執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
トルコリラ/円チャート(日足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
「足元のトルコリラ/円は5.30円台で弱含みのもみ合い」
ドル/円が9カ月ぶりに146円台に乗せた16日と翌17日には5.40円目前まで強含んだものの、その後はドル/リラが連日の史上最高値更新となったことで失速。23日の東京市場ではドル高・リラ安の動きにつれて一時5.326円前後へ押し戻されています。トルコの「実質金利」がきわめて低いことがリラ安の最大の要因と見られており、17.50%の政策金利から47.83%のインフレ率を引いた足元の実質政策金利は-30.33%と大幅なマイナスです。なお、米国の実質政策金利は+2.18%(政策金利5.38%-インフレ率3.20%)、日本は-3.40%(政策金利-0.10%、インフレ率3.30%)です。米国>日本>トルコという実質政策金利の順序が、ドル>円>リラという通貨の序列と同じであることがわかります。
「目先のトルコリラ/円の注目ポイントはトルコ中銀」
24日にトルコ中銀が政策金利を発表します。トルコではインフレ率が7月に47%台へと再び加速しており、8月の期待インフレ率(1年先)も42%へと上昇しています。実質政策金利のマイナス幅を縮めるためにも中銀の追加利上げは必至と見られます。焦点は利上げ幅であり、かつインフレ抑制に向けた強い引き締めスタンスを示せるかどうかです。中銀はエルカン総裁が就任した6月に650bp(6.50%ポイント)の利上げを行ない、7月には250bpに利上げ幅を縮小しました。今回も250bpの追加利上げを行ない、政策金利を20.0%に引き上げると予想されています。仮に利上げ幅が少しでも予想を下回ればリラは失望売りが強まりそうです。また、予想通りに利上げを決めたとしても、実質政策金利の水準を考えるとそれだけでリラを大幅に押し上げる事は出来ないでしょう。リラが反発するためには予想以上の利上げに加え、声明で追加利上げに強くコミットする必要があるのではないでしょうか。
当面のトルコリラ/円の見通し
予想レンジ
5.250円~5.425円
基調
上値重い
来週までの注目ポイント
来週までの注目ポイント
・8/24☆トルコ中銀政策金利
・中国金融市場
・主要国株価、国際商品価格
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経済指標・イベントの結果について
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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