先週のドル・円相場は前週の米国経済悪化懸念からの“リスク・オンからリスク・オフへの動き”による高値108.46から安値106.49への動きと真逆の動きとなって、安値106.67から高値108.62へとドル高&円安が進んだ。
この背景としては10日~11日にワシントンで開催された米中閣僚級通商会議で農産品や為替など特定分野で部分的に暫定合意し、トランプ政権が15日に予定していた中国製品への制裁関税の引き上げが先送りされことと、あと3週間後に迫っている英国の欧州連合(EU)離脱=Brexit.に関して17~18日のEU首脳会議で英政府とEUが離脱協定案で合意して“合意無き離脱”が回避される可能性が高いと市場が判断したことが挙げられようか?
このリスク・オンによる動きでドル・円は(106.67-108.62)÷106.67≒1.8%のドル高&円安となったが、ポンドの戻しは激しいものであった。
ポンド・ドルは安値1.2196から高値1.2705まで約4.2%上昇し、ポンド・円に至っては安値130.44から137.88迄約5.7%急騰した。
IMM.投機筋のポンドのポジションを見ると10月8日時点でネットで73,219枚(ポンド換算で約46億ポンド)の売り持ちとなっており、慌ててショート・カバーが起きたのであろう。
ポンド・円の上昇に伴って大きな円売りが出て、ドル・円もつられて上昇したとも言える。
日足チャートを見るとよく分かるが、ドル・円とポンド・円相場の相関性は高い。
さて3回トライしてブレイクしなかった108.50を上切って約2ヶ月半ぶりの高値を更新したドル・円相場であるが、このまま110円を目指すとも思えない。
そもそも今回の米中合意はあくまでも暫定的な物で合意内容の詳細は明らかにされていない。
中国は完全合意の場合は追加関税の完全撤回を要求していると言われており、トランプ大統領がそれを受ける訳は有るまい。
そもそも今や米中関係は通商問題とは次元の違う覇権争い問題となりつつあり、そうすうなりとは解決するとも思えない。
またBrexit.に関しても英国ジョンソン首相は現在の期限である10月31日の離脱を目指すがこれまで何度も煮え湯を飲まされてきたEU.側が首脳会議ですんなりと英国側の提案を受け入れるかどうかは不明である。
今暫くニュースのヘッドラインでリスク・オフ、リスク・オンと振らされる状況が続くと思われるが、先週のレポートでも述べた数々のリスク・オフ要因を頭に置きながら106.00~109.00のレンジを意識して高い所では買わず、低い所では売らないレンジ取引を心掛けたい。