“Perception.=(認識)の違いか?”

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1週間前、新型コロナ・ウィルスの脅威に対するリスク・オフの動きから一時は400円以上下げて2万3千円を割り込んだ日経平均株価もじわじわと値を戻して2万4千円台を伺う動きとなり、同じく108.31まで急落したドル・円相場もあれよあれよと言う間に値を戻して110円をワンタッチする展開となった。

この動きが良く理解出来ない。

相場が戻した背景には
-春節明けの上海株式市場の混乱を避ける為に中国人民銀行が異例の日曜日(2日)に発表した公開市場操作(オペ)による1兆2千億元(約18兆7千億円)の資金供給を行ったり、株の空売りや先物の夜間取引禁止を行った。
これにより一時8%近く下げていた上海総合指数は急速に値を戻した

-一部のメディアが英国のワクチン開発チームが通常2年から3年かかる開発過程の一部を14日間に短縮する技術で重大な突破口を見付けたとか、中国の大学が生体外細胞実験でウイルスを阻害する可能性のあるいくつかの薬を発見したといったニュースを伝えてあたかも新型コロナ・ウィルスの脅威が収まるかの様な印象を与えた。

医療に対しての知識は持ち合わせないがワクチンや新薬開発がそんなに短期間で出来るものではなかろう。
これから臨床試験とか実際に人体に使用するとか膨大な時間と資本が必要なのでは無かろうか?
このニュースが相場の戻しに一役買ったと聞いて“そんな馬鹿な!”と思ったが、自分のPerception.と他人様のそれは違うのかと思わざるを得なかった。

-ドル・円に関しては108円ミドルでGPIF.=(我が国の年金積立金管理運用独立行政法人の事で約150兆円以上を運用する世界最大の投資家。市場ではクジラの異名を持つ。)のドル買いが噂され、週明けリスク・オフによる急激な円高を阻止する為にお上(永田町と財務省)の意向を受けてドルを買ったと噂されていた。

民間と違ってお上の買いなら仕方ない。
これはある意味介入の様なもので、向かって行っても短期的には勝ち目は無い。

興味深いのはこれらの要因で株高、ドル高(主要通貨安)となったのだが米国債券には大きな動意は無く、10年物債券利回りは大体1.5%~1.65%で推移し、週末は債券が買われて1.58%で引けた。

今回の様なリスク・オフからの逆転であれば、株価上昇、ドル上昇、債券価格下落(金利上昇)が起きても不思議ではないのだが今回は長期金利は上がってはいない。(債券価格は下げてはいない。)

何かがおかしいのか?

以前にも紹介したが、現在政策金利に近い2年物米債利回りとドル・円相場の動きを比べ見ると依然としてその乖離は顕著である。

金利が低過ぎるのか、それともドル・円相場が高過ぎるのか?


今週火曜日と水曜日にパウエルFRB.議長の議会証言が予定されているが、その中身に大変興味が有る。
先週FRB.が金融政策報告書を発表し、“主要なリスクは後退し、来年にかけてリセッションとなる可能性はここ数カ月で著しく低下した。”との見解を示したが、同時に“新型肺炎の感染拡大については、米国経済へ新たなリスクをもたらした。”とも指摘した。

その後の新型コロナ・ウィルスによる患者数と死者数の増加を見るにつけ、パウエル議長がこの新たなリスクに対して楽観的な意見を述べるとも思えない。
市場ではさらなる利下げの話も出だした。

金曜日のドル・円の110円を巡る攻防は見応えがあったが、依然として大きく円安になるとは思えず、ドル・円と豪ドル・円のショートをキープすることに大きな違和感は感じない。

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