FX「先週は週間MVP、5月はここまで最強。その要因は」南アランド見通し
「通貨最下位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド7.2-7.7」
(ポイント)
*先週は週間MVP、5月はここまで最強。その要因は
*投資銀行が南ア買いを推奨
*国債買われ利回り低下、ランドも急上昇
*1Q・GDPがリセッション回避
*電力問題改善の兆し
*BRICSはプーチン大統領の扱いに苦慮
*貿易黒字は維持、製造業PMIは弱い
*中国が支援か、電力問題
*予想を上回る0.5%利上げ。インフレ懸念は強い
*難題あり(停電、グレーリスト入り、中国・ロシアへの接近で対米関係悪化)
*失業率、小売売上が悪化
*AGOAの更新が不透明(対米関係悪化で)
*IMFは成長見通し引き下げ
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)
(先週は週間MVP、5月はここまで最強。その要因は)
年初来、弱かった南アランドだが、先々週は週間4位、先週は週間最強、6月もここまで最強通貨だ。年初来ではトルコを抜いて最下位を脱出し10位の円に迫ってきた。
先週も触れたがインベスメントバンクが相次いで、南ア買いを推奨したことがきっかけとなった。
ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、クレディ・アグリコルは、ランドが記録的な安値に下落し、地方債が暴落して利回りがパンデミック発生以来最高値を記録したことを受けて、見方を変えた。
好転を求める声は、経済や政治の突然の改善への期待ではなく、株価下落や米国の利上げ鈍化を受けて南アの資産が割安に見えることに基づいている。悪いニュースはたくさんあるが、そのほとんどは織り込まれていると判断した。ゴールドマン・サックスは、3カ月以内にランドが4%上昇して1ドル18.75ランドを目指すとし、クレディ・アグリコルは9月までに1ドルあたり18ドルになるとした。
ドイツ銀行は、バリュエーションが「非常に割安」であることを理由に国内の現地通貨建て債券を「強いオーバーウエート」に変更し、10年債利回りを現在の12%超から10%と予想した。この呼びかけにすでに投資家が呼応している可能性がある。
(国債買われ利回り低下、ランドも急上昇)
実際に南ランド10年国債利回りは、5月31日の11.28%から先週末は10.82%まで低下している。国債買い・ランド買いが入った。
(1Q・GDPがリセッション回避したことも好感)
1Q・GDPは前期比0.4%増加した。昨年4Qの1.1%減からプラスに転じ、辛うじて景気後退を回避したことも為替市場で好感された。
(電力問題)
停電問題では、大統領府のプロジェクト責任者ディックス氏は、エスコムの2つの最新発電所(メドゥピ発電所とクシール発電所)の修理とケーベルグ原子力発電所のメンテナンス完了が優先され、エネルギー危機は年末に向けて緩和し始めるはずだと述べた。
また、7月に民間発電事業者が無許可で発電できる電力量の上限を撤廃するという政府決定は、注目を集めている措置の1つである。プロジェクト管理局は、今年約1,800MWの民間容量が送電網に追加され、その後さらに大幅に増加すると予想している。
テクニカル分析(ランド/円)
さらに反発、7日連続陽線、ボリバン3σ上限に
日足、7日連続陽線で雲の上。ボリバン3σ上限に近づく。6月8日-9日の上昇ラインがサポート。5月2日-6月9日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、一時3σ下限まで急落も中位を越える。5月29日週-6月5日週の上昇ラインがサポート。5月1日週-6月5日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線下向き。
月足、ボリバン2σから反発。雲の上に出るか。5月-6月の上昇ラインがサポート。23年1月-5月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線は下向き。
年足、21年、22年は短い陽線。23年は陰転。20年-22年の上昇ラインを下抜く。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
プーチン大統領の扱いを苦慮
ラマポーザ大統領は、8月のBRICS首脳会議に直接ではなくバーチャルで出席するようプーチン大統領を説得するためロシアを訪問する。国際刑事裁判所はプーチン大統領に逮捕状を発行し、国際法に従ってロシア指導者が同国に足を踏み入れた場合は逮捕されることになっているため、南アは難しい立場に置かれている。ラマポーザ大統領はまた、南アフリカの非同盟国としての立場に対するコミットメントを再確認するためにウクライナを訪問する予定である。
中国の習近平国家主席は南アのラマポーザ大統領と電話会談を行い、輪番制の新興5カ国(BRICS)議長国を務める南アに対する支持を表明した。
習主席は電話会談で、南アがBRICS議長国としてさまざまな活動を行うことを支持すると伝えた。プーチン氏に関する言及はなかったという。
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