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10月4日の米国雇用統計の予想と戦略「ドル円150円到達には距離、議長の0.25%利下げ見通し補強?」2024年10月号-By 外為どっとコム総研

米雇用統計!直前予想&トレード戦略(2024年10月4日(金) 12:00~13:00)

雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年10月4日(金) 21:00~23:00)

 

更新日時:2024年10月7日 12時20分(データを更新)

執筆日時:2024年10月3日 13時05分 

執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

10月4日の米国雇用統計の予想と戦略「ドル円150円到達には距離、議長の0.25%利下げ見通し補強?」2024年10月号-By 外為どっとコム総研

はじめに-米パウエル氏、0.25%×2回をご所望

2024年10月4日(金)、日本時間21時30分に米国で9月分の雇用統計が発表されます。パウエル議長は9月30日に「今年はさらに2回の利下げが行われ、合計で0.5%になる」と述べ、自身が11月に0.25%利下げをベースラインに据えていることを明らかにしました。もっとも、同氏は「経済が予想通りに進展すれば」と前置きしていることもあり、今後のファンダメンタルズ次第では利下げ幅拡大にも含みを残しています。今回の雇用統計が議長の見通しを正当化する材料となるのか注目されます。では振り返りからです。

前回のおさらい-米利下げ織り込み拡大も、評価は色々

・雇用情勢は鈍化
・評価はまちまち

9月6日に発表された、8月の米国非農業部門雇用者数(NFP)は予想の16.0万人増を下回る14.2万人増となりました。また、7月分は11.4万人増から8.9万人増へ下方修正されました。その他、失業率は4.2%で横ばい、時間給は前月比で0.2%の伸びから0.4%へ伸びが加速しました。 分野別では、小売業が3カ月連続でマイナスとなったほか、ヘルスケア分野の伸び鈍化も目立ちました。これにより、米労働市場が緩やかに冷え込んでいる様子が確認され利下げ織り込みが拡大しましたが、金融機関の評価は「市場予想を下回ったが過度に弱いわけでもない」、「雇用者数増減は下振れたものの、労働所得が改善した」など強弱まちまちの内容と言った声が多く聞かれました。

 

図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:データ米国労働省
NFP表

指標発表後、144.054円まで急騰した米ドル/円は雇用者数の悪化を確認して141.988円まで低下。その後、143.90円付近まで買い戻されたものの、144円の大台乗せに失敗して141.757円まで下げ幅を広げるなど、荒い展開になりました。また株式市場は、労働市場の鈍化観測から米景気減速が意識され軟調な展開に。ダウ平均株価は前日比410.34ドル安い40345.41ドルで引けました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY30分足チャート
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

今回の見どころ-過度な一喜一憂は禁物

・減速傾向は継続
・高頻度データでは減速ペース一服も
・11月FOMCでの0.25%利下げが現時点でのメインシナリオになるか

ここ半年のNFPの3カ月平均を見ると、直近では11.6万人と、今年初めの24.3万人から大きく低下しています。安定した雇用の伸びと見られる毎月10万~15万人は維持しているものの、下限付近まで低下してきています。また、コンファレンスボードが公表する労働市場指数も109.04(1月は113.71)まで低下しているほか、NFPも今年に入って下方修正が相次ぎ、初回発表値からトータルで23.3万人減少するなど、雇用創出のペース鈍化が意識されています。また、先行きを不安視して離職する人が減少傾向にあり、新たな採用数が増加しづらいことも労働市場に対して気掛かりなところです。

図表3.雇用関連指標の推移

データ表

出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
NFPについては単位は千人

一方で、足許の高頻度データである新規失業保険申請件数、失業保険継続受給者数 、Indeed Job Posting Indexは改善ないし横ばい気味となっており、これらの指標からは少なくとも労働市場の減速ペースが速まっている様子は窺えません。雇用減速のスピード調整的な部分があっても不思議ではないと考えます。雇用者数は前月と同程度の伸びに留まりそうですが、個人的には予想比で少し強気に考えています。こうした点では、パウエル議長が見通す年内2回(1回0.25%)利下げを後押しする材料になるのではないでしょうか。

また、失業率も労働市場の鈍化の一服感から、悪化が抑制された状態になるのではないかと考えます。結果的には、11月の0.5%利下げ期待は一度後退して、ドルには短期的にもう一段の買い戻しが入るのではないかと期待しています。ただ、11月のFOMC(11月6~7日)までには今回を含めて2回の雇用統計の発表があるほか、11月5日には米大統領選挙も実施されます。また、米国の利下げの継続性などを考えれば、積極的に米ドルを買い進めづらいこともあり、米ドル/円が150円には距離があるのではないかと考えています。

図表4.米Indeed Job Posting Indexと失業保険申請件数

データ表

出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成
左-Indeed Job Posting Index、右-失業保険継続受給者数と新規失業保険申請件数(単位は千)

 

図表5.ドル円チャート
USDJPY日足チャート
米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

付随データ

図表7.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2024年09 14.0 25.4 4.2 4.1
2024年08月 16.0 14.2 4.2 4.2
2024年07月 17.5 11.4 4.1 4.3
2024年06月 19.0 20.6 4.0 4.1
2024年05月 18.5 27.2 3.9 4.0
2024年04月 24.3 17.5 3.8 3.9

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2024年09月 0.3 0.4 62.7
2024年08月 0.3 0.4 62.7
2024年07月 0.3 0.2 62.7
2024年06月 0.3 0.3 62.6
2024年05月 0.3 0.4 62.5
2024年04月 0.3 0.2 62.7

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2024年09 43.9 48.1
2024年08 46.0 50.2
2024年07月 43.4 51.1
2024年06月 49.3 46.1
2024年05月 51.1 47.1
2024年04月 48.6 45.9

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

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