本日のロンドン為替市場では、イラン戦争の早期終結期待と、米欧関係のきしみという二つの流れを見極める展開となりそうだ。戦争長期化への懸念がやや後退すればドル売りが入りやすい半面、米欧の亀裂が深まるようならユーロの戻りも限られやすい。
トランプ米大統領は対イラン軍事行動について「長期化させるつもりはない」と示唆し、ルビオ国務長官も収束の糸口が見えつつあると述べた。米政権内で出口戦略の模索が進んでいるとの見方が広がれば、リスク選好の回復を通じてドル売りが優勢となりやすい。市場の重心はひとまず「戦火拡大」から「終戦模索」へ移りつつある。
ホルムズ海峡を巡っては、アラブ首長国連邦(UAE)が武力による海峡開放への参加意向を示したことが注目を集めている。湾岸諸国として初の実戦参加となれば、米主導作戦の実効性が増し、海峡再開期待からエネルギー価格は落ち着きやすい。ただ、その一方でイランはUAEへの攻撃を強め、湾岸インフラ全体への脅しも続けており、リスクが消えたとみるのは早計だろう。
為替市場でより厄介なのは、戦争そのものより米欧の温度差かもしれない。スペイン、イタリア、フランスが米軍機の領空通過や基地使用を拒否し、ルビオ長官は公然と不満を示した。同盟の足並みの乱れが意識されるなかでは、ドル売り局面でもユーロ買いが勢いづきにくい。ユーロドルは上昇しても伸び切れず、戻り売りに押されやすい地合いが続く可能性がある。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁も、エネルギーインフラ損壊の影響を軽視する米側の見方に異を唱えた。ECB内ではインフレ急伸と成長悪化が同時進行するシナリオも意識されており、これはユーロ圏の重荷となりうる。
なお本日は欧州の3月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値やチポローネECB専務理事の発言が予定されている。ただし、相場の主導権は引き続き戦争終結期待と米欧関係の行方が握りそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、3月23日高値1.1640ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート1の1.1480ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
