本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日に1986年12月以来となる163円台に上昇したことにより、本邦金融当局の姿勢が試されると見る。
前週は主に162円台でこう着した展開であったこともあり、財務相の相場に関する発言は16日の「為替についてはいつでも適切に対応」や17日の「為替に関しては、必要とあればいつでも果断な措置をとる」程度と少なめ、かつ、実弾介入を示唆するほどの強い口調ではなかった。そうした中、本日は財務相始め金融当局者の発言があれば注目を集めることが予想される。強い口調での円安けん制内容となればドル円は一旦下押すことが予想される。ただし、従来とあまり変わらない発言内容だった場合、政府は円安を容認したと解釈されて一段と円安が進むことも考えられる。その場合、1986年12月高値163.95円が意識されそうだ。
また、現状ではいつ円買い介入が出ても不思議ではない水準に位置していることを鑑みると、これまで以上に神経質な展開への備えは必要だろう。
とはいえ、現状のドル円の上昇を支えているのは、中東情勢の緊迫化による有事のドル買いのほか、それを受けた原油高によりインフレが懸念され、米年内利上げ観測が復活したことが挙げられる。本邦要因では、先月末に「『骨太の方針』は日銀の追加利上げをけん制する狙いがある」と報じられるなど、「責任ある積極財政」を掲げる高市首相が日銀の利上げについて否定的と解されていることも、円売りを後押ししている。こうした状況が変わらなければ、円買い介入を実施しても効果は限定的になると見ている市場関係者は多い。
17日に公表された商品先物取引委員会(CFTC)のポジション状況によると、円は約12.2万枚のネットショート(=円売り持ち)となっている。6月に記録した15万枚台と比べるとやや落ち着いているとはいえ、依然として円先安観は根強く、ポジションも偏っている。もし4月末のような大規模な円買い介入に踏み切った場合、これらのポジションのショートカバーを誘ってドル円の下げ幅が大きくなることもあり得る。
足もとでドル高の主因となっている中東情勢だが、米・イラン間での攻撃の応酬が続いている。昨日はイエメンの親イラン武装組織フーシ派によるサウジアラビアに対する海上封鎖を表明したほか、トランプ米大統領はイランの主要なウラン濃縮施設「ナタンズ」の近くにある「ピックアックス山」を攻撃すると述べるなど、戦火は拡大の様相を呈している。本日も関連報道と共に原油相場の動向にも気を配りたい。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
