総括
停電で一時下落、予算案と格付けが焦点
予想レンジ 6.8-7.8
(ポイント)
*エスコム社の停電で一時下落するも、政府が発電計画を承認し下落が一服した
*8月小売売上は弱い
*今週は消費者物価の発表
*ムーディーズの格付け変更は11月
*ムーディーズが格下げすればジャンク債となる
*S&Pが格付けに言及
*2016年から安定しているのは貿易収支の改善から
*世銀は成長見通しを下方修正
*資源価格は堅調
*成長戦略を近々発表
*予算声明は10月30日
*中銀は金融政策ではなく財政政策を要求、中銀は追加緩和を否定
*海外での起債は成功している
*エスコム分割案が提示された
*土地収用問題では温和な報告書が提示された
*2Q・GDPは予想外の改善
*南アへの投資は増加
*移民排斥運動が勃発
*中銀はランドの平均的な水準を1ドル14.5としている
(通貨9位、株価14位、停電で一時下落)
先週は電力大手のエスコム社が発電能力不足のため全土で計画停電を実施すると発表したことで低迷する南ア経済が直面する困難を浮き彫りにし南アランドが売られた。ただその後内閣が長らく遅延していた発電計画の発布を内閣が承認したことを受けてやや戻したが前週の高値の7.37を超えることが出来なかった。
(弱かった小売売上 今週は消費者物価)
8月の小売売上は前年比1.1%増と7月の2.0%増や予想の2.6%増を下回った。8月建設許可も前年比12.3%減少と弱かった(7月は7.1%増)。今週は9月消費者物価の発表がある。予想は前年比4.3%増。
(格付け問題)
注目の11月の格付けであるが、ムーディーズは南アの信用格下げは今後 12-18 ヶ月では起きないだろうと言及した。現在、南アは投資グレードとしては最も低い Baa3だが、今後の経済状況に関しては安定した見通しを持っている。一方で、格下げを回避するためには、政府の債務比率を減らさなければならず、政府としては経済成長に導くための正しい経済政策を引き続き示していかなければいけないことを強調した。ムボウェニ財務相は、今後3年間の財政計画を示す中期予算方針について、予定より1日早い10月29日に発表される可能性があると述べた。ラマポーザ大統領の外遊に対応するためという。
(南ア中銀も財政刺激を要求、FRBとECB同様)
中銀は、財政問題への取り組みが進むまで、政府は赤字穴埋めの債務がもたらす高水準の金利負担を続けることになるとの認識を示した。中銀は、問題の根源は金融政策ではなく財政政策と主張し、主要政策金利のレポレート大幅引き下げを求める政治圧力に抵抗。9月はレポレートを6.5%に据え置いた。
半期の金融政策見直しで、成長支援で利下げする用意はあるとしたものの、効果は長続きしないとの認識を示した。また、長短金利差の拡大はより高いリスクプレミアムに対する投資家需要を反映しており、南アのイールドカーブは「異常に拡大している」と分析。
過去1年のスティープ化は主に低水準の短期金利が原因で、低インフレと低成長を反映する一方、長期金利は財政リスクのため高止まりしていると指摘した。
(9月外貨準備)
9月の外貨準備高(ネットベース)は440億5800万ドルとなり、前月の442億2600万ドルから減少した。一方で、グロスベースの外貨準備は9月末時点で548億5600万ドルとなり前月の499億4800万ドルから増加、政府機関の外債発行を反映した。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン上限でもみ合う
日足。10月11日-14日の下降ラインを上抜き再びボリバン上限へ近づく。10月17日-18日、16日-17日の上昇ラインがサポート。17日、18日は上ヒゲ長い。ボリバン上限も上値抵抗。5日線横ばい。雲の上。
週足。9月16日週-30日週の下降ラインを上抜く。9月9日週-10月7日週の下降ラインが上値抵抗。10月7日週-14日週、8月26日週-10月7日週の上昇ラインがサポート。
月足。7月-8月の下降ラインを上抜く。8月-9月の上昇ラインがサポート。4月-7月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-18年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
コマツ、南アに新工場 米中勢に対抗
コマツは南アに2020年6月に建設・鉱山機械の補修工場を新設する。収益率の高い鉱山機械の拡販につなげるほか、現地の鉱山会社などへの営業を積極化する。アフリカで販売を伸ばしている米キャタピラーや中国・三一重工などの米中勢に対抗する。アフリカ市場は旺盛なインフラ投資などで今後も大きな成長が見込めるため日本勢も力を入れる。
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