執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
豪ドル/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
・上海株が今年最大の下げ
・米地銀の経営不安でリスクオフ
・豪CPI鈍化
足元の豪ドル/円は1カ月半ぶりの高値から反落
豪中銀(RBA)が18日に公表した議事録で利上げ再開に含みを持たせたことから豪ドル高の流れが続く中、20日に90.78円前後まで上昇。
3月8日以来の高値を付けましたが、その後は流れが一変しました。
上海株が今年最大の下げを記録した21日には90円台を割り込み89.40円前後まで下落。
24日はいくぶん持ち直しましたが、25日には米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の預金流出を受けて金融不安が再燃したためリスク回避の動きが強まると88.20円台まで大きく下落しました。
26日も豪1-3月期消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けて88.10円台に続落するなど軟調な展開となっています。
注目ポイントはRBA声明
豪1-3月期CPIの鈍化を受けてRBAは5月2日の金融政策決定会合でも政策金利を3.60%に据え置くとの見方が大勢です。
RBAは4月も政策金利を据え置いており、2会合連続の据え置きが濃厚となっています。
焦点は声明で示される今後の政策スタンスということになるでしょう。
具体的には、前回の声明で見られた「インフレを目標に確実に戻すには、金融政策の一定の追加引き締めが必要になることもあり得ると想定する」との文言が残るかどうかが注目されます。
つまり、引き締めスタンスを維持したままの「利上げ見送り」となるのか、あるいは引き締めスタンスを弱めて事実上の「利上げ終了」を示唆するのかがカギとなるでしょう。
豪州のインフレ率は1-3月期も鈍化したとはいえ依然として6%台(トリム平均値)です。
RBAの目標である2-3%を大幅に上回っていることを踏まえると、引き締めスタンスを維持する可能性が高そうで、市場も概ねそうした見方に傾いているようです。
それだけに、もし「利上げ終了」が示唆されれば、市場の反応(豪ドル安)は大きなものになると考えられます。
日本のゴールデンウイークの谷間に発表されるRBA声明に注目です。
来週までの豪ドル/円の見通し
予想レンジ
86.000~90.500円
基調
方向感模索
来週までの注目ポイント
☆5/2 RBA政策金利
・主要国株価、国際商品価格
「為替チャート|豪ドル/円(AUDJPY)|60分足」はこちら
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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