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「トランプ関税とトリプル安の衝撃!ドル円は底打ち感」和田仁志氏による5月のドル円分析(2025/4/30) FX/為替 #外為ドキッ

 

トランプ関税とトリプル安の衝撃!

動画配信期間:2025/4/30~

動画の概要(5/2更新 セミナー内容のダイジェスト記事を追加)

## はじめに

本セミナーでは、近況の金融市場の動向、特にトランプ関税発表後のマーケットの荒れ模様と今後の展望について解説がなされました。前回2月のセミナー以降、市場は大きく変動しており、特に4月に入ってからの大きな動きが注目されています。

## マーケット情報源の重要性

セミナーでは、市場参加者が常にチェックすべき情報源として、特に注目すべきは、トランプ大統領の独自SNS「Truth Social」です。トランプ大統領は毎日このプラットフォームで発言しており、相互関税の一時停止やパウエルFRB議長の再任に関する話など、市場を動かす重要な情報が最初に発信されることが多いとのことです。登録すれば誰でも閲覧可能で、トランプ大統領をフォローするだけで最新情報を入手できるため、市場参加者にとって必須のツールとなっています。

## 米金融政策の現状と市場の認識のズレ

3月に行われたFOMCでは、経済金利見通しが大きく変化しました。12月時点では、FOMCメンバー19人のうち多くが年内に3回以上の利下げを予想していましたが、3月には大幅に「押し上げ」られ、年内の利下げ回数は2回という予想が中央値となりました。さらに注目すべきは、年内0回または1回の利下げを予想するメンバーが計8人にも達したことです。

しかし、市場の織り込みはこれと大きく異なります。CMEのFedWatchによれば、市場は依然として年内4回の利下げを織り込んでいます。5月のFOMCでは92.3%の確率で据え置きが予想されていますが、6月には60-65%の確率で利下げが織り込まれ、その後7月、9月、12月と続き、計4回の利下げが期待されています。

この市場とFRBの認識のズレは今後の市場変動の要因となる可能性があります。

## アメリカ当局の視線:不確実性への懸念

FOMCの議事録やパウエル議長の発言からは、政府の政策、特にトランプ関税がもたらす不確実性への懸念が強く読み取れます。パウエル議長は「新たな政策とその影響に関する不確実性が高い」と述べ、インフレが関税によって影響を受ける可能性を指摘しています。中国に対する145%という高関税が実施された場合、事実上中国からの輸入が停止することになり、その経済的影響は計り知れません。

こうした不確実性の高まりから、FRBは政策スタンスの調整を急ぐ必要がないと判断し、明確な情報が得られるまで様子見の姿勢を示しています。メアリー・デイリーサンフランシスコ連銀総裁やクリストファー・ウォラーFRB理事も同様の見解を示しており、関税の経済的影響が予想よりも大きい可能性やインフレへの影響が長期化する可能性を指摘しています。

## トリプルアスの衝撃:市場の混乱

4月に入り、トランプ大統領が発表した「相互関税」によって市場は大きく混乱しました。相互関税は、対象国との貿易赤字を輸入額で割り、その半分を関税率とするという計算式に基づいています。この計算式はノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンも「狂っている」と評するもので、実質的に貿易赤字を関税で全て埋め合わせるという前提に立っています。

この発表を受け、市場は通常のリスクオフ状態(株安・円高・債券高)を通り越して「トリプル安」(ドル安・債券安・株安)という危機的状況に陥りました。特に4月4日から9日にかけて、米10年債利回りは3.85%から急上昇し、市場は金融危機一歩手前の状態に達しました。

この危機的状況を受け、ベッセント財務長官がトランプ大統領を説得し、4月9日に90日間の関税一時停止が発表されましたが、市場の混乱は収まらず、4月11日には債券利回りが4.58%まで上昇しました。最終的に、ベッセント財務長官とコリンズ・ボストン連銀総裁が市場安定化への強い決意を示したことで、ようやく市場は落ち着きを取り戻し始めました。

その後、トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任する可能性を匂わせる発言をしたことで再び「トリプル安」状態になりましたが、トランプ大統領自身が解任の意図はないと発言したことで、再び市場は落ち着きを取り戻しつつあります。

## 債券市場の混乱と危機感

債券市場では、特に2年債と10年債の利回りスプレッドが大きく変動しました。通常、リスクオフ時には全体的に債券が買われて利回りが低下しますが、パウエル議長解任の噂が出た際には、2年債は買われて利回りが低下した一方、10年債は売られて利回りが急上昇するという異常な動きが見られました。

債券市場は金融市場の根幹をなすものであり、その混乱は金融危機に直結する恐れがあります。ベッセント財務長官が積極的に介入したのも、アメリカの基軸通貨としての地位を守るためであり、トランプ大統領のドル高批判発言にもかかわらず、強いドル政策はアメリカにとって普遍的な価値を持つものです。

## 為替市場の状況:ポジション偏りとドル円の展望

為替市場では、3月4日以降、市場当局筋のドル円ショートポジション(円ロングポジション)が大幅に増加し、4月22日時点で17万7,814枚という高水準に達しています。通常、ドル円ショートはスワップポイントを払い続けるためコストがかかり、長期間保有されることは少ないのですが、現在は例外的な状況が続いています。

ドル円相場は1月に158.87円から3月11日には146.54円まで下落し、その後一時151.21円まで戻しましたが、4月のトランプ関税発表後に再び急落し、4月22日には139.89円の安値をつけました。しかし、最近では一目均衡表の転換線(141.96円)を上回り、買い戻しの動きが見られ始めています。

長期チャートを見ると、2023年12月28日の140.25円、2024年9月16日の139.58円、そして2024年4月22日の139.89円と、三重底のような形成が見られており、この水準で下げ止まった可能性が高いとされています。上値は基準線の145.55円、50日移動平均線の147.04円、そして3月11日の146.54円あたりが意識されるでしょう。

一方、ユーロドルは上昇トレンドにあり、トランプ関税の影響でドルからユーロに資金が移っている状況です。4月22日には1.1573ドルの高値をつけた後、調整局面に入っていますが、1.12ドル台で下げ止まる可能性が高いとされています。

## 日米財務相会談と為替介入の真実

日米財務相会談を前に、市場では円高誘導や為替目標設定に関する噂が広まりましたが、ベッセント財務長官は会談の前日に「為替目標を要求するようなことは考えていない」と明言しました。

実際、G7やG20の合意事項では「為替レートは市場において決定される」「競争力のために為替レートを目標にしない」「競争的な切り下げを回避する」ことが明記されており、こうした国際的合意に反するような為替介入や目標設定が行われる可能性は低いのです。

## 今後の展望

市場はすでに最悪の状況(中国への145%関税による実質的輸入停止)を織り込んでおり、これ以上悪化する余地は限られています。各国はトランプ政権とのディール締結に向けて動いており、日本も参議院選挙前の決着を目指しています。

日経平均株価が33,000円で底打ちし、ドル円も一目均衡表の転換線を上回ったことから、買い戻しの流れが強まる可能性があります。また、長期的には自動車関税が25%に引き上げられると、日本車の販売減少により貿易赤字構造が強まり、結果的にはドル円の上昇要因になるとの見方も示されました。

最後に、日銀の金融政策決定会合では現状維持が予想されますが、各国の金融政策の動向を慎重に見極めていく必要があります。

## まとめ

4月のトランプ関税発表は金融市場に前例のない混乱をもたらし、「トリプル安」という危機的状況を引き起こしました。しかし、ベッセント財務長官の「介入」や90日間の関税一時停止などにより、市場は最悪の状況から脱しつつあります。FRBと市場の間には利下げ回数に関する認識のズレがあり、今後の政策決定に注目が集まります。為替市場ではドル円のポジション偏りが顕著ですが、139円台での下げ止まりと買い戻しの動きが見られ始めています。今後はトランプ関税問題の進展と各国の金融政策が市場の方向性を決める重要な要因となるでしょう。

セミナー概要

元外銀ディーラーで現在はマーケットについて幅広い投資情報を発信する和田仁志氏による為替相場の解説セミナーです。今、注目したい通貨ペアの動向や今後の展望とは!?マーケットの最新情報などに基づき、徹底解説します!

 
f:id:gaitamesk:20190904150909j:plain和田仁志 氏
1968年長野県生まれ。立命館大学卒業後、米シティバンク・英スタンダードチャータード銀行で十数年間に渡りインターバンクディーラーとして一線で活躍。その後は、証券会社などで外国為替証拠金業務を立ち上げるなど、当業界にも精通している。2006年8月からはニューヨークからホットな金融情報を提供する。グローバルインフォ代表取締役社長を経て、2017年8月よりDZHフィナンシャルリサーチ常務執行役員に就任。
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