
金(ゴールド)週間見通し:買い材料と売り材料が複雑に交錯
作成日時:2026年6月18日 11:00
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
6月18日~6月25日の金相場は、プロでも見方が分かれる局面です。米国とイランの暫定合意で地政学リスクは後退しましたが、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)では米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢も確認されました。
つまり、金を買う理由と売る理由が同時に存在しています。今週の金相場の材料とテクニカル面を整理しますので、ご自身のシナリオ構築に役立てください。
金(ゴールド)の今後1週間の想定レンジ:4,100ドル〜4,500ドル
金(ゴールド)相場:「ホルムズ再開」と「FRB利上げ」のダブル主役
足元の金相場は、方向感を欠く展開となっています。中東情勢への警戒感を背景に買われる場面があった一方、米国とイランの暫定合意を受けて地政学リスクが後退し、「有事の金」を買う動きはやや鈍っています。
さらに、原油価格の下落で期待インフレ率の低下が意識されるものの、6月のFOMCではFRBのタカ派姿勢が確認されました。地政学リスクは後退した反面、米金融政策への警戒は残っており、投資家心理も強気と弱気の間で揺れています。
こうした中、金相場は新たな均衡点を探る局面に入っていると見られます。
金(ゴールド)、米短期金利と中東情勢の強弱が動向を左右
今後、1週間の金相場は、戻りを試しながらも、上値は抑えられやすい展開を想定します。
米イラン暫定合意を受けて、ホルムズ海峡の正常化や原油供給の回復が意識され、原油価格は下落しました。原油安は、エネルギー価格を通じたインフレ再燃への警戒を和らげるため、本来であれば金にとって支援材料になりやすい動きです。
ただし、今回は単純に金買いとはなりにくい状況です。地政学リスクが後退すれば、同時に「有事の金」を買う動きも弱まります。さらに、6月のFOMCでは政策金利が据え置かれた一方、ドットチャートはタカ派色を強めました。参加者のうち半数が年内利上げを見込む形となり、利下げ期待は大きく後退しています。
つまり、今の金相場は、原油安によるインフレ懸念の後退と、FRBの利上げ警戒が同時に存在し、ここがまさに今週の見通しを難しくしている要因です。今後、材料が定まりにくいため、どうしても短期的な材料や資金フローに影響される状況に陥りやすく、目先の金相場はドル高や米短期金利と中東情勢を巡るセンチメントの強弱に左右されそうです。
ドル円トレードのヒント
こうした金の動向は、ドル円相場を占う上でも重要な先行指標となります。現在、金の上値を抑えている最大の要因は「FRBのタカ派姿勢(米金利の高止まり・ドル高)」です。したがって、金が上値の重い展開(下落〜レンジ)を続ける間は、ドル円は日米金利差を背景に底堅く推移しやすいと言えます。逆に、金が想定レンジを上抜けて急反発するような局面では、米金利の低下(ドル安)を伴っている可能性が高いため、ドル円の急落リスクに警戒が必要となるでしょう。
金スポットテクニカル分析:25日線が上値の壁、戻りは試すが基調は弱め

金スポットの日足チャートでは、25日移動平均線が4,410ドル付近、75日移動平均線が4,630ドル付近にあります。足元の価格は25日線を下回っており、チャート上はまだ上値の重い形です。
相対力指数(RSI、14日)は38.5と水準的には反発期待はあるものの、買いの勢いが強いとは言いにくく、4,350~4,410ドル付近では戻り売りが出やすいと見られます。
下値では4,200ドル前後が最初の支えとなり、ここを割り込むと4,100ドル付近まで下値を探る展開が想定されます。一方、25日線の4,410ドル付近を上抜ければ、4,500ドル付近まで戻りを試しそうです。ただし、75日線の4,630ドル付近はまだ遠く、上昇トレンド回復には時間がかかるでしょう。
プロの視点と、ご自身のシナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、4,100~4,500ドルのレンジ内で推移する展開です。
短期売買では、4,350~4,410ドル付近への戻りで上値の重さを確認する展開と見られます。下方向では、4,200ドル前後、さらに強く下げる場合は4,100ドル付近が意識されます。
一方、4,100~4,200ドル付近では突っ込み売りを避け、下げ止まりを確認できれば押し目買いを検討する余地もあります。ただし、4,100ドルを明確に下回る場合は、いったん買い目線を弱める判断も必要になりそうです。
上方向では、4,500ドルを明確に上抜けると、4,630ドル付近の75日線を試す展開が意識されます。
重要なのは、一つの方向に過度に傾け過ぎないことです。原油安は金の支えになり得ますが、米利上げ観測と地政学リスクの後退は上値を抑える要因です。ご自身の見立てでは、どの材料をより重く見るのか、そこを整理したうえで、売買方針を組み立てたい局面です。
あなたの見通しは?
- 4,500ドル方向への戻りを試す
原油安によるインフレ懸念の後退が意識され、金は買い戻されると見る。 - 4,200~4,500ドルのレンジで推移する
強弱材料がぶつかり、方向感は出にくいと見る。 - 4,100ドル方向への下落リスクを警戒する
米利上げ観測と地政学リスクの後退が重しになり、上値は重いと見る。
今後の重要イベント
- 6月18日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 6月18日(木) 米国 23:00 5月景気先行指数
- 6月19日(金) 米イラン暫定合意、署名式(スイス中部にて予定)
- 6月19日(金) 奴隷解放記念日で米金融市場は休場
- 6月23日(火) ユーロ圏 17:00 HCOB製造業PMI・サービス業PMI 速報値
- 6月23日(火) 米国 22:45 6月製造業PMI・サービス業PMI 速報値
- 6月24日(水) 日本 15:40 植田総裁<氷見野副総裁代読>(全国信用金庫大会)
- 6月24日(水) 米国 23:00 5月新築住宅販売件数
- 6月25日(木) 日本 10:00 田村日銀審議委員、発言
- 6月25日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数、5月耐久財受注、1〜3月期実質GDP確報値、個人消費、PCE関連指標
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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