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【見通し】週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英インフレ指標に注目

◆ポンド、10月CPIに注目
◆ポンド、英労働党政権と米次期政権との関係性も注視
◆加ドル、10月CPIで中銀の抑制レンジの下限に迫るかを見極め

予想レンジ
ポンド円 195.50-201.50円 
加ドル円 109.50-113.50円 

11月18日週の展望
 ポンドは、英国で賃金の減速傾向が確認された後でもあり、10月消費者物価指数(CPI)の結果が注目される。9月CPIは前年比1.7%上昇と、前回から鈍化を織り込んでいた市場予想から更に下振れて2021年4月以来の低水準を記録した。12日発表の7-9月期・賃金上昇率(除くボーナス)は、前年比4.8%と約2年ぶりの低い伸び率だった。今のところ、次回12月にイングランド銀行(英中銀、BOE)が開く金融政策委員会(MPC)について、市場は政策金利の据え置きを見込んでいるが、10月CPIが英中銀のインフレ目標値2%を下回った水準で伸び悩むようであれば、金利先安観の強まりは避けられないだろう。そうなると、次のMPC投票前に11月CPIが発表されるものの、ポンドの上値は抑制されそうだ。ただ、英中銀チーフエコノミストでもあるピルMPC委員が「基調的なインフレ圧力は残っている」と指摘していることは気にかけておく必要がある。同委員は賃金上昇率についても、依然として高すぎるとの見解を示している。

 また、米国でトランプ次期政権の陣営が明らかになりつつあるなか、今後の英米関係の行方にも目を向けておきたい。トランプ次期米大統領が掲げた移民政策などがスターマー英首相率いる労働党の政策と大きな隔たりがあるため、労働党は米民主党とより近い関係にあった。今後はスターマー首相がトランプ氏と関係構築をどのように図るかが重要となってくる。

 加ドルは10月カナダCPIが材料視されるだろう。前回9月分は、前年比が1.6%まで鈍化した。2021年2月以来の低い伸び率を記録したことで、その後の金融政策決定会合でカナダ中銀は0.50%の利下げを決定。カナダCPIは、中銀が1-3%に設定しているインフレ抑制レンジの下限に近付いている。今回発表されるCPIは、12月の中銀会合を前にした最後のインフレ指標。短期金融市場では0.25%の追加利下げを完全に織り込み済みだが、結果次第では2会合連続の0.50%引き下げに対する思惑が高まるかもしれない。もちろん、ヘッドラインインフレだけに目を向けるのではなく、政策決定で中銀が重視するCPI中央値やトリム値(9月・前年比、それぞれ2.3%と2.4%で前回から横ばい)も注視する必要がある。

 なおトランプ米次期大統領が声高に叫ぶ関税引き上げについて、カナダ産石油・天然ガスの分野には例外が設けられるとの見方が浮上。加ドルにとってはポジティブ材料となりそうだ。

11月11日週の回顧
 ポンドは対円で買い先行も198円半ばを上値に197円割れまで失速。英賃金の上昇率が減速したことや失業率(ILO方式)悪化を受けて下落圧力が強まった。対ドルでは1.29ドル前半から1.26ドル前半まで下げ幅を広げた。英雇用データを背景としたポンド売りだけでなく、トランプ・トレードでドル全面高となった流れに押された。加ドルは対円では109円後半から111円半ばまで上昇。トランプ・トレードで対ドルでは1.4070加ドル台まで加ドル売り・ドル買いが進んだものの、堅調なドル円が加ドル円の支えとなった。(了)


・提供 DZHフィナンシャルリサーチ