31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、植田日銀総裁の利上げに慎重なスタンス、6月米コアPCEデフレーターが前年比で予想を上回ったことなどで150.84円まで上昇した。ユーロドルは、米利下げ観測の後退や米経済指標の上振れを受けて1.1406ドル付近まで値を下げた後、月末のロンドンフィキシングに絡んだユーロ買いで下げ渋る展開となった。ユーロ円は172.34円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米7月雇用統計への警戒感から上値が重い展開が予想される。
ドル円は、パウエルFRB議長の利下げに慎重なスタンス、植田日銀総裁の利上げに慎重なスタンスを受けて、攻防の分岐点であった200日移動平均線を上抜けて150円台後半まで上昇している。昨年の7月末にパウエルFRB議長のハト派的な見解と植田日銀総裁のタカ派的な見解でドル売り・円買いに拍車がかかると、150円を割り込んで翌月に141.70円まで下落していた。そして過去最大規模に膨らんでいたIMMシカゴ筋の円のネット売りポジションは、ネット買いポジションに転換した。
今後の懸念材料としては、赤沢経済再生相との日米関税合意の席で、円安に懸念を表明していたトランプ米大統領による円安牽制発言となる。円安の要因を日銀の低金利だと指摘しているベッセント米財務長官は、日米関税合意について、「トランプ大統領が日本の実行状況に不満であれば、関税率は自動車も含めて25%に逆戻りする」と述べており、円安の進行により対日関税が15%から25%に引き上げられる可能性には警戒しておきたい。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、1993年12月以来となる2名のFRB理事の反対票が投じられての金融政策の据え置きが決定された。1993年12月のFOMCでは、グリーンスパン第13代FRB議長らの多数派による政策金利3.0%での据え置きが決定されたが、その後の展開は、6.0%までの利上げを余儀なくされたため、利上げを主張した2名(エンジェルFRB理事とリンゼーFRB理事)が正しかった。
今回利下げを主張したウォラーFRB理事やボウマンFRB副議長は、労働市場への懸念を理由にしており、今夜の米7月雇用統計への注目度合いが高まっている。米7月雇用統計の予想は、失業率が4.2%で6月の4.1%から上昇、非農業部門雇用者数は前月比+10.4万人で、6月の同比+14.7万人からの増加幅の減少が見込まれている。
予想通りに米国の雇用情勢の悪化が確認された場合、2名の反対者の懸念が正しかったことになり、トランプ米大統領が次期FRB議長を早期に選任する動機を強めることになる。現時点で次期FRB議長の候補に挙がり受諾することを表明しているウォラーFRB理事とウォーシュ元FRB理事は、利下げを主張している。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
