1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、石破首相発言「デフレ脱却の実現に向けて金融緩和の基本的な基調は維持されるべき」で144.07円付近まで強含んだ後、イランによるイスラエルへのミサイル攻撃を受けて142.98円まで下落した。ユーロドルは中東情勢の緊迫化を背景にリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが強まり、1.1046ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東の地政学リスクや米副大統領候補テレビ討論会を注視しながら、15時30分からの植田日銀総裁の発言を待つ展開となる。
イランがイスラエルにミサイル攻撃を断行したことで、イスラエルによる反撃などの関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
10月27日に衆議院解散・総選挙の投開票が行われるが、その後の30-31日に日銀金融政策決定会合が開催される。
植田日銀総裁が、従来の「経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば、引き続き金利を上げていく」というタカ派的なスタンスに軸足を置くのか、それとも、「利上げの検討にあたってはアメリカ経済や不安定になっている金融市場の動向を慎重に見極めていく」というややハト派的なスタンスに軸足を置くのか、注目しておきたい。
石破総理は、7月の日銀の利上げについて「金融緩和という基本的政策を変えないなかで徐々に金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と利上げを容認しつつも、「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない。緩和的な金融政策の方針は変わらない」とも述べていた。
9月29日の自民党総裁に就任後は、日銀が政策金利を早期に引き上げることに慎重な考えを示しており、10月1日の総理就任後は「金融緩和の基本的な姿勢は維持される。日銀との意思疎通の上、手法は日銀にゆだねられるべき」と述べている。
ドル円は、9月27日午後の高市ショックで146.49円まで上昇したものの、30日には石破ショックで141.65円まで反落した後、中心値の転換線144.07円付近に収束して、「政治相場」から米雇用統計などの「経済相場」に移行しつつある。
9月調査の日銀短観では、事業計画の前提となるドル円の2024年度の想定為替レートは、全規模・全産業では145.15円、大規模・製造業では144.96円となっており、145円付近ではドル売り圧力が強まることに警戒しておきたい。
11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅(0.25%か0.50%)に大きな影響を与える米9月雇用統計(予想:非農業部門雇用者数+15.0万人、失業率4.2%)の発表を週末4日に控えて、昨日発表された米9月ISM製造業「雇用」指数は43.9と、8月の46.0から悪化していた。9月シカゴ購買部協会「雇用」指数は5ポイント改善しており、今夜は、9月ADP全米雇用報告に注目することになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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