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「FXと麻雀の共通点はマネジメント」今井雅人 特別インタビュー(前編)

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現在、岐阜4区選出の衆議院議員として国政の場で活躍する今井雅人氏。彼は元邦銀チーフディーラー出身で、相場の本質を的確に捉えた冷静な相場分析で個人投資家から絶対的な信頼を置かれている金融アナリスト、"マット今井"として、もうひとつの顔を持っている。彼はこれまで、どのような経験を積み、相場を見る目を養ってきたのか。個人投資家である私たちは、どのように相場に向き合い、投資活動を行うべきなのかなどアドバイスを伺った。

剣道部主将で引く手あまた。嫌いだった銀行に

PickUp編集部:
上智大学を卒業後、三和銀行に入社されました。もともと金融関係の仕事に興味があったのですか?
今井:
上智の英文科を出たら、本当は英語の教師になろうと思っていました。ただ、教員試験の前に、いわゆる就職活動をしてみたところ、剣道部の主将だったことが有利だったのか、銀行だけでなく、証券会社、メーカー、商社などから、どんどん声がかかってくるんです。正直いうと、その頃、銀行に対しては、あまり良いイメージを持っていませんでした。しかし、直接会って、話を聞いているうちに、企業が成長していくために必要な金融サービス提供をするという銀行業務にひかれるようになりました。海外支店があり、留学もできるので、自分が得意な英語も生かせると思いました。時代はプラザ合意の前です。職場の雰囲気もよかったので、入社を決めました。

駆け出し時代に学んだ金利の大切さ

PickUp編集部:
駆け出し時代の仕事について教えてください。
今井:
まず入行すると3カ月間の研修があります。その後、世田谷支店に配属されて、支店には2年半在籍しました。いきなり融資の営業をすることになるのですが、それよりも印象的だったのが、支店長の接待のお付き合いです。主に麻雀だったのですが、実は学生時代に雀荘でアルバイトしていて、メンバーが足りない台で代打ちをしていたこともあり、結構得意だったんですよ。それを見ていた支店長が本店人事部の副部長になり、「麻雀が強いからディーリングをやったらどうだ」と声を掛けられたことから、ディーリング部に転勤することになりました。最初はマネーマーケットという外貨の金利の取引をしました。金利はファンダメンタルズで動きますから、「金利がどう動くのか」「どんな情報をもとに取引をするのか」など、何も知らなかったので、とにかく勉強しました。そこで私が理解したのは、金融市場は金利を中心に回っているということです。
PickUp編集部:
お金は金利の高いところに流れていくというようなことでしょうか?
今井:
金利は景気動向によって動きます。為替が金利を動かすのではなく、金利が為替を動かすんです。金利こそが為替相場に変動をもたらす大きな要因だということです。

シカゴ修行は"パワハラ"の日々

PickUp編集部:
その後、どのような部門を経験されたんでしょうか?
今井:
私はその後、アメリカのシカゴ支店に転勤となりました。為替部門のアシスタントを務めながら。修行の日々を過ごしました。当時はまだ、"パワハラ"がまかり通った時代でしたので、灰皿が飛んでくるとか、電話の受話器が壊れるとか、ゴミ箱はボコボコになっているとかはしょっちゅうで、"体育会"のような世界で鍛えられましたね。
PickUp編集部:
シカゴで本格的な為替取引を学んだということですか?
今井:
シカゴで学んだ為替取引は、その後に日本に戻ってから、銀行を辞めるまでやりました。結局、銀行には19年いました。最初の2年が支店。次の2年が本店で金利。残りの15年が為替です。ただ、為替といっても、みなさんが売り買いしているスポット取引とは異なり、金利商品(スワップ)を扱うフォワード取引も担当していましたから、為替部門といいながら、金利もやっていたことになります。最後は為替部門のトップとして、70~80人の統括をしていました。

FXと麻雀の共通点はマネジメント

PickUp編集部:
ところで、麻雀とFXというのは似ているのでしょうか?
今井:
為替は投資という人がいますが、私は投資とは思っていないです。確かに、やり方次第で投資になりますが、レバレッジを効かせている時点で、投機的な部分も当然あり、ギャンブル的な要素もあると思います。麻雀と似ているところは、ずっと自分の良い状態が続かないところでしょう。人間は「運」というものにも影響されていますから。運気がいいときは、不思議とうまくいくし、悪いときはうまくいきません。 大事なことは、いかにマネジメントするかということです。運気が悪いときは、何をやってもうまくいかないから、できるだけ控えて、調子がいいときに、いかに一気に勝つかということです。これはどんな勝負事でも共通です。調子が悪いときに突っ込むから大損するんです。もちろん、運だけでなく、マーケット自体が難しい場合もあります。分かりやすい相場と、分かりにくい相場があって、その相場に自分のフィーリングが合っているか、合っていないかということなんです。
PickUp編集部:
それはどうやったら分かるようになるんですか?
今井:
言葉では表現できないですね。やっているうちに、なんとなく勘で覚えていくものです。自分の調子は感覚です。マーケットの問題は、やっぱり材料を見るわけです。材料というのは、はっきりしているときと、はっきりしていないときがある。そして、世の中の"傾き"です。例えば、バブルなんかは典型的です。お金が過熱した状態ですよね。それが逆流するような事案が起きるとマーケットは簡単になります。リーマンショックのときなどは、相場はもっと簡単だった。上がっていたところから落ちるだけなので、あんなに簡単な相場はありません。おかげでだいぶもうかりました(笑)。
PickUp編集部:
ただ、どんなときでも、もうかる人ともうけられない人がいます。
今井:
普通の人は「買う」からダメなんです。上がってきたものが崩れたら、一気に崩れる方向に動くに決まっています。どちらかに大きく「傾いている」ときに、とてもはっきりした反対の材料が出てきたら、一番分かりやすいですね。
PickUp編集部:
流れを変えるような何かを、誰よりも早く見つけることが大事だと。
今井:
誰よりも早く見つける必要はありません。そんな相場は途中から乗っても十分に間に合います。そもそも最初に見つけられるものでもないんですよ。

最初に負けないことが今井流

PickUp編集部:
それ以外に、負けないコツのようなものはありますか?
今井:
FXの場合、最初の取引で負けると、勝負するための資金が減ってしまうので、その後の取引は金額を小さくせざるを得ない。小額で負けを取り返そうとすると、とても大きな利幅で勝たないといけなくなります。つまり、スタートで大きく負けると、その後がとても苦しくなるわけです。私は、最初取引で負けないようにすることを、いつも考えています。これも資金コントロールのコツのひとつです。
PickUp編集部:
今井さんは取引の仕方は、いかに負けないかということですか?
今井:
私だって負けることはあります。でも、いかに負けを小さくするかですよ。世の中には天才がいて、勝ち続ける人もいますが、それは本当に限られた人なんです。10回中5回、利益が出れば十分だと思います。5回勝って5回負けても、もうかった金額が大きければ、手元にお金は残ります。ただ、利益が出るときは、2~3倍になるような取引にしておかないとダメでしょう。

チャートはじっくりと見ろ

PickUp編集部:
取引期間を決め、その間のトレンドがどちらに動くかを読むとき、恐らくどこかにサインがあるのだと思いますが、今井さんはいつも何をみて判断していますか?
今井:
人間は目に見えることがとても大事です。つまり、見るべきはチャートということです。その名の通り、「地図」みたいなものですから。「上昇相場のここにいる」とか、「これまでの流れの中でこの辺にいる」とか、自分がどこにいるのかを知ることが大事なんです。また、前の動きを見ていれば「これくらいの値幅で動くのなら、これくらいを狙おうか」と、自分で判断できるじゃないですか。もちろん、相場は突然変わることもあるので、必ずしもそうなりませんが、自分の"肌感覚"として、「上がってきたところだな」とか「1回で約5円動いているな」とか、そういうところを見て確認しておくと、取引するときの気持ちは安定します。自分の目で見えているわけで、暗やみを歩いているわけではないのです。こうやって位置を確認することの延長が、テクニカル分析なんです。
PickUp編集部:
チャートで判断すると。
今井:
私はチャートだけで取引はしませんが、少なくとも、グラフやチャートをきちんと見るのは、最低限必要なことだと理解してください。チャートだけを使って取引する人もいれば、ほかの指標とあわせている人もいます。それはどちらでもいいでしょう。ただ、チャートを見ないで、ただやみくもにやるのは怖いことですよね。



(後編に続く)

株式会社マットキャピタルマネージメント 代表取締役
今井雅人
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。