総括
FX「情勢混沌、相場は平穏。政策金利は据え置きか、大統領選は混戦」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価20位)
予想レンジ トルコリラ/円6.4-7.4
(ポイント)
*大統領選は混沌
*政策金利は据え置きか
*経済指標改善
*4月消費者物価は50%割れ?
*米国がF16売却か
*リラも株価も弱い2023年
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*3月消費者物価は前年比50.51%で前月の55.18%を下回った
*貿易・経常赤字は続く。これが主たるリラ安要因
*リラ安防衛策はリラ預金増に繋がるがリラ安を抑えきれない
*国内預金が外貨預金を上回る=リラ化政策で
*今年は建国100周年
(エルドアン大統領がリード、大統領選挙世論調査)
トルコの報道も政府の抑圧があって、正確性には不安があるが、最新の調査では4月初の野党CHPクロチダオール有利から、エルドアン大統領有利とのものもある。
4月24日発表の2つの世論調査。
調査会社アレダでは、エルドアン氏が 51.4%%、クロチダロール氏が41.8%。
調査会社ソナーによる別の世論調査では、エルドアンが52.1%、クルチダロール氏が47.9%
(指標改善)
4月消費者信頼感指数は87.5で前月の80.1、予想の78を上回った。
4月企業信頼感指数は108で前月の105.2と予想の107は上回った。
このところ、2月分だが鉱工業生産や小売売上が落ち込んでいたので、予想外の改善であった。
(消費者物価は50%割れか)
5月3日に4月消費者物価の発表があるが、ネバティ財務相は50%割れを示唆した。また選挙前ということもあってか、エルドアン大統領は、低金利政策は変わらない、そして、インフレ率が金利とともに低下することと述べた。ただ今週の政策金利は8.5%で据え置かれるとの予想が多い。
また今週は4月企業信頼感、経済信頼感、貿易収支の発表がある。
(米国はスウェーデンのNATO加盟批准をトルコに要請)
さて、オースティン米国防長官は、7月に開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議までにスウェーデンがNATOに加盟していることを期待しているとし、トルコとハンガリーに加盟を批准するよう呼びかけた。それもあってか、米国国務省が既存の F-16 航空機および関連機器のアップグレードを支援するために、トルコへの防衛物品およびサービスの売却の可能性を承認することを決定したことを確認した。この決定は現在、米国議会の承認待ちだ。
(対ロシア)
一方、エルドアン大統領は、ロシアのプーチン大統領が4月27日にトルコのアクユで原子力発電所の式典にテレビ会議に参加すると述べた。トルコはNATOでありながら。ロシアと友好関係を続けている。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
買い低迷も大きく動かずボリバン狭い
日足、大きく動かないのでボリバン狭い。現在は6.82-6.95(2σ)。雲の下。4月19日-24日の上昇ラインがサポート。4月13日-18日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線ほぼ横ばい。
週足、ボリバン2σ下限から反発も中位越えられず。4月3日週-10日週の上昇ラインがサポート。3月13日週-4月17日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、22年11月-12月の下降ラインを上抜く。23年1月-3月の上昇ラインがサポート。21年3月-9月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から6円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月陰転。
メルハバ
いろいろな予想がある 選挙後のリラ
JPモルガンのアナリストチームは、トルコで5月14日に行われる大統領・議会選挙について、結果を受けて現行の非伝統的経済政策にわずかな変更しか期待できないと見なされた場合、トルコリラが現在の1ドル=約19リラから30リラ近くに急落する可能性があると予想した。
選挙結果にかかわらずマクロ政策調整が見込まれるとした上で、インフレ抑制のための利上げといった伝統的政策にコミットする度合いによって、二つのシナリオを提示。
「強力にコミット」するシナリオではリラが当初、1ドル=24-25リラに下落し、年末までに26リラを付けると予想。指標の国債利回りは25%に急上昇すると見込んだ。
一方、伝統的政策へのシフトが限定的と見なされた場合、リラは年末までに30リラ近くに下落する可能性があるとした。
信用の伸びを鈍らせたり、人為的に金利を抑制する「金融抑圧」を緩和するといった伝統的な政策手段にわずかにしか復帰できない場合、資本流入が促進される可能性は低く、リラの下落基調が一段と長期化すると予想した。
半面、伝統的政策に回帰するシナリオでは「リラが適正水準に向けた実質的上昇トレンドに入る可能性がある」とした。
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