総括
ウィルス感染拡大、需給悪化
（通貨10位、株価7位)
予想レンジ トルコリラ/円 15.0-16.0
（ポイント）
＊今週は0.5％の利下げか
＊4月23日からロックダウン
＊今週から4月消費者、企業。経済の信頼感指数が発表される
＊コロナウィルス感染者数は急増している
＊中国はトルコにウィルス関連物資を送っている
＊観光業も悪化し始めている
＊通貨スワップ協定を複数国と締結
＊製造業PMI、貿易収支、経常収支、失業率、自動車生産、経済信頼感が悪化
＊3月CPIは低下
＊外貨準備減少（リラ買い介入で）
＊民間の成長予想は弱気、政府予想は強気
＊新型コロナウイルス感染拡大で外出禁止対象を拡大
＊新型コロナウイルスの感染拡大で影響を緩和するため、総額1000億リラ（154億ドル）の経済対策を発表
＊19年4Q/GDPは前年同期比6.0％増
＊20年は5％成長の政府見通しとなっている
＊非居住者との間の為替スワップを制限
＊EUが対トルコ制裁を決定（キプロス沖での石油開発で）
＊フィッチが格付け見通しを上方修正
＊海外からトルコ国内への投資は増加
（ウィルス感染拡大、需給悪化）
ジリ貧状態。感染者数が拡大している。トルコ保健省によると、新型コロナ感染者は4月20日時点で9万980人、死者は2140人。トルコ当局はの感染拡大を防ぐための措置の一環として、刑務所に収監されている囚人の釈放や一時釈放を開始した。350カ所超の刑務所に計30万人ほどの囚人がいるとされ、最大で約9万人が対象になる見通し。ただ「テロ」に関連する罪で起訴された人々は釈放の対象外で、この中にはエルドアン氏に批判的な活動家らが含まれている。野党・共和人民党（CHP）は「ジャーナリストや知識人が対象にならないのに、凶暴な窃盗犯が釈放される。不公正だ」と批判している。
観光で潤ってきたトルコ経済だが、3月のトルコ国営航空の旅客数は前年同月比53％減の280万人と大きく落ち込んでいる。リラの需給も悪化。トルコリラは経常収支が赤字となってからまた弱含み推移し始めている。2月経常収支は12.3億ドルの赤字。5か月連続黒字の後、3か月連続赤字となっている。中銀は国営銀行を介しての介入を行っているが、外貨準備が減るだけでリラ上昇にはつながっていない。
（今週は政策金利決定）
中銀は政策金利を0.5％引き下げ、9.25％にするとの予想が多い。新型コロナウイルスの大流行で打撃を受けている経済をてこ入れする狙いだ。
中銀は先月、国内で新型コロナ感染者が初めて確認された直後に緊急会合を開いて1.0％の利下げに踏み切った。3月末以降は失業保険基金の債券を含めた政府債の買い入れや、政策金利を下回るレートでの資金供給といった措置も導入し、4月17日には資産購入規模を2倍に拡大した。
石油輸入国のトルコは、最近の世界的な原油安が国内物価の押し下げに寄与している半面、年初来で14％に達する通貨リラの下落が物価上昇圧力として働いている。ただ、通貨安は国内生産と輸出競争力を高めることで最終的にトルコ経済にプ
ラスとなる可能性がある。
（さらに各種信頼感指数の発表あり）
4月22日に4月消費者信頼感指数（3月は58.2）、24日に企業信頼感指数（3月は99.7）、29日に経済信頼感指数（3月は91.8）の発表がある。
(ロックダウン)
エルドアン大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向け、4月23日から4日間、全国31の都市でロックダウンを行うと発表した。
（通貨スワップ協定）
ウイサル中銀総裁は4月19日、他の中銀と新たな通貨スワップ協定の締結について協議を行っていることを明らかにした。
同国内の新型コロナウイルスの感染者は8万人を超え、中東地域ではイランを上回って最も感染が深刻な状況にある。外出制限措置が導入されたことで数百万人の失業者が出る事態となっている。
政府は所得補てん政策を打ち出す方針だが、財政は厳しい。1700億ドルに及ぶ外貨建て債務の支払い期限が今年中に到来するほか、中銀の外貨準備も270億ドルと11カ月ぶりの低水準に落ち込んでいる。
ウイサル総裁は「現在でも、通商および通貨を支援するためいくつかの国と締結した長期スワップ協定がある。それに加えて、複数の中銀と、新たなスワップ協定の締結や協力関係強化を巡る協議を行っている」と述べた。
（中国のトルコ支援）
エルドアン大統領は、中国の習近平国家主席と電話で協議し、新型コロナウイルス対策や両国の関係について意見を交換した。中国はトルコに対して3月以降、医療支援やマスクなどの無償提供に加え、医療専門家同士のビデオカンファレンスを通じたベストプラクティスの共有などを行っており、中国政府による「ヘルス・シルクロード」における支援の一部がトルコにも届き始めている。ただし、アリババやファーウェイなどの民間企業の支援も伝えられているが、中国製検査キットの信頼性には疑義も呈されるなど、評価は分かれている。
テクニカル分析（トルコリラ/円）
ボリバン下位で膠着
日足、横ばいも長い上ヒゲ続く。4月17日-20日の下降ラインが上値抵抗。16日-20日の上昇ラインがサポートとなるか。5日線下向く。ボリバン下位
週足、3月23日週の長い上ヒゲで下落。3月30日週-4月6日週の上昇ラインを下抜く。3月30日週-4月6日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限。
月足、19年8月-20年2月の上昇ラインを下抜く。20年2月-3月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限下抜く。
年足 5年連続陰線、今年は陽転して始まるも陰転。15年－18年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
トルコは英国に医療用ガウンを送付
英国は新型コロナウイルスの流行を受け、医療・介護従事者向けの防護具の供給システムに「大きな重圧」がかかり、医療用ガウンが不足している。トルコは40万着の医療用ガウンを英国に送付している。
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