総括
成長見通しマイナス4%、政策金利は0.5%引き下げか
予想レンジ 4.2-5.0
(ポイント)
*ペソは2月の通貨首位から最下位へ陥落
*年初来では対円で19.72%安、対ドルで26.87%安
*2月21日の弊誌でメキシコペソ売りの推奨
*株価指数は19.29%安
*来週の政策金利は0.5%引き下げて6.5%する予想が多い
*2020年成長見通しはマイナス4%(CS)
*中銀はペソ防衛の姿勢を示す
*2月CPIは上昇
*大統領支持率が急落
*コロナウィルスによる原油価格下落は産油国のメキシコに打撃
*4Q・GDPは確報値でマイナス成長となりリセッションへ
*中銀は成長見通しを下方修正
*最近の経常収支、貿易収支は黒字である
*USMCAでの自動車輸出はコスト高となる
*トヨタやソフトバンクもメキシコへ追加投資
*2019年のGDPは10年ぶりのマイナス成長
*2019年は20年ぶりの貿易黒字
*海外からの直接投資が増加している
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(メキシコペソが記録的安値)
ロペスオブラドール大統領は、ペソ安で同国が債務問題に見舞われた場合は「歳出をさらに削減する」と表明。ただ、政府が重視する社会福祉政策は除外するとした。
メキシコ中銀はFRBなどの緊急措置後に政策金利の調整は行っていない。デレオン総裁は、ペソが下落しているため、メキシコは米国とは異なる状況下にあるとコメントしている。
総裁は、今月26日の政策決定会合では、会合までに入手可能になる経済指標すべてを考慮に入れることになると述べている。
(今年の成長見通し大幅引き下げ、マイナス4.0%)
クレディ・スイスは、今年のメキシコの実質国内総生産(GDP)見通しを前回のプラス0.7%からマイナス4.0%に大幅下方修正した。「重大な下振れリスク」があるためとした。
下方修正の主因として、工業・サービス部門の生産減少、原油価格下落に伴う国営メキシコ石油公社(ペメックス)の原油生産減予想を挙げた。
メキシコ政府は、新型コロナウイルス拡大にへの対応策として財政支出を増やすため、今年の財政黒字目標を引き下げる可能性があると表明していた。
(学校閉鎖、イベント中止へ)
メキシコ教育省は14日、大学を含むすべての学校を対象に、3月21日から1カ月間の一斉閉鎖を始めると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためとしている。4月に予定されていたセマナサンタ(聖週間)による休暇を前倒ししたうえで拡大する。政府は急激に感染者数が増加するとみており、本格的な対策に乗り出す。
学校閉鎖とは別に、サッカーのプロリーグは、無観客での試合実施に踏み切るなど、大規模な観客が予想されるイベントで、日程を延期したり中止したりする動きも出始めている。休校措置を受けて、今後はこうした動きがさらに広まるとみられる。
メキシコ政府は現時点でいずれの国や地域に対しても入国制限措置は実施していない。ただ、一部の空港では体温チェックなどの健康状態の検査を厳格にし始めている。
(カナダがNAFTA承認)
カナダ議会は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の実施法案を承認した。米国、メキシコは既に承認済み。3カ国全てが批准の通知を終えた後、原則3カ月で発効する。
新協定の名称は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」。1994年に発効したNAFTAを抜本改定した。新協定は、自国産業に配慮する米政権の意向を踏まえ、域内で自動車関税ゼロを認める条件などを厳格化した。
(来週の指標は盛りだくさん)
3月中旬インフレ、1月小売売上、2月雇用統計、1月経済活動指数、 政策金利(6.5%へ利下げ予想)、2月貿易収支など指標発表は多い
(メキシコとの国境で拘束した外国人全員を直ちにメキシコに送還)
米国のトランプ政権は、メキシコとの国境で拘束した外国人全員を直ちにメキシコに送還することを検討している。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけるための措置としている。現在検討中の措置は、入国手続きが行われる場所以外で不正に米国に入国した移民を対象とするもので、合法的な移住や商業輸送には影響はないという。
政権が今回の措置を導入すれば、訴訟が起こされる可能性が高く、メキシコ政府の協力が必要になる可能性もある。 計画によると、米市民権や永住権の保有者、合法的に入国する外国人は対象外になる予定。中国や欧州に対する現行の入国制限措置で対象となっている外国人は、既にカナダ・メキシコ国境からの入国が認められていない。
テクニカル分析
最弱通貨へ
日足、3月9日下窓開けオープン。ボリバン下限に沿いながら下落。3月18日-19日の下降ラインが上値抵抗だが上抜けるか。ボリバン下限は4.30あたり。5日線下向き。
週足、ボリバン下限下抜きからさらに下げる。2月24日週-3月2日週の下降ラインが上値抵抗。
月足。19年10月-12月の上昇ラインを下抜く。1月、2月は上ヒゲが長く3月は急落。ボリバン下限下抜く。
年足。16年-19年の上昇ラインを下抜く。17年-18年、14年-15年の下降ラインを一時上抜くが再び陰転。
VAMOS MEXICO
中南米諸国の成長見通しも大きく下方修正へ
コロナウィルスの感染拡大が世界中の需要と供給を落ち込ませるなか、中南米経済も大きな影響を受けている。
チリの今年のGDPの見通しは前回のプラス1.8%からマイナス1.5%に下方修正。主要輸出先である中国の経済減速の影響を受ける見通し。
ブラジルのGDP見通しは前回のプラス1.4%からゼロ成長に下方修正。
アルゼンチンはマイナス1%からマイナス2.6%に、ベネズエラはマイナス8.5%からマイナス12.5%に下方修正した。コロンビア、エクアドル、ペルーの成長見通しもすべて下方修正された。中南米全体では1.5%のマイナス成長が予想され、世界的な金融危機後の2009年以降で最悪となる見通しという。
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