総括
FX「波乱万丈、待たれる大統領、財務相、中銀総裁発言、週末会談あり」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価20位)
予想レンジ トルコリラ/円5.3-6.3
(ポイント)
*週末に新財務大臣、中銀総裁の会談あり
*新財務大臣、中銀総裁が決定、合理的な政策に変わるか
*急変動だが、まだ大統領、財務相、中銀総裁の発言なし
*ただ最新のエルドアン大統領発言は低金利政策
*選挙後は大幅リラ安、金利急上昇、株急騰
*経常赤字続く=リラ安の要因
*4月雇用統計 10%超が続く
*本日は4月小売売上の発表
*政策金利は年末に40%まで上昇する予想も
*ゴールドマン・サックスは、リラが1年後に1ドル=28リラまで下落と予想
*スウェーデンのNATO加盟を認めるか?
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*今年は建国100周年
(選挙後の大変動は続く)
選挙後はリラが対円で16.48%、対ドルで18.88%下落、イスタンブール100株価指数は22.01%高、10年国債は79.42%高(利回り9.04%から16.22%へ上昇)となった。ただ昨日は株価は上昇の勢いを止めた。
早速6月22日には政策金利決定会合がある。JPモルガンチェースは25%への引き下げを予想している。新しいドラマの始まりだ。
(米系インベストメントバンク出身の財務相と中銀総裁)
新内閣の財務相と中銀総裁が決まった。両氏とも米系インベストメントバンク出身だ。
*シムシェキ新財務相は、経済の予測可能性を確実にするために「合理的な根拠」に戻る以外に選択肢はないと述べた。
「ルールに基づいた予測可能なトルコ経済が、望ましい繁栄を実現するための鍵だ」と語った。 また、グローバルな課題や地政学的緊張が高まる環境下で、マクロ的な金融安定が優先されるとも主張。「持続可能な高成長のために財政規律を確立し、物価安定を確保することが主要な目標になる」と強調した。
* エルカン新中銀総裁はトルコ初の女性中銀総裁となる。プリンストン大で金融工学の博士号を取得。ゴールドマン・サックスの幹部を経て、今年5月に経営破綻した米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行では2021年12月まで共同最高経営責任者(CEO)を務めた。ただ、中央銀行での勤務経験は無く、手腕は未知数だ。金融引き締め容認派のシムシェキ財務相の推薦による人事とされ、高インフレ下でも利下げを進めるエルドアン政権独自の金融政策の転換の兆候とみられている。
(大統領は方針を変えたのか)
エルドアン大統領は「私が在任している限り金利は下がる」と繰り返し発言してきた。それが一転して新しい金融政策を容認するかが見ものだ。政策金利は現在の8.5%から25%まで上昇すると市場が予測し始めている。
(4月経常収支、恒常的な赤字がリラ安要因)
4月に54.04億ドルに急拡大し、前年同月の25億4000万ドルから2倍以上に増加した。貿易赤字(70億2000万ドル)の悪化により予想の45億ドルを上回った。
(4月雇用統計 10%超が続く)
4月失業率は前月比0.1%ポイント上昇、10.2%となった。
15歳以上の失業者数は4月に前月比7万4000人増の358万人となった。
4月の失業率は男性8.1%、女性14.3%。雇用者数は同期間に52万1,000人増加して3,160万人になった。
15~24歳の若年層の失業率は19.1%で、前月比1.2ポイント減少した(男性で15.7%、女性で25.4%)
(本日は4月小売売上)
予想は前年同月比18.9%増、前月は28.6%増。前月比は3.6%減の予想、前月は7.3%増
テクニカル分析(トルコリラ/円)
急落後、下げ止まる
日足、急落後、下げ止まった。3σ下限からは脱し2σ下限。弱いことには違いがない。6月9日-12日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。雲のはるか下。
週足、依然、3σ下限。5月29日週-6月5日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線上向き。
月足、21年12月-23年5月の上昇ラインを下抜く。23年3月-5月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。5月一時円を上回ったが、5月末は円に4%以上引き離された。
メルハバ
年末への政策金利予想
JPモルガン・チェース=30%と予想、上振れリスクがある
ゴールドマン・サックス=40%までの利上げを予想
(ただエルドアン大統領は政策金利については新たにコメントしていない)
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