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「円高トレンドは買いを引きつけ、売りは速く」外国為替ストラテジスト・川合美智子氏 特別インタビュー(後編)

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前編では東京銀行員時代に、実務で経験を積みながら、どのようにテクニカル分析を覚えたかについて教えていただきました。後編では、最近の為替相場の話、テクニカル分析を生かした具体的なトレード手法、そして最後に個人投資家へのアドバイスなどを伺いました。

円高トレンドは買いを引きつけ、売りは速く

PickUp編集部:
最近の相場ですが、例えば、ドル/円相場は、中期的なトレンドとして、やや円高に傾いています。
川合:
ええ、ドル/円で円高方向に向かうリスクが大きいわけですが、そんなときは、買いは引きつけて買い、売りは速く、損切りも浅くするんです。
売りだったら110円50銭くらい(2019年3月末)ですが、112円を超えたら強気に転換します。「110円50銭で売ったとしても、損切りなら111円でやめましょう」というのが本来なんでしょうが、そうではなく、112円超えまで我慢できるポジションを持つか、もっと引きつけて売るか。売りから入ったら、損切りは深くても我慢する。トレンドが変わると思うところまで我慢するというのが、最終的に損を小さくします。大きくもうけるためには、まず、損を小さくしないといけません。
自分を追い込まないために、まずは損切りポイントを置く必要があるんです。トレンドが変わるところに、損切りのポイントを置くということです。レンジを行ったり、来たりするときは、損切りポイントを上げていくと、結局、そこのところで「損切り」になって、逆に買うと落ちてと、往復ビンタみたいになります。
トレンドが出てくると、それは攻めに転じることができるタイミングです。例えば、週足が戻って、円高・ドル"下げ"であれば、売りから入る。損切りは我慢して、深く入る。不安から"2円超え"で損切りができないということであれば、それはもう、"待つ"しかないです。

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2019年に入ってからのドル/円相場をトレンドラインで説明する川合氏

機関投資家と個人で異なる取引スタイル

PickUp編集部:
金融機関のときと、個人になってからでは、やはり取引スタイルが変わりましたか?
川合:
全然違いますね。金融機関には「どれくらい儲けなさい」という予算があります。それを達成できれば、それ以上の取引はやらなくなります。また、ロスリミット、いわゆる「損をするリミット」もあるわけで、いくらトレンドがフォローだといっても、我慢して損を大きくするわけにはいきません。損を小さくしながら、細かく利益を積みあげていくというスタイルでした。
一方、個人になってからは、自分のルールで取引ができるようになりました。現在の相場のように、例えば、「ドル下げだ」と思ったら、多少は我慢して、損は深くなるかもしれないけれど、トレンド通りにやることができます。もし、107円とかを切れてきたら、"5円"では止まらない相場になると思うので、そうなってきたときに、7円で売るとか、底値で売るとか、正直、積極的にやるのは、個人のほうがやりやすいです。
PickUp編集部:
川合さんはどんな分析ツールを使っているのですか?
川合:
私が使っているツールは簡単なものですよ。ローソク足をベースに、トレンドラインを引くことと、ポイントリバースは使います。そのほかに、移動平均線は入れ込んで見ていますね。実際、自分が手でつけているチャートはローソク足にトレンドラインだけです。
PickUp編集部:
ご自身のテクニカル分析のやり方が「正しい」と確信したきっかけはなんですか?
川合:
手描きチャートをつけ始めたことがきっかけですね。実際の動きとエネルギーの溜まり具合を感じます。週足はエネルギーの溜まり具合がわかります。5円から10円くらいの変化は、週足が一番大きいですね。日々、行ったり来たりのときは、チャラチャラとやって、そっちにかけますし、トレンドが出てきたときは、一番儲かります。
PickUp編集部:
ものすごい単位の金額でお客さんから注文を受けてやっていると損をすることもありますよね?
川合:
カスタマー担当としてお客さまの対応をしていると、生保さんなどは損切りしないことが多いんです。損切りをしないとなると、リーマンショックのようなことが発生した場合、"ナンピン"するかしかないわけです。だから、変なポイントでナンピンしないように、まずは止まって相場を見て、短くトレンドが変わった瞬間に、買って、利食って、買って、利食って、高い買いに近づけていく作業をやらないといけません。違った目線で、ここを切れたらやめてくださいねと言っていても、「いや切れる」と。それが夜中だったりするとみんな置いてなかったりするわけですよ。
PickUp編集部:
川合さんはファンダメンタルズをご自身の取引に利用していますか?
川合:
材料としては見ていますね。でも、それをベースにトレードはしていません。逆に言うと、ファンダメンタルズは、後から(相場の)説明がしやすいんです。

個人投資家の方々へ

PickUp編集部:
最後に、個人投資家の方々にメッセージをお願いします。
川合:
とにかくやってみることですね。あとは追い込まれないところに、損切りをおくことを忘れずに。最初はビギナーズラックとかもあるけど、どこかでやられると、スパイラル的にやられます。だから一度、冷静な目で見ないといけないときには、簡単なチャートを自分の拠り所にして、「これを切れたところで損切りをおく」、「上に抜けたところに損切りをおく」、など「追い込まれないための損切り」が必要だと思います。
あとはトレンドフォローをしたほうがいいです。短い時間のトレードにしても、ドルが上昇なら買いから入るとか、下げるなら売りから入るとか。トレンドを見て、どちらの方向で相場に入ったほうがより有利なのか、安全なのかを考えましょう。
PickUp編集部:
おすすめの通貨やレバレッジはありますか?
川合:
ドル/円とか、ユーロ/円とか、ユーロ/ドルは、それ自体が実需の金額が非常に大きくて、マーケットが厚いので、チャート通りに動きやすいですね。変な大きな玉が出て、チャート崩しのものがないんです。チャートが生きる主要通貨の中で、先進国の通貨がいいと思います。初心者であればあるほど、そんなところからトレードするのがいいでしょう。チャート通りに動くし、出来高も大きい通貨のほうがトレンド通りに動くと思います。
PickUp編集部:
レバレッジはどうでしょうか。
川合:
初心者のレバレッジは、5倍で十分だと思います。最初は5倍くらいで始めて、利が乗ってきたら10倍にしてもいいでしょう。トレンドが出てくるところでは、20〜25倍でやってもいいと思いますが、自分が思ったレバレッジの半分から始めるのがいいですね。
ナンピンは1回限りにします。利乗せはいいけど、ナンピンは1回だけにしましょう。結局、持ち値を平準化するだけじゃなくて、ポジションが2倍になっているのだから、決して状況が良くなっているわけではないのです。自分の方向性が正しいと思って、ナンピンするわけだから、違ったところのポイントから、少し離れたところに損切りをおいて、それに近いところで損切りするのが鉄則です。そうすると、最初のポジション分しかやられません。思っているところが、少し離れていて、トレンド自体が正しければ、損切りを使わずに、ナンピンが生きるはずなんです。本来、ナンピンはやってはいけないけれど、1回だけ、自分が間違っていないことを証明するために、損切りのギリギリのところでやるようにしています。
PickUp編集部:
ありがとうございました。

PickUp編集部

実需の大きなマーケットの厚い通貨を選ぶこと。トレンドフォローで堅実なトレードを心がけること。レバレッジは、最初から大きく設定せずに、自分が思ったレバレッジの半分から始めること。ナンピンは一回、損切りラインに近いところで行うこと。FXの初心者に方々にはぜひ参考にしていただきたいトレードのヒントがたくさん詰まったインタビューでした。


前編
「テクニカル分析の基礎はすべて東京銀行で学んだ」外国為替ストラテジスト・川合美智子氏 特別インタビュー(前編)

ワカバヤシFX レポート
https://www.gaitame.com/media/archive/category/ワカバヤシFX

川合美智子氏
外国為替ストラテジスト
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)在勤の1980年より、テクニカル分析の第一人者、若林栄四氏の下でテクニカル分析を研究、習得する。同行退職後、1998年まで在日米銀などでカスタマー・ディーラーや外国為替ストラテジスト、資金為替部長を歴任。現在は外国為替ストラテジストとして、テクニカル分析に基づく為替相場レポートを発信中。各種メディアへの出演も多数。