク・オバマ前大統領もバイデン候補支持を表明し、バイデン候補は最大の支持層であった民主党エスタブリッシュメント(主流派)だけでなく、から反エスタブリッシュメント(反主流派)を含めた広範な支持を獲得したことになる。
 前回の大統領予備選挙ではヒラリー・クリントン候補とサンダース候補が争い、クリントン候補が指名を獲得したものの、サンダース候補や同候補の支持者はクリントン候補に距離を置き、最終的にクリントン候補がドナルド・トランプ候補に敗北するという事態が起こった。ただ、今回、民主党は反トランプ大統領で結集する動きを見せている。
 とは言え、バイデン候補はまだ楽観できる状況にはない。それは、バイデン候補はサンダース候補を支持してきたミレニアム世代以降の若い世代の支持を得ているとはいえないからだ。かつてオバマ候補が大統領選挙で勝利を収めたのは、若者層の支持を受け、大きなムーブメントを作り上げることに成功したためである。バイデン候補にとって、若者層を取り込めるがどうかが勝利の鍵を握ることになる。そのためバイデン候補は、過激と言われたサンダース候補の学生ローン免除といった政策の一部を取り込む意向を示している。また、副大統領候補に女性を選ぶことも明らかにしている
 新型コロナウイルス感染の拡大も、バイデン候補にとって大きな不確定要素となっている。まず、トランプ大統領が感染対策で後手に回ったとの批判はバイデン候補に有利に作用するとみられるが、毎日のようの記者会見で存在感を訴えているトランプ大統領と比べると、バイデン候補の影が薄くなっている感は否めない。そうした状況が最終的にどう作用するかが、大統領選挙を予測する要因となるだろう。ただ、政治専門サイトのリアルクリアポリティックスの世論調査によれば、直近の8件の調査のうち7件でバイデン候補がリードし、1件がタイという結果で、平均ではバイデン支持が48.3%、トランプ支持が42.5%となっている。ただトランプ大統領には熱狂的な支持者が存在し、この時点で大統領選挙の帰趨を予測するのは難しい。
 なお、現状を見る限り、大統領選挙の状況が為替相場に影響を与える可能性は極めて低い。当面はパンデミックに対する各国の対応を見ながら為替相場は動くだろうが、基本的にドル需要は強く、ユーロや他の通貨に対してドル高が進むだろう。ただ円に対して3月初めに急激な下落場面もあったが、再び円安に戻している。日米の経済状況の推移にもよるが、円高が進む状況は考えにくい。

f:id:gaitamesk:20050928094155j:plain 中岡 望 氏
ジャーナリスト、元東洋英和女学院大学副学長 国際基督教大学卒。
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て1973年東洋経済新報社に入社。『週刊東洋経済』編集委員、『会社四季報』副編集長などを務め、2002年退社。フリーのジャーナリストへ。 1981~82年フルブライト・ジャーナリスト、ハーバード大学ケネディ政治大学院フェロー。1993年、ハワイの大学院大学イースト・ウエスト・センターのジェファーソン・フェロー。2002~03年、ワシントン大学(セントルイス)ビジティング・スカラー。東洋英和女学院大学教授(国際経済学、公共選択などを担当)、同大学副学長を経て、2016年より現職。ジャーナリストとしても、様々なメディアに寄稿、本の執筆、講演活動を展開。