総括
FX「米墨でGDPと金融政策比較、10月最弱も5日線反転上昇」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.0-8.5
(ポイント)
*米国とGDPと金融政策を比較したい
*今月はここまで最弱通貨、年間では最強維持
*10月ペソ安の要因は
*メキシコの経済が弱いわけでもない
*ペソの高が輸出に悪影響を与えるという懸念なし、財務副大臣
*インフレとの戦いは長い、中銀理事
*大統領も為替ヘッジプログラムの縮小を支持
*リスク回避、決算でも売られた10月
*米国との金利差縮小、インフレの勢いも違う
*IMFは成長見通し上方修正
*短期的には売り圧力、長期的には有望維持
*郷里送金は増加継続も受け取り金額がペソ高で目減り
*メキシコ政府、OECD、フィッチも成長見通しを上方修正
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
*短期波乱、長期有望
(10月はここまで最弱通貨、ただ5日線が上向いた)
10月はここまで最弱通貨だ。ここまで8.57円から8.28円と3.38%安。日足では雲の下に位置する。中期的には、週足、月足共に依然雲のはるか上であり、年初来でも23.21%高と最強通貨だ。昨日は5日線が上向いた。
(10月安い要因)
今月安いのは、先ずは8月に発表された為替ヘッジプログラム(ドル高をヘッジする制度)の縮小がある。大統領も先週、ペソが安定しているため、この制度の縮小を堅持すべきだと述べた。ペソ高で郷里送金の目減り、メキシコへの観光客の減少があることも配慮か。 次いで中東紛争でのリスク回避の動きで弱い。最も選好されてきたペソを売る動きが見られた。さらに米国との金利差、GDP格差に焦点が移ってきた。米国経済も強く、11月1日のFOMCでは政策金利は据え置きと予想されるが、長期金利は5%近辺に上昇、メキシコとの金利差が縮小してきた。
(米国とGDP、政策金利で対決)
米国の3Q・GDPは前期比年率で4.9%と強かった。メキシコの3Q・GDPは前年同期比で3.6%成長で米国が上回っている。10月31日に発表される。
FOMCは11月1日、メキシコの政策金利決定は11月10日。
(メキシコの経済が弱いわけでもない)
ただメキシコの経済が弱いわけでもない。3Q・GDPも堅調予想であり、8月小売売上高は前年比3.1%増、8月経済活動指数は前年比3.7%増だ。メキシコ経済が金利上昇にも関わらず依然として回復力を維持していることを示している。9月失業率も2.9%と低い。
10月前半インフレは、前年比4.27%上昇で低下傾向にある。ただコアが5.54%と高い。中銀議事録によると、インフレ率が目標の3%プラスマイナス1%に達する見込みは前回の24年4Qから、2025年2Qに後ろ倒しされた。目標への収束が遅れている主な理由は、コアインフレ率の高止まりとサービス価格の上昇である。中銀は年内は政策金利を11.25%に据え置く見込みだ。
今週は貿易収支の発表がある。
(ペソの高が輸出に悪影響を与えない、財務副大臣)
ヨリオ副財務大臣は議会でGDPの予想される拡大について語り、ペソの価値の上昇が海外市場への出荷に悪影響を与えるという懸念をほぼ一蹴した。政府債務は今年GDPの約47%に達し、来年にはほぼ49%まで上昇すると述べた。
今年最初の9カ月で対米ドルで14%以上上昇したメキシコペソが、自動車製造を基盤とする同国の大規模な輸出部門に打撃を与えている兆候は今のところないとした。
ヨリオ氏は、年間インフレ率は年末にかけて4.5%程度で安定するとの見通しを示した。
(インフレとの戦いは長い、中銀理事)
メキシコ中銀ジョナサン・ヒース理事はここ数カ月のインフレ率の鈍化を時期尚早に祝うべきではないと警告した。「インフレは下降軌道を続けているが、勝利を謳歌するには程遠い。まだまだ長い戦いが続くと予想されており、このインフレ現象は実際には私たちが想像していたよりもはるかに複雑です」と語った。
テクニカル分析
ボリバン中位へ回復、5日線上向く
日足、ボリバン中位まで回復、雲の下。10月20日-26日の上昇ラインがサポート。10月18日-26日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、中位割り込みボリバン下位で推移。10月9日週-16日週の上昇ラインがサポート。10月2日週-16日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き20週線を下抜く。
月足、9月で6か月連続陽線も陽の陽はらみで売り圧力。10月はここまで陰線。7月-8月の上昇ラインを下抜く。5か月、20か月線まだ上向き。1月-3月の上昇ラインがサポート。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
日本同様に地震と台風の国
猛烈なハリケーン「オーティス」に直撃されたメキシコ南部ゲレロ州のアカプルコで25日、全通信が途絶した。オーティスは沿岸付近の海水温の異常な上昇によって上陸直前に勢力が急激に強まり、住民が直撃に備える時間はほとんどなかった。
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