◆豪ドル、「トランプ・トレード」の影響でさえない動きが続く
◆NZドル、PPIはRBNZの大幅利下げをサポートする内容となるかを見極め
◆ZAR、SARBの金融政策に注目
予想レンジ
豪ドル円 98.00-103.00円
南ア・ランド円 8.25-8.65円
11月18日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。豪準備銀行(RBA)のブロック総裁は今週、「金利は十分に制限的な水準にあり、インフレに確信が持てるまでその水準を維持する」との見解を示した。RBAは5-6日に開催された理事会の声明文でも「基調インフレは依然として高すぎる」などと言及。タカ派的な見解を維持した。市場ではRBAが金融緩和に転じるのは早くても来年前半との見方が中心のようだが、19日に公表されるRBA理事会の議事要旨でも中銀の姿勢を改めて確認しておきたい。
もっとも、足もとの為替市場では「トランプ・トレード」によるドル買いが強まっており、豪ドルも対ドルでは売りに押される場面が目立った。豪ドル円はドル円の上昇分によってある程度相殺されたため下値も限られているが、政府・日銀が前回(7月11-12日)為替介入を実施した際の水準も徐々に近づきつつあることは頭に入れておくべきだろう。介入への警戒感がドル円の上値を抑制することになれば、自然と豪ドル円の下値リスクも高まるため、注意が必要となりそうだ。
隣国のニュージーランド(NZ)では18日に7-9月期卸売物価指数(PPI)の発表が予定されている。翌週の27日には年内最後のNZ準備銀行(RBNZ)金融政策決定会合が控えているが、次回会合が2025年2月19日と3カ月近く期間が空くことから、市場では連続での50bp利下げや75bpの大幅利下げを予想する声もある。7-9月期PPIがRBNZの利下げをサポートする内容となるか注目される。
南アフリカ・ランド(ZAR)は弱含む展開が予想される。来週は20日に10月消費者物価指数(CPI)や9月小売売上高、21日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策公表が予定されており、市場の注目を集めるだろう。前回の金融政策決定委員会(MPC)で約4年ぶりの利下げに踏み切ったSARBだが、市場では今回も25bpの連続利下げを実施するとの見方が優勢だ。
SARBの利下げは南ア経済を下支えするとの見方もある一方、足もとで「トランプ・トレード」によるドル買いが進むなか、対ドルでのZAR売りを一段と促すことも考えられる。ドル円の状況次第ではZAR円にも売り圧力が強まる可能性があり、警戒しておきたい。
11月11日週の回顧
豪ドルは対ドルで軟調に推移。0.65ドルを割り込んで8月5日以来の安値を更新した。対円では比較的狭い値幅内でのもみ合いとなったが、やや上値の重さが目立った。
ZARも対ドルでは売り優勢。連日でドル買い・ZAR売りが進み、週初の17.56ZAR台から18.39ZAR台まで大きくZAR安が進んだ。ZAR円も対ドルでのZAR安の影響から8.48円まで下押すなど軟調に推移した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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