総括
FX「2年連続最強通貨か。コロナ禍、ウクライナ紛争でメキシコ重視」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.1-8.6
(ポイント)今年、最終号です。2024年は1月12日スタートです。
*2年連続最強通貨か。コロナ禍、ウクライナ紛争で堅調
*ただ12月は季節的な円高でペソは弱含む、ファンダメンタルズは依然良好
*2024年1Qに利下げを検討する可能性、ロドリゲス中銀総裁
*中銀ヒース理事、来年2月か3月までに金利を「調整」する可能性示唆
*FRBの金融政策のフォワードガイダンスとほぼ同じ
*メキシコの懸念は財政赤字
*マヤ鉄道の開業は財政負担となるか
*郷里送金42カ月連続増加
*対ドル1.6台突入はペソ高懸念にも注意
*大統領は「スーパーペソ」の復活を歓迎
*メキシコ大統領選挙は2024年6月
*ニアショアリングは強化
*ペソ高が輸出に悪影響を与えるという懸念なし、財務副大臣
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(2年連続最強通貨か。12月は季節的な円高でペソは弱含む)
2年連続最強通貨か。コロナ禍、ウクライナ紛争で米国のニアショアリング政策がメキシコ経済を支え、ペソ、株価を上昇させた。
ただ12月は節的な円高でペソは弱含む。対ドルでは1ドル17ペソ前半で強含み推移しており、そこからもメキシコのファンダメンタルズの強さには変化がないことが伺える。
メキシコ・ボルサ株価指数は11月から強く年初来18.62%高。10年国債は9.43%で安定推移している。
(経済指標)
*12月中旬インフレ率は前年比4.46%(前回は4.32%)、コアインフレ率は5.19%(前回は5.31%)、(11月のインフレ率は前年同月比4.32%と、10カ月ぶりに上昇。中銀目標の3%を挟んでプラスマイナス1%ポイントの上限を依然上回っている)
*10月小売売上高は前年比3.4%増(前回は2.3%増)。
明日は11月貿易収支と10月経済活動指数の発表がある
(2024年1Qに利下げを検討する可能性、ロドリゲス中銀総裁)
ロドリゲス中銀総裁は、2024年1Qに利下げを検討する可能性があると述べた。「インフレは大きく鈍化したが、慎重を期す必要がある。金利を下降調整する際は緩やかなものになるとみている」と述べた。
(早期の利下げは利下げサイクルの始まりではなく「若干の調整」とみるべき)
中銀は、先週の金融政策決定会合で24年2Qから年末までのインフレ予想を若干引き上げたが、インフレ率が25年2Qには目標水準に近づくとの予想は維持した。総裁はインフレ予想を引き上げたが「トレンドが変わるとはみていない」と述べた。中銀ヒース理事もインフレ率の低下が続けば2024年2月か3月までに金利を「調整」する可能性があると述べ、コア物価の下落がインフレ目標達成には特に鍵となると付け加えた。中銀は引き締め的な金融政策スタンスを長期間維持する意向であり、早期の利下げは利下げサイクルの始まりではなく「若干の調整」とみるべきだと述べた。利下げは1回か2回行われる可能性があるが、「非常に段階的に」かつ「細心の注意を払いながら」行われるとした。
(FRBの金融政策は)
一方、FRBは政策金利を据え置いたものの、新たな金利・経済見通しで引き締め政策の終了と来年の利下げを示唆した。慎重な緩和姿勢は米墨変わらないようだ。米墨金融政策の差異ではペソは大きく動かないだろう。
メキシコ中銀の調査では、市場は2023年のGDP成長率が前回調査同様3.37%%になると予想、2024年は前回の2.188%から2.29%に増加すると予想している。
(メキシコの懸念は財政赤字)
メキシコの懸念は財政赤字。その中で大統領選へのキャンペーンが始まった。与党・国家再生運動(MORENA)から出馬するシェインバウム前メキシコシティ市長が現政権が大きく拡充した低所得者向け政策の継承を押し出す。また空港や鉄道など公共インフラの建設に積極的だ。ただ2024年並みの財政赤字が2025年にも再び示されれば、メキシコは投資適格を剥奪されるだろうと警告されている。
テクニカル分析
ボリバン2σ下限から反発も中位で抵抗される
日足、ボリバン2σ下限から反発も中位で抵抗される。雲下。12月15日-18日の上昇ラインがサポート。12月20日-21日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、3週連続陰線、今週はここまで陽線。12月4日週-11日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-12月4日週の下降ラインを上抜く。11月27日週-12月18週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向く。
月足、7月から山なり状態。11月の長い上ヒゲが12月の下げを誘ったか。10月は9月の「陽の陽はらみ」で下落していた。10月-11月の上昇ラインを下抜く、1月-3月の上昇ラインがサポート。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
マヤ鉄道の開業
ロペスオブラドール大統領は反対を押し切り、「マヤ鉄道」の開業を強行した。
メキシコ政府が総額5000億ペソをかけて建設している鉄道新規路線「マヤ鉄道」が15日、一部開業した。2024年に任期満了で退任するロペスオブラドール大統領は軍隊も大量に動員し、自身の看板政策だった巨大インフラを駆け込みで仕上げている。
国際リゾートのカンクンと、マヤ文明の遺跡で知られる「チチェンイツァ」や「パレンケ」が鉄路で結ばれ、観光周遊目的の需要を見込む。
ただハコモノ偏重も響いて24年歳出予算の財政赤字が過去30年で最悪の水準に達するなど、投資のツケを次世代に先送りする姿勢も目立ち始めている。空港や鉄道などは初期投資だけでなく、維持コストも膨大だ。24年6月の大統領選挙を経て発足する新政権は、現政権による駆け込み開業で重い荷物を引き継ぐことになる。
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