
作成日時 2026年6月19日 10時20分
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
来週(6月22日〜26日)のS&P500(SP500)は、米長期金利の高止まりと個人消費支出(PCE)価格指数をにらみながら、方向感を探る一週間になりそうです。上値は重いものの、下値も崩れにくい。プロの間でも「ここから高値を試すのか」「いったん調整を挟むのか」で見方が分かれやすい局面ですが、大切なのは、予想をそのまま受け入れることではなく、ご自身の相場観に落とし込むことです。
来週の想定レンジ:7,300〜7,700ポイント
中東リスク後退は消化済み、利上げ観測の高まりも限定的
来週(6月22日〜26日)のSP500は、7,300〜7,700ポイントのレンジ内で、米長期金利とPCEをにらんだ神経質な展開を想定します。
6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が据え置かれたものの、年内利上げ観測が再び意識される内容となり、市場にはタカ派的な余韻が残っています。米10年債利回りは4.4%台半ばで高止まりしており、株価収益率(PER)の高い人工知能(AI)・ハイテク株には、引き続き上値の重さが意識されやすい地合いです。
もっとも、今回意識されている利上げ観測は、本格的な利上げサイクル再開というより、インフレの粘着性に対応するための調整的・限定的な利上げと受け止められています。そのため、金利上昇は株価の上値を抑える要因にはなりますが、相場全体を大きく押し下げるほどの材料にはなりにくいと見ています。米長期金利が急騰しない限り、SP500の下値も限定的となりそうです。
一方で、中東情勢を巡るリスクオンは一巡しつつあります。暫定合意によって原油高への警戒はやや後退しましたが、合意の履行にはなお不透明感も残ります。そのため、市場の関心は地政学リスクから、再びインフレ指標と米金利動向へ移りつつあります。
6月25日のPCEがS&P500(SP500)の分岐点に
最大の注目材料は、6月25日に発表される米5月PCEです。特にコアPCEが前年比+3.3%を上回るようなら、インフレの根強さが意識され、米10年債利回りが4.5%台へ上昇する可能性があります。その場合、SP500は利益確定売りに押され、レンジ下限の7,300ポイント付近を試す展開も考えられます。
反対に、PCEが予想通り、または下振れとなれば、過度な利上げ警戒は和らぎます。米長期金利が落ち着けば、AI・ハイテク株を中心に買い直しが入り、SP500は7,700ポイント方向への上値トライも視野に入りそうです。
SP500テクニカル分析:25日線付近の攻防

テクニカル面では、25日移動平均線が7,475ポイント付近、75日移動平均線が7,100ポイント付近に位置しています。足元では、急落後に買い戻しが入り、株価は再び25日移動平均線付近まで回復しています。ただし、25日線を明確に上回って上昇基調に戻ったというより、7,500ポイント前後で上値抵抗の強さを確認している段階です。
7,475ポイント付近をしっかり上回れば、7,600〜7,700ポイント方向への上値トライが視野に入ります。一方、75日移動平均線は7,100ポイント付近にあり、予想レンジ下限の7,300ポイントより下にあります。そのため、7,300ポイント台で下げ止まることができれば、チャート全体の上昇基調が大きく崩れたとは言いにくい状況です。
相対力指数(RSI、14日)は44.5と中立水準の50をやや下回っており、買われすぎ感はありません。上値を追うにはやや力不足ですが、売り込むほど弱い形でもありません。
ラッセルリバランスや四半期末フローが落とし穴の危険も
週末にかけては、四半期末のポジション調整にも注意が必要です。加えて、6月26日にはラッセル米国株指数のリバランスが予定されています。ラッセル指数のリバランスとは、ラッセル1000、ラッセル2000、ラッセル3000などの構成銘柄を見直すイベントです。指数に連動するファンドは、新たに採用される銘柄を買い、除外される銘柄を売る必要があるため、米国株市場では売買代金が膨らみやすくなります。
このリバランスは、SP500全体の方向性を決める材料というより、週末の売買を一時的に荒くする需給イベントですが、中小型株や指数採用・除外の対象銘柄では値動きが大きくなりやすく、終盤にかけてSP500の振れ幅が広がる可能性があります。
プロの視点と、ご自身のシナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、7,300〜7,700ポイントのレンジ内で、PCEと米10年債利回りを確認しながら方向感を探る展開です。
7,300ポイント台では、米長期金利が急騰しない限り、下値の堅さを確認する場面になりやすいと見ています。一方で、7,700ポイントに接近する場面では、PCEを前に利益確定売りが出やすく、買いを追いかけるには慎重さも必要です。
つまり、7,300ポイント台では押し目買い、7,700ポイント接近では一部利益確定を意識する見方になります。ただし、これはあくまで一つの視点です。ご自身の見立てに合わせて、どの価格帯でリスクを取るのか、どこで一度引くのかを整理しておきたいところです。
あなたの見通しは?
- A. PCEが予想通り、または下振れとなり、米長期金利が落ち着く。AI・ハイテク株を中心に買い直され、7,700ポイント方向を試す。
- B.PCEを前に様子見姿勢が強まり、7,400〜7,600ポイントの範囲で上下する。25日移動平均線付近の攻防が続く。
- C.コアPCEが前年比+3.3%を上回り、米10年債利回りが4.5%台へ上昇する。利益確定売りが強まり、7,300ポイント付近を試す。
今後の重要イベント
- 6月24日(水) 米国 23:00 5月新築住宅販売件数
- 6月25日(木) 米国 21:30 1-3月期国内総生産(GDP)確定値
- 6月25日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 6月25日(木) 米国 21:30 5月耐久財受注
- 6月25日(木) 米国 21:30 5月個人消費支出(PCE)価格指数
- 6月26日(金) 米国 23:00 6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値
- 6月26日(金) 米国 ラッセル米国株指数リバランス確定(米国市場引け後)
※リアルタイムの価格はこちらから確認できます。
株価指数・商品CFDチャート|はじめてのFXなら外為どっとコム
外為どっとコムの「CFDネクスト」とは
CFD(CFDネクスト)について|はじめてのCFDなら外為どっとコム
関連レポート
- S&P500(SP500)見通し、中東情勢の報道でグッと盛り返す、FOMC前に7,150〜7,650の攻防 2026年6月12日
- S&P500(SP500)見通し、『スペースX上場』の余波で上昇に黄色信号か... 2026年6月5日
- S&P500(SP500)見通し、この先AI相場と金利上昇、どちらを重く見るか2026年5月29日
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
