
ここまでの相場
今週のS&P 500は、先週の「買い継続」見通しに反して大きく値を崩しました。CFD銘柄である米国SP500は2月5日に6,767まで下落し、年初来でマイナス圏に転落しています。1月28日の史上最高値7,016からわずか1週間で約3%の下落です。原因は大きく2つ。FRB新議長人事と、米大手IT企業(BigTech)決算での「設備投資パニック」です。
今週のマーケット:「ウォーシュ・ショック」の余波、AI投資への不安
FRB新議長にケビン・ウォーシュ氏を指名
1月30日(金)、トランプ大統領はケビン・ウォーシュ氏を次期FRB議長に指名しました。ウォーシュ氏は2006年~2011年にFRB理事を務めた人物で、リーマン・ショック時の危機対応に携わった経験を持ちます。一方で、量的緩和に批判的な「タカ派」として知られています。
市場は「FRBの独立性が守られる」とひとまず安堵しましたが、同時に「利下げペースが鈍化する」との見方からドル高が進行。金(ゴールド)スポットは約1割、銀スポットは約3割もの暴落を記録しました。銀のこの下落幅は1980年以来、実に約45年ぶりの水準です。株式市場もリスクオフの波に飲まれ、ビットコインは7万ドルを割り込みました。
先週のレポートで「FRB議長人事には備えたい」と書きましたが、まさにこの通りの展開となりました。ただし、リスク回避やポジション解消が連鎖し、貴金属やビットコインへここまで波及することは想定外でした。
BigTech「設備投資パニック」:好業績でも売られる
今週のもう一つの主役は、BigTechの決算です。結果は「業績は好調、しかし設備投資の規模が怖い」という、やや矛盾した反応でした。
- Alphabet(Google):AI関連設備投資について巨額を投入することを発表。好決算にもかかわらず株価は下落。
- Amazon:Q4売上は過去最高で市場予想を上回ったものの、2026年の設備投資見通しが市場予想を大幅に超過。時間外で約1割の急落。
- AMD:Q1見通しが一部アナリストの期待に届かず2割弱の急落。
先週のMeta好決算では株価が約1割上昇した一方、Microsoftはクラウド成長の鈍化で約1割の下落。同じ「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)」でも、市場の反応は完全に二極化しています。
AI投資の勢いは本物ですが、投資家は「巨大なコストをいつ回収できるのか」を問い始めています。加えて、AIの進化が既存のソフトウェア企業のビジネスを奪うという懸念から、SaaS(クラウド型ソフトウェア)関連株などが売られたことも相場の重荷となりました。これが今の相場の最大のテーマです。
「ウォーシュ時代」で何が変わるのか?
ウォーシュ氏の議長就任(上院承認後、5月以降の見通し)は、市場にとって何を意味するのでしょうか。
ポイントは、ウォーシュ氏が「タカ派だが利下げには柔軟」という微妙な立場にいることです。かつて量的緩和を批判した一方で、最近はAIによる生産性向上を背景にインフレなき利下げは可能との見方を示しています。
つまり、「FRBのバランスシートは縮小するものの、金利は下がる可能性がある」という市場にとってはやや複雑なシナリオに見えます。中長期的にはFRBの信認回復を通じて株式市場にポジティブとの見方がある一方、短期的にはボラティリティの高い状態が続きそうです。
来週の注目スケジュールと戦略
来週は米政府閉鎖の影響で延期されていた超重量級の経済指標が一気に発表されます。
重要イベント
- 2月11日(水):米1月雇用統計(NFP)+年次ベンチマーク改定
- 2月13日(金):米1月消費者物価指数(CPI)
なぜ米雇用統計が特に重要なのか
今回の米雇用統計は通常の月次データに加え、年次ベンチマーク改定(2021年1月〜2025年3月までのデータの見直し)が同時に行われます。
これにより2025年の雇用データ全体が、過去にさかのぼって修正される可能性があり、「実は2025年の雇用はもっと弱かった」となれば、FRBの利下げ期待が一気に高まります。すでに1月のチャレンジャー人員削減数が2009年以来の高水準を記録するなど悪化の予兆は出ており、修正内容に注目が集まります。
逆に上方修正なら、ウォーシュ新体制への「利下げは急がないのでは」という見方を補強することになります。さらに2日後には米CPIが控えており、雇用→物価の「ワンツーパンチ」で市場が大きく振れる展開が予想されます。
S&P500 売買戦略
来週は「データの発表待ち」の週です。指標発表前にポジションを大きく傾けるのではなく、米雇用統計の結果を見てから方向感を判断したいところです。
S&P500 テクニカル分析

トレンドライン分析:上昇トレンド崩壊
チャート形状は急速に悪化しました。これまで相場を支えてきた上昇チャンネルの下限ライン(オレンジ点線)を明確に割り込んでいます。
連続する陰線で直近安値を更新しており、これまで機能していたサポートラインは、今後は上値を抑える「レジスタンスライン」に変化する可能性があります。次の下値メドは昨年11月の安値圏(6,500付近)まで視野に入り、短期的なチャート形状は「調整局面入り」を示唆しています。
RSI(相対力指数):危険水準の「23」
RSIは「23」まで急低下しました。一般的に30以下は「売られすぎ」とされますが、ここまで低い数値は通常の調整ではなく、「強い売り」が発生していることを意味します。
統計的には自律反発(デッドキャット・バウンス)が起きやすい水準ですが、下落の勢いが強すぎるため、「安くなったから買う」のは「落ちるナイフをつかむ行為」です。RSIが再び30を上回り、底打ちを確認するまでは、テクニカル的には「売り優勢」と判断せざるを得ません。
今後のシナリオとターゲット
メインシナリオ:6,700〜7,000のレンジ
来週は経済指標の結果次第で上下に振れやすい展開が予想されます。米雇用統計が弱ければ利下げ期待から反発、強ければウォーシュFRB体制下での「高金利長期化」が意識されて下値を試す可能性があります。レンジとしては広めですが6,700〜7,000を想定します。
リスクシナリオ:6,600割れ
米雇用統計のベンチマーク改定で大幅な下方修正、米CPIの上振れという「悪いワンツーパンチ」が来た場合、スタグフレーション懸念から6,600を試す展開もあり得ます。
まとめ:「嵐の前」の準備期間
今週の下落は、先週までの「TACO(トランプは結局怖気づく)」ムードを一掃しました。ウォーシュ・ショックとBigTechの設備投資パニックで市場のセンチメントは一変しています。
ただし、中期的な強気材料は健在です。AI投資は拡大の一途をたどっています。ウォーシュ氏の指名もFRBの信認回復というポジティブな側面があります。
来週は米雇用統計と米CPIで「答え合わせ」が行われます。高いボラティリティが見込まれるため、データを確認しながらのトレード判断が賢明な局面です。
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