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ドル/円の4月見通し「関心は関税から米経済へ」

House View

これまで、マネ育チャンネル内で提供してきました、【外為どっとコム総研 House View】のユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円の見通しレポートは、今後マーケットアプリ「Market NEXT」で提供することとなりました。
なお、本レポートは外為どっとコムの会員様限定で閲覧いただけます。 Market NEXTの詳細はこちらからご確認ください。

ドル/円の4月見通し 「関心は関税から米経済へ」

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

 

ドル/円 の基調と予想レンジ

基調
方向感模索

予想レンジ
146.500-152.500円

ドル/円3月の推移

3月のドル/円相場は146.545~151.302円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.4%下落した(ドル安・円高)。当初はトランプ米大統領が推進する関税政策については、米国のインフレを再燃させるため米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが鈍るとの観測に基づいてドル高要因になるとの見方が多かった。ただ、前月2月中旬頃からは、関税によって米国のインフレが再燃する一方で、個人消費が減速することで景気後退に繋がるとしてドル売り材料視されるようになった。こうした米景気不安に加え、日銀の利上げ期待を背景とする円買いも相まって11日には約5カ月ぶりに146.55円前後までドル安・円高が進んだ。その後、米関税は当初の想定ほど厳しいものにはならないとの見方や、ウクライナ戦争が停戦に向かうとの期待が円買いの巻き戻しを誘い、151円台前半まで持ち直したが、3日に付けた月初来高値の151.30円前後は超えられなかった。トランプ関税の影響で米経済がスタグフレーションに陥るとの見方がくすぶる中でドルの戻りは限られ、149.96円前後で3月の取引を終えた。

ドル/円 日足チャート

ドル/円3月の四本値

始値 150.629 高値 151.302 安値 146.545 終値 149.964

3日
米2月ISM製造業景況指数は50.3と市場予想(50.7)以上に前回(50.9)から低下した。構成項目では新規受注(48.6)や雇用(47.6)が低下した一方で、仕入れ価格(62.4)は2022年6月以来の水準に急上昇した。トランプ米大統領は、日本と中国が通貨安政策を採るなら「米国は不利な立場に置かれる」とした上で「関税をやや引き上げなければならなくなるだろう」と述べた。

6日
日本の労働団体である連合は、2025年の春闘における労働組合の賃上げ要求の平均が+6.09%になったと発表。要求が6%を超えるのは32年ぶりとのこと。これを受けて日銀の利上げ観測が強まると円が全面的に上昇した。なお、トランプ米大統領は、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した全製品に対する関税を4月2日まで猶予すると発表。前々日4日に発動したばかりのメキシコとカナダに対する関税措置を緩和した。

7日
米2月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比15.1万人増と市場予想(16.0万人増)に届かなかった。失業率は4.1%と前月(+4.0%)から上昇。市場予想も4.0%だった。また、平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.0%(予想+0.3%、+4.1%)だった。パウエルFRB議長はこの日、「米経済は良好な状態にある」との認識を示した上で利下げを急がない姿勢を強調。「私たちは急ぐ必要はなく、より明確になるまで待つことができる、よい状況下にいる」と述べた。

11日
米1月JOLTS求人件数は774.0万件と市場予想の760.0万件を上回り、前月(750.8万件)から増加。1月の解雇は163.5万人と前月から3.4万人減少した。なお、ウクライナはこの日、米国が提示した30日間のロシアとの停戦案を受け入れる用意があると発表した。

12日
トランプ米政権は全ての国から輸入される鉄鋼とアルミニウム製品に対して25%の関税を発動。その後、欧州連合(EU)は対抗策として260億ユーロ相当の米国からの輸入品に来月から関税を課すと発表。カナダも298億カナダドル相当の米国製品に25%の関税を13日の米東部時間0時1分(日本時間13日13時1分)に発動すると発表した。米2月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.8%と市場予想(+2.9%)以上に前回(+3.0%)から減速。前月比も+0.2%と市場予想(+0.3%)を下回った。また、エネルギーや食品を除いたコアCPIも前年比+3.1%、前月比+0.2%と市場予想(+3.2%、+0.3%)を下回った。

14日
米3月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は57.9と市場予想(63.0)を大幅に下回り、2022年11月以来の水準に低下した。一方、消費者の期待インフレ率は1年先が4.9%、5-10年先は3.9%にそれぞれ上昇。5-10年先の期待インフレ率は1993年以来の高水準に達した。

17日
米2月小売売上高は前月比+0.2%と市場予想(+0.6%)を下回った。自動車を除いた売上高は前月比+0.3%で予想と一致。国内総生産(GDP)の算出に用いられるコア売上高は+1.0%と市場予想(+0.4%)を上回った。

19日
日銀は市場予想通りに政策金利を0.50%に据え置いた。声明では「景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復」としつつも「経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い」との認識を示した。植田総裁はその後の会見で「経済・物価見通しが実現すれば、引き続き金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」としつつも、「海外発の不確実性が急速に高まっている」として「次回利上げのタイミングは、今後のデータ・情報次第」との見解を繰り返し表明した。FOMCも市場予想通りに政策金利を4.25%-4.50%に据え置いた。声明では「経済見通しを巡る不確実性は高まっている」とし、「委員会は2つの使命の『両面に対するリスク』を注視している」と表明。また、「4月以降、米国債の毎月の償還上限を250億ドルから50億ドルへ引き下げる」として、バランスシートの圧縮(ランオフ)ペース減速を発表した。パウエルFRB議長は「経済が好調を維持すれば、政策抑制をより長期間維持できる」として利下げに慎重な姿勢を示した。

24日
米3月PMI・速報値は製造業が49.8と市場予想(51.7)を下回り、2カ月ぶりに好不況の分岐点となる50.0を割り込んだ。一方でサービス業は54.3と予想(51.0)を上回り、3カ月ぶりに上昇した。米国内の広い範囲で天候が回復したことがサービス業の改善につながったと見られる。

27日
トランプ米大統領は、米国外で生産されるすべての輸入自動車に対して25%の関税を賦課すると発表。ボストン連銀のコリンズ総裁は「関税政策が少なくとも短期的にインフレを押し上げることは不可避」とした上で、「金利を長期的に据え置くことが適切になる公算が大きい」との見解を示した。

28日
米2月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+2.5%と予想通りに前月と同率の伸びとなった一方、食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+2.8%と予想および前月(+2.7%)を上回り伸びが加速した。米3月ミシガン大消費者信頼感指数・確定値は57.0と速報値の57.9から下方修正され、2022年11月以来の水準に低下した。他方、消費者の1年先期待インフレ率は4.9%から5.0%に上方修正。5-10年の期待インフレ率も3.9%から4.1%に上方修正された。市場は、不況下で物価が上昇する「スタグフレーション」への懸念を強めた。

各市場3月の推移


※Bloombergのデータを基に作成

4月の日・米注目イベント

ドル/円の4月見通し

米政権が相手国と同等の関税を輸入品に賦課する「相互関税」と、自動車などの輸入に一律25%の関税を課す「自動車関税」が4月2日と3日にそれぞれ発効する予定だ。日本(円)にとってより影響が大きいのは「自動車関税」だろう。予定通り発効すれば、日本から米国への自動車輸出には合計27.5%、トラックには合計50%の関税が賦課されることになる。2024年の対米自動車輸出額は6兆円あまりと大きく、周辺産業への影響も加味すると日本の国内総生産(GDP)を0.2%ポイント程度押し下げるとの試算もある。発効した場合のドル/円相場への影響については、足元の地合いを踏まえると日本の輸出減少の思惑による円売りよりも、関税が消費減速を招き景気減速につながるとの観測によるドル売りのほうが市場反応として強く出る可能性がある。日本株が想定以上に下落するようなら、円売りではなくむしろ円買い材料にもなり得るだろう。なお、報道によれば日本政府は「自動車関税」の適用除外を求めて交渉を続けている模様だが、そのハードルは高いとのことだ。もっとも、それだけに足元のドル/円相場は「自動車関税」の賦課をある程度織り込み済みとも言えるだろう。「自動車関税」に追加的なサプライズがなければ目先的に3月安値の146.50円台を割り込む公算は小さいと見ており、市場の関心は4日の米3月雇用統計や10日の米3月消費者物価指数(CPI)、16日の米3月小売売上高などで示される米国の景気と物価に向かうだろう。30日には米1-3月期国内総生産(GDP)・速報値と米3月個人消費物価指数(PCEデフレーター)の発表も予定されている。仮に、景気悪化と物価上昇が共存する「スタグフレーション」への懸念が強まれば、月内に146.50円台を割り込む可能性が高まる反面、そうした懸念が後退するようなら3月高値151.21円前後の上抜けもあり得るだろう。4月のドル/円相場は、徐々にトランプ関税の影響が弱まることで、米国経済の動向が焦点になると見ている。

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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