総括
最強通貨から転落、リセッションへ
予想レンジ 5.3-5.8
(ポイント)
*前回触れた通りペソは下落。一気にボリバン上限から下限へ
*4Q・GDPは確報値でマイナス成長となりリセッションへ
*コロナウィルスによる原油価格下落は産油国のメキシコに打撃
*株価指数もマイナス圏へ下落
*中銀は成長見通しを下方修正
*最近の経常収支、貿易収支は黒字である
*USMCAでの自動車輸出はコスト高となる
*財政状態は予想よりも良好
*トヨタやソフトバンクもメキシコへ追加投資
*2019年のGDPは10年ぶりのマイナス成長
*2019年は20年ぶりの貿易黒字
*海外からの直接投資が増加している
*大統領の支持率は70%へ回復
(確報値でリセッションとは)
4Q・GDP確報値は0.1%減、速報値の横ばいから下方修正された。2019年通年のGDPは0.1%減となり、速報値から変わらず、10年ぶりのマイナス成長となった。
2018年12月に就任した左派のロペスオブラドール大統領は、年間成長率を4%に引き上げることを公約しているが、景気は依然低迷している。
4Qは前年比では0.5%減で、速報値の0.3%減から下方修正された。
一方、12のGDPは、前月比0.2%増加し、過去3カ月で最も高い成長率を記録した。
実質賃金は上昇し、低インフレが景気を下支えしているものの、引き締め気味の金融政策や雇用の伸び悩み、長引く先行き不透明感が個人消費を圧迫する可能性が高い。
(中銀は成長見通しを下方修正)
中銀は四半期経済報告で、今年の経済成長率見通しを下方修正した一方、物価上昇率見通しを引き上げた。ただ新型コロナウイルス問題が世界経済にもたらす影響が読めないため、これらの見通しには不確実性が伴うと強調した。
成長率見通しは0.8-1.8%から0.5-1.5%に修正された。経済情勢に関しては、昨年の成長率が10年ぶりのマイナスになって以来、悲観的な見方が強まっている。
中銀は「先行きについては不確実性が非常に高い。特に新型コロナウイルスの感染拡大が世界の経済活動、とりわけ国際的なバリューチェーンに及ぼす影響が不透明という意味で、メキシコ経済は複雑な環境に直面し続けると見込まれるからだ」と説明した。
その上で「この見通しは、世界経済の軟化が続き、米鉱工業生産の予想が再び下方修正される中で、内需の回復がより緩やかになる展開を想定している」と付け加えた。
今年4Qの物価上昇率見通しは3.0%から3.2%に切り上がった。政府が昨年12月、40年余りぶりの大幅な最低賃金引き上げを決定したことで、予想物価が押し上げられている。
(メキシコペソ売りの要因)
・コロナウィルス新型肺炎感染拡大によるリスクオフムードが新興国に波及
・原油価格の下落は産油国であるメキシコ経済に悪影響
・19年4QのGDPがマイナス成長となりリセッションとなった
・テクニカルでは先週触れたが、日足でボリンジャーバンド上限を上抜く行き過ぎ感があった
(今週のペソは最弱)
今週は2月27日終値で主要12通貨中で最弱となっている。ボリバル株価指数もマイナス圏へ下落(年初来-4.44%)
(需給はまだ堅調)
経常収支は19年4Qで3期連続黒字、貿易収支は19年11月、12月と黒字、海外からメキシコ国内への送金(主に米国での労働者から)が増加と需給面では買い圧力が続く。
(今週の経済指標)
12月経済活動指数は前年比0.7%増と11月の1.2%減から改善、12月小売売上は前年比3.2%増と11月の2.1%増から改善している。ただ1月失業率は3.8%と昨年12月の2.9%から悪化した。
テクニカル分析
日足は6連続陰線、年足陰転
日足、6連続陰線。ボリバン上限上抜きから一気に下落、今度は下限を下抜く。2月26日-27日、20日-21日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。ボリバン下限はスポットより上の5.64。
週足、ボリバン上限に到達、一時上限越えもあるがすぐにバンド内へ戻し2月3日週-10日週の上昇ラインを下抜いて下落。ボリバン中位も下抜く。2月17日週-24日週の下降ラインが上値抵抗。
月足。19年10月-12月の上昇ラインを下抜き、2月は上ヒゲが長い。19年8月-9月の上昇ラインがサポート。月のボリバン中位。下限は5.31あたり、上限は6.03。
年足。16年-19年の上昇ラインがサポート。17年-18年、14年-15年の下降ラインを上抜くが今週陰転。
VAMOS MEXICO
マイクロソフト、メキシコに5年で11億ドル投資
マイクロソフトのナデラCEOは、メキシコに今後5年間で11億ドルを投資すると述べた。昨年にロペスオブラドール大統領と会談したナデラ氏は、この投資について「メキシコ全土の人や組織によるデジタル技術の利用拡大に焦点を当てる」と説明。全ての組織が真にメリットを享受し、デジタル化を推進するための顧客サービスを提供する新たなデータセンターを設立すると付け加えた。
またマイクロソフトは、技能プログラムや職業訓練設備にも資金を振り向ける。
ロペスオブラドール氏は、同社の動きはメキシコが投資先として魅力がある証拠だと述べ、堅調な通貨や安定した物価、政府による慎重な債務の管理が背景にあるとした
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