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いまおさえておきたいネタはこれだ!
ディオス・ミーオ!メキシコ関税超短期決戦!
2018年10月1日に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が正式合意して以来、落ち着いているようにみえた米国とメキシコの関係。
何もなければこのまま各国で協定の批准を待つ形になっていた。
でも、トランプ米大統領が5月21日に「メキシコは不法移民に対して責任を負わなければいけない」と発言するなど、ちょっと不穏な空気も出てきたそのとき!
5/31~6/3までの流れ
5月31日、トランプ米大統領がついに怒り爆発!ディオス・ミーオ!(なんてこった!)
「6月10日からメキシコからの輸入品全てに5%の関税をかける」「メキシコへの関税は不法移民の流入が止まるまで実施」として、最大25%の関税をかけると宣言したのだった。
このニュースに東京市場は朝から大あわて。メキシコペソ/円も急落して1月4日以来の安値をつけた。
ただ、メキシコのロペスオブラドール大統領は「最初に対決は望んでいないことを表明する」と冷静に対応。
「米国との対話を深め、移民問題について長期的な解決策を見いだすことを望む」として今後の展開に望みをつないだ。
また、このトランプ政権の決定には国内からも反発があり、全米商工会議所やライトハイザー米通商代表部(USTR)代表もメキシコへの関税に反対したと報じられたことも印象的だった。
不穏な空気のまま週末を迎え、まずは週明けの6月3日に米国のロス商務長官とメキシコのマルケス経済相による会談・第1ラウンドのゴングが鳴ったのだった。
6/4~6/5までの流れ
会談はとりあえず順調だったようで、マルケス・メキシコ経済相の「メキシコからの全輸入品に対する関税案や、USMCAの次のステップについて協議」とのコメントや、ロス米商務長官の「メキシコは米国へ流入する移民問題に対する対処をより行うべき」との発言が伝わってきた。
米共和党がメキシコ関税の阻止に動くとの報道も伝わるなかで、メキシコのロペスオブラドール大統領が「トランプ米大統領が設定した期限の10日より前に米国と合意が得られる」「協議は上手くいっている」と心強い発言。
メキシコペソも持ち直すなど相場も落ち着きをみせた。
しかし、そこにトランプ米大統領が一石を投じ「メキシコに対する関税措置は、単なる脅しではない」と釘を刺す!
再び重い空気に沈むなか、ポンペオ米国務長官とエブラルド・メキシコ外務相による米・メキシコ会談第2ラウンドが開始された。
同日のNY市場ではグラスリーさんやナバロさんが「対メキシコ関税はない」と受け取れる発言をしたものの、はたして肝心の会談は......?
6/6~6/10までの流れ
その翌日の6月6日早朝、米国とメキシコの協議が決裂したことが判明!
「メキシコと米国は関税、移民などで合意できなかった」との報道が伝わると持ち直していたメキシコペソ/円が再び急落してしまった。
メキシコのエブラルド外務相が「明日の継続協議について楽観視している」としたものの効果はなく、相場はこう着状態へ。
NY時間には米メディアが「米政府はメキシコへの関税を先送りする方向で検討している」と報道した一方、その数時間後にはホワイトハウスの報道官が「米政府は依然としてメキシコからの輸入品に対する追加関税の発動を進めている」として真逆の発表をするなど情報も錯綜気味となった。
しかし、モヤモヤしたまま週末を迎えた次の日の朝。
なんとトランプ米大統領が「メキシコとの合意が成立した。10日に発動を予定していた対メキシコ関税は無期限に停止される」とツイート!関税はギリギリ回避されたのだった。
ただ、トランプさんは「もしメキシコが合意事項を破った場合、制裁関税は復活する」などと不穏な発言もしていて、まだまだ安心するのは早いみたい。
これからもメキシコの苦労は続くのか、どうなる米国・メキシコ関係。
バモス・メヒコ!(がんばれ、メキシコ!)
神田上席研究員(外為どっとコム総研)からひとこと!
トランプ米大統領のメキシコ関税案は、米与党・共和党内からも反対の声が多く挙がっていましたから、発動回避は自然と言えば自然な展開でした。
ただ、対中問題はそうは行かないようです。
中国への制裁は与野党問わず一定の支持を得ているとされ、こちらは長期戦を覚悟しなければいけないのかもしれません。
(外為どっとコム総研 取締役調査部長 上席研究員 神田卓也)
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