総括
FX「円高とドル安(中国はバスケット制)で人民元円は下落、米中会談は??」人民元見通し
(通貨9位、株価16位)
予想レンジ 人民元/円19.0-19.5
(ポイント)
*物価が安く、経済指標は弱い
*首相は2Qの改善を示唆
*主席。首相ともに対外開放を訴えるが、対米中心に経済摩擦は続く
*イエレン財務長官の訪中も具体的結果残さず
*人民元も株価も弱い
*反スパイ法改正
*米中半導体戦争続く
*急に積極経済外交を行っている(中国回避を避けるため)
*工業部門企業利益は減少
*米国は中国向けのAI用半導体輸出に対する新たな制限か
*NATOの結束強化に中国は反発
(米中会談あるも、具体的進展なし)
イエレン財務長官は米中会談を終え、「両国には大きな意見の違いがある」と述べたうえで、「中国側には外国企業が中国の市場にアクセスする際の障壁など、われわれの深刻な懸念を伝えた」と述べた。
そのうえで、「2日間で合わせておよそ10時間にも及んだ一連の会談は、米中関係を確かなものにする取り組みの一歩になった」と成果を強調した。米政府は軍事転用のおそれがある半導体製品などの輸出規制を強める一方、中国政府も半導体の材料などに使われる2つの希少金属を輸出管理の対象とすることを発表するなど、けん制している。
米中は対話の継続を確認したが、半導体や関税など対立が続く分野で両国が歩み寄ることは容易ではなく、今後、具体的な交渉が進むかが焦点となる。
(中国景気減速、物価低下)
中国の経済は減速し、物価も上昇していない。今週は6月消費者・生産者物価(下記参照)や6月貿易収支、来週は2Q・GDPや6月小売売上や鉱工業生産の発表がある。米国主導による中国リスク回避(ニアショアリング)で中国経済の縮小も予想されていることから、中国は積極的に経済外交を続けている。イエレン財務長官訪中で、議論は続けられるが、具体策はまだ出てない。
(6月の物価は、金融緩和は)
6月の生産者物価は、前年比5.4%下落し、2015年12月以来最も大幅な落ち込みとなった。消費者物価圧力も21年以降で最も穏やかとなり、当局に需要喚起のための政策対応を迫る結果となった。
6月の消費者物価は前年比変わらず。人民銀行の一段の金融緩和余地はある。
デフレ環境がより厳しくなり、成長の勢いが急激に鈍化している。
(首相は2Qに強気)
李強首相は、2Qの経済成長率が1Qを上回るとの見通しを示した。5%前後の今年の成長率目標を達成するとの見通しも表明。内需拡大や市場の活性化、協調的な発展促進、市場開放に向けてより効果的な政策を打ち出す方針を示した。世界経済の強力なけん引役としての機能を引き続き果たすとも述べた。
(NATOの結束強化に反発)
NATOの中国に対する共同声明について、中国外務省は「冷戦時代の考え方だ」と批判した。
「中国の野心と威圧的政策はNATOへの挑戦だ」と明記された共同声明が採択さた。
これを受け、中国外務省の報道官は「冷戦時代の考え方とイデオロギー的な偏見に満ちていて、断固として反対する」と反発した。「中国を歪曲して中傷し嘘をでっち上げることを直ちにやめ、平和と安定のために建設的な役割を果たすべきである」と述べた。
また、「中国は他国を侵略したこともなく内政干渉したこともない」と牽制したうえで、アジア太平洋を混乱させているのはNATOだと強く批判した。
テクニカル分析(人民元/円)
20円に達した後、急落、ボリバン3σ下限へ
日足、6日連続陰線。一時20円に達するもボリバン2σ上限から3σ下限へ急落。7月11日-12日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向きに。
週足、雲の上から雲に下へ急落。7月3日週-10日週の下降ラインが上値抵抗。1月2日週-3月20日週の上昇ラインがサポート。
月足、右肩上りを下抜く。4月-6月の下降ラインを下抜く。1月-3月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年7月の下降ラインが上値抵抗。
年足、3年連続陽線。23年も陽線スタート。ただ22年は上ヒゲが長い。20年-21年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
中国の習主席、さらなる対外開放を呼び掛け
習近平国家主席は、世界2位の経済大国として貿易や投資などの分野で外国との協力に力を入れるためさらなる開放を呼びかけた。
「新たな発展のパターンを構築し、構造的開放を促す上で、投資や貿易、金融革新といった主要な分野での外国との交流や協力に焦点を当てる必要がある」と述べた。
(米中経済摩擦は強いが、中国は事態を改善したいようだ)
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