昨日の海外市場でドル円は、新規の取引材料を欠くなか、米長期金利の動向につれて上下した。米10年債利回りが一時4.28%台まで上昇したことに伴い、148.18円まで日通し高値を更新。その後に利回りが低下に転じると、147.29円の安値まで売りに押された。ユーロドルは一時1.1574ドルと6日以来の安値を更新。ただ、その後は1.1640ドル台まで下値を切り上げた。
本日の東京時間でのドル円は、引き続き需給面でのドル買い・円売りとファンダメンタルズ面でのドル売り・円買いの攻防か。昨年8月も最終週は、東京仲値の値決めの時間を中心に月末までは実需勢のドル買いが優勢となった。今年も最終週に入って以後、実需勢の買いでドル円は底堅さを維持していることを見ると、月末までは引き続き下値は支えられそうだ。
一方で、ドル売り・円買いを促すような材料は事欠かない。その中で、本日は山口県金融経済懇談会での中川審議委員の挨拶に注目。挨拶は10時30分から始まるが、通常は同時刻に日銀のホームページで挨拶の全文が公開される。4月に同審議委員は「経済や物価の見通しを実現していくとすれば、引き続き緩和度合いを調整していく」との発言をした。先週末のジャクソンホール会合で植田日銀総裁がタカ派発言をした後だけに、4月と同様の発言となった場合には、市場の利上げ観測がより高まることになるだろう。なお、昨日も本邦10年国債利回りが2008年以来の高水準を記録した。
米国からは本日、国内総生産(GDP)改定値や雇用指標、明日は個人消費支出(PCE)デフレーターなどが発表される。そのためNY市場では、経済指標の結果で左右される相場展開になるだろう。もっとも東京時間の午前は、引き続きトランプ米大統領をはじめとした米政権からの突発的な発言には、市場が急に動意づく可能性もあるため警戒が必要だ。
クック米連邦準備理事会(FRB)の解任に関しては、疑惑の段階で通知書を送る異常事態になっている。ベッセント米財務長官はこれまで、トランプ大統領の暴走を止めていたが、徐々に大統領の行動に歯止めが利かなくなってきた。再びトランプ大統領がサプライズコメントをSNSに投稿した場合は、ドル相場が大きく動くリスクはある。
本邦国内以外では、豪州から4-6月期民間設備投資が発表される。同指標は9月3日に発表予定の同期GDPの構成要素の一つ。ただし、今週に入り豪ドルは対ドルで僅か50pipsのレンジ内で上下しており、市場がどの程度動意づくことができるかは不透明だ。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
